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新しいManning Agentによる責任の任意的承継は不当

2001/06/14 No.369
  • 外航
(2001年6月7日付フィリピン法務代理人よりの情報)

船主によるManning会社の変更に伴い、既に発生し係争していた船員クレームの責任は新しいManning会社にあるという旧Manning会社の申し立てをNLRC(労働関係委員会)は認めない旨の判決を下した。

1994年7月にAMOSUP契約にて乗船中の船員が職務遂行時に負傷し南アのDurbanで下船治療の上、本国送還となった。その後も国内で治療を続け、1994年11月に旧Manning 会社指定医がFit for dutyと診断したことにより旧Manning Agentはこの船員の医療補助を打ち切った。ところが、船員は全快との診断に疑問を感じ船員病院で治療を続け、1995年2月21日新しい担当医師は“compression fracture L1 with neulogicdeficit”(非神経性支持組織欠乏を伴う第一腰椎圧迫骨折)と診断し、Unfit for dutyとした。これにより船員は旧Manning Agentに後遺障害手当と未払い賃金の支払を求めたが 拒否されたため、NLRCに不服申立てをした。

旧Manning Agentは会社の指定医師が既にFit for dutyの診断を下していると反論したが、1998年8月28日にNLRCは旧Manning Agentに対し、後遺障害手当金US$50,000及び未払いの賃金の支払を命じた。旧Manning Agentはこの裁定を不服とし、本件がNLRCで係争中の1997年3月13日に船主はManning Agentを変更しており、新Manning Agentに責任の任意的承継が既に行なわれており、それにより自分達は全ての責任や補償から解放されているため、新Manning Agentが旧Manning Agentの雇用した船員についてもこれらにつき全ての責任を負うとの宣誓供述書を提示してAppealを行なった。

これに対し、NLRCはMigrant Workers and Overseas Fillipinos Act of 1995の64条に定められた“責任の任意的承継”の禁止をあげ、Manning Agentの所有者、雇用者及び職業斡旋業者の責任は、雇用契約中の全期間において、海外就労者のどのようなclaimに対しても継続しており、また、その責任は地方や海外での契約のどのような変更、修正、補正などに影響されることはないとの判断を下した。