密 航 者 (Stowaways)
2000/09/21 第00-010号
- 外航
ここ何ヶ月かの間に、コンテナを利用した密航者事件が急増しており、最近ではPort of Doverで密航者58名が死亡した状態で発見されている。国際PIグループでは、中国人密航者が香港から北米諸港に向け、シールされたコンテナ内に隠れて乗り込んだ事例を何件か扱った。米国の移民局、連邦調査局及びコーストガードはこの最近の傾向に注目しており、運送人に対し、問題への対処を強く要請してきている。この傾向に照らし、コンテナオペレーターの皆様へのレコメンドとして、ガイドラインを次のとおり用意した。
ターミナル以前 |
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・ | 過去の問題事例での取扱い形態。 |
・ | 知らない荷送人については、会社調査を行なうのが適当。 |
・ | 新しい取扱い地域。 |
・ | 安全でない地域への空コンの要請。 |
・ | 安全でない地域から引き取った積載コンテナ。 |
・ | オープントップコンテナは引取り前に調査する。 |
・ | 貨物重量の軽いコンテナ。 |
・ | 比較的高い温度に設定された冷凍コンテナの引取り。 |
ターミナルにおいて(船積前) |
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・ | 適当な地域では移民局の協力を得る。彼らの経験は貴重な財産。 |
・ | 密航者が船積み予定のコンテナに容易に近づけないようにするため、対話と協力が必要なことを運送人はターミナル管理者に強調する。 |
・ | 船積み用に引き取られたコンテナで、シールのないもの、又は不完全なシール、触れた形跡のあるシールは、シールし直す前に、開けて中を確認する。 |
・ | 10℃以上にセットされた冷凍コンテナは、開けて密航者がいないか確認する。 |
・ | オープントップコンテナは全て調査が必要であり、特に最近修理された又は塗り直されたコンテナには注意を要する。 |
・ | 締切後船積み直前に、遅れてターミナルに到着したコンテナには特に注意を要する。この方法は、発見される可能性を低くし、密航者コンテナ内滞在期間を短くするもの。 |
・ | CO2感知器、熱感知器、捜索犬、心臓鼓動検知機の使用を検討する。検知方法はターミナル毎に異なるため、各ターミナル管理者と合意を結ぶべきである。 |
・ | 一般地域外、特に管理が行き届かず安全でない地域から引き取られたコンテナには、特別な注意を要する。 |
・ | 予想される重量と明らかに差のあるコンテナは、原因を確認し、必要に応じ中を調べる。 |
船積後 |
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・ | 一般船舶同様出航前に、コンテナ船のあらゆる空間の調査及び甲板上の警戒が必要。 |
・ | 必要であれば、本船のスケジュールにそのための必要時間を組み入れる。 |
・ | ハッチカバーを陸上に置いた時は密航者がハッチカバーの中に隠れることがあるので、ハッチカバーを閉める時に、できればハッチ内に人員を配置する。 |
・ | 乗組員は本船の定期見回り警備を励行し、航海日誌に記載する。 |
密航者発見時の措置 |
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・ | コンテナ内の密航者を発見した場合は、コンテナの積付け位置及び近づけるかどうかを確認し、船舶管理者にコンテナ番号、積付け場所、積地、仕向け地等知り得た事実を報告し、指示を仰ぐこと。 |
・ | 急ぎ密航者との接触を図る。何カ国かでのメッセージを吹き込んだテープを使ってみる。 |
・ | 状況を分析する。密航者は何人いるか。国籍は。彼らの健康状態はどうか。彼らは本船及び乗組員に脅威を与えていないか。彼らは水、食料を要求していないか。その供給のために、コンテナにドリルで穴を空けることができないか。もし彼らをコンテナから降ろすことができるとして、彼らを保護区画で安全に監視するための充分な乗組員がいるか。 |
・ | 密航者の安全性と、本船及び乗組員の安全性を合わせて考慮し、本船を離路させるべきかどうか。(考慮すべき項目としては、積地出航後の経過時間、仕向地到着予定時間、離路して寄港する適当な港までの所用時間、その港で本船に食料が調達でき、コンテナへすぐに近寄れるか。) |
・ | 船主/運送人のPIクラブと緊密に連絡を取る。 |
・ | 船長は全責任を背負い込むように考えるべきではない。 |
・ | 船主/運送人のPIクラブに相談して、案件毎のメリット及び判断を合わせて検討する。 |
事前のガイドラインではあらゆる状況を網羅することはできないが、以上のレコメンデイションが、ほとんどの案件での早急の解決に役に立つことを希望する。 |