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バンカー条約 − 条約証書について(4)

2008/10/06 第08-009号
  • 外航
首題に関し、2008年4月25日付P&I特別回報第08-001号「バンカー条約−条約証書要求、Blue Card発行、条約証書取得について」、同年7月9日付同第08-006号「バンカー条約−条約証書/Blue Cardについて(2)」及び同年9月1日付同第08-008号「バンカー条約−条約証書について(3)」をご参照願います。

上記特別回報にて、「2001年の燃料油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約(バンカー条約)」は2008年11月21日に発効予定であること、並びに同条約の下での条約証書要求について、ご案内申し上げました。本回報では、非締約国籍船への条約証書発給に関する追加情報と今後批准する締約国に関する留意事項等について、お知らせ致します。

1.非締約国籍船への条約証書発給

前回の特別回報(第08-008号)では、英国、リベリア、キプロスの3締約国が、条約発効後の自国への寄港または沖合施設の利用予定の有無にかかわらず、非締約国籍船に対して条約証書を発給することに同意したことをお知らせ致しました。ただし、キプロスはParis MOUのブラックリストに掲載された国に置籍する船舶への条約証書発給には応じていません。

その後、クック諸島、バハマ、シエラレオネ、マン島の各国も、非締約国籍船に対して条約証書の発給に応じることが確認されましたので、ご案内申し上げます。各国の連絡先は添付別紙をご参照願います。

添付別紙には、現時点で明らかになっている「非締約国への条約証書発給に応じる締約国(英国、リベリア、キプロス、クック諸島、バハマ、シエラレオネ、マン島)の連絡先」を取り纏めておりますので、どうぞご利用願います。

英国は、海外属領・王室保護領に関して、現在のところ同国の批准の拡大適用の対象をマン島のみに限っている関係上、他のRed Ensign Group(バミューダ、ケイマン諸島、ジブラルタル、英領バージン諸島)に置籍する船舶は、当面の間、英国から条約証書を取得することになります。

クック諸島は、パナマ海事当局(PMA)と協定を結び、パナマがバンカー条約に批准するまでの間、パナマ籍船に対して条約証書を発給する体制を整えました。クック諸島からパナマ籍船の条約証書を取得することを希望される組合員各位は、以下のウェブサイトに掲載されるPMA発行のCircularNo.180をご参照願います。

https://www.segumar.com/wp-content/uploads/2017/08/MMC-180-Accession-Entry-into-force-of-the-Bunkers-Convention-2001-August-2017.pdf

2.今後条約に批准・加入する締約国に関する留意事項

締約国の状況は、非締約国籍船への条約証書問題への対応を含め、日々変わりつつあります。また、多くの国が2008年11月21日のバンカー条約発効日を前に、同条約への批准・加入の手続きを進めており、ある国は自国の批准・加入日から条約証書の発行を開始するかも知れません。

しかしながら、その場合、当該国では批准または加入した日の3ヶ月後から条約が適用されることとなり、この3ヶ月が経過するまでの間、他の締約国は当該国が発行した条約証書を有効な証書として認めないリスクがあることを組合員各位にはご認識願いたく存じます。よって、このように「条約に批准・加入後3ヶ月が経過していない締約国」が発行した条約証書だけを所持して他の締約国に寄港した場合、本船が抑留されたり、罰金が課せられたりするおそれがありますのでご留意願います。また、その場合、保険カバー上問題が生じる可能性があることもお含み置き願います。

本特別回報(含、冒頭の特別回報)でご案内する締約国が発行した条約証書を保持していれば、上記リスクに晒されることはありません。下記3.の締約国はすべてバンカー条約発効日の3ヶ月前までに批准・加入済みであるからです。

3.バンカー条約の締約国(2008年9月30日現在)

バハマ、ブルガリア、クック諸島、クロアチア、キプロス、デンマーク、エストニア、ドイツ、ギリシア、ハンガリー、ジャマイカ、ラトビア、リベリア、リトアニア、ルクセンブルク、マーシャル諸島、ノルウェー、ポーランド、サモア、シエラレオネ、シンガポール、スロベニア、スペイン、トンガ、英国(注)、バヌアツ(全26カ国)

注:マン島を含む