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「イラン制裁法特別条項」新設の件

2010/06/25 第10-006号
  • 外航
2010年3月1日付特別回報「米国/英国によるイラン制裁の件」及び2010年6月14日付特別回報「第569回理事会結果のご報告」をご参照下さい。

当組合では、次の特別条項を定め、本日2010年6月25日付で全ての外航船保険契約に適用することと致しましたのでご案内いたします。当該特別条項の趣旨は、6月14日に開催しました理事会でご承認いただいております。

(イラン制裁法特別条項)
組合員の行為によって、監督官庁その他の政府又は公の機関が、組合に対して、その業務に重大な影響を及ぼす制裁、禁止、制限等の措置を課し、又は組合がそのおそれがあると判断するときは、保険契約規定第11条(保険契約の解約又は解除)第3項第3号に定める「前各号に掲げるもののほか、組合の当該組合員に対する信頼を損ない、当該保険契約の存続を困難とする重大事由があったとき」に該当するものとする。

米国では6月24日にイラン制裁に関する法案「Comprehensive Iran Sanctions, Accountability,and Divestment Act of 2010」(仮称「2010年米国イラン制裁法」)が米連邦議会上下両院で可決されました。同法案は大統領の署名を経て近く成立見込みであり、成立と同時の施行も見込まれます。本特別条項の適用により実際に保険契約解除の可能性が生じるのは同法案が成立して施行された時点以降となりますが、その時点で本法案が禁ずるイラン向け石油精製品輸送に現に従事している場合のみならず、そのような輸送の履行を引き受けた場合(傭船者からそのような指示を受けそれを受諾した場合や同輸送のブッキングを受け受諾した場合等)も対象となることが考えられますのでご留意願います。

同法案の内容は、先の特別回報でもご案内しましたとおりであり、イランに石油精製品を輸送する船社とその船社へ物資、サービス、技術、情報、支援等を行う者、保険/再保険を提供する者(いずれも非米国法人にも適用)に対して、たとえ船籍、船主、運送契約等の裁判管轄地では合法的行為であったとしても、米国が制裁を発動することができる条項が含まれております。即ち、イランに石油精製品を輸送した船社のみならず、その船社に保険あるいは再保険を提供した保険者も制裁の対象となります。詳しくはURL (https://www.treasury.gov/resource-center/sanctions/Documents/
hr2194.pdf)
により法案本文をご参照下さい。

本法案に関連して、傭船契約中に挿入すべき条項のモデル条項につきましては、Intertankoからは既に発表されており、またBIMCOからも近々発表されるものと思われます。

外航組合員の皆様におかれましては、本法案の禁止事項の対象となるような業務行為はP&I保険契約解除の可能性を念頭に対処下さいますようお願い申し上げます。また、保険期間中の特別条項の新設適用ではありますが、事態の重要性及び緊急性に鑑みご理解いただきたく、よろしくお願い申し上げます。