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2011/12/07

第11-015号 中国の「船舶による海洋汚染防止及び管理規則」について(その10)

| by:sysadmin
第11-015号
2011年12月07日
外航組合員宛

中国の「船舶による海洋汚染防止及び管理規則」について(その10)



題記の件に関し、2011年11月11日付特別回報第11-013号「中国の「船舶による海洋汚染防止及び管理規則について」(その9)」をご参照下さい。

これまでの経緯

前回までの特別回報にて、中国の「船舶による海洋汚染防止及び管理規則」の内容をご紹介するとともに、(a)汚染危険貨物をばら積みで輸送する船舶と(b)10,000総トン以上のその他全ての船舶の船主/オペレーターに対し、当該船舶が中華人民共和国(以下、中国)入港前に、海事局(Maritime Safety Agency=MSA)認可の油濁清掃業者と油濁清掃契約を締結することを求める規則の実施が延期されていることをご案内してきました。

また、前回の特別回報にて、MSAの情報によると認可油濁清掃業者のリストは本年11月末までに公表される予定であることをご案内致しました。国際P&Iグループ(以下、IG)はその後もMSAと連絡を取り続け、また本年11月には北京を訪問しMSA、様々な油濁清掃業者(Ship Pollution Response Organisations=SPROs)、船主及びその他関係機関と協議を行いました。IGは、2012年1月1日の実施期日が延期されない限り規則遵守は困難である旨MSAに指摘し続けていますが、認可油濁清掃業者との契約を求める規則が2012年1月1日より中国の全港で施行される予定に変更はない模様であり、該当する船舶の船主/オペレーターはかなり短期間で認可油濁清掃業者と契約を締結する必要があるとIGは理解しております。認可油濁清掃業者の全リストは未だ公表されていませんが、レベル1の油濁清掃業者の一部のリストが本特別回報添付Annex Ⅰの通り公表されています。認可油濁清掃業者の全リストの公表は本年末頃になる可能性がありますが、認可油濁清掃業者の追加リストが近日中に公表されるものとIGは理解しております。

IGでは、認可油濁清掃業者のリストが公表され次第、組合員が必要な契約交渉/締結を行えるよう、油濁清掃業者との推奨契約書及び海外のオペレーターがエージェントに油濁清掃業者との契約交渉/締結をさせる際の標準委任状を作成しましたのでご案内申し上げます(Annex Ⅱ及びAnnex Ⅲ)。

認可油濁清掃業者のリストは、公表され次第MSAのWebsite(www.msa.gov.cn)及びMSAの油濁対応専用サイトhttp://msa.gov.cn/Notice/NotList/00000000-0000-0000-0300-040000000008に掲載される予定です。

Annex Ⅰの認可油濁清掃業者の一部リストの英語版は未だ公表されていませんが、近日中に英語版も公表される予定です。

契約交渉/締結

前回までの特別回報にて、油濁清掃業者と契約を結び、当該契約書に署名する「オペレーター」は、船主、船舶管理者又は実際のオペレーター(actual operator)であるとMSAが定義した旨ご案内しました。中国に居住しない「オペレーター」の場合は、(香港、マカオを除く)中国本土に居住する船舶のエージェント、現地弁護士事務所又はその他法人が、上述の「オペレーター」から代理権限を付与されている場合に、当該「オペレーター」を代理して契約の交渉/締結が出来ます。また、迅速な対応が求められる場合等、ある状況で必要な場合、船長も契約書に署名出来るとされています。但し、その場合でも船長が「オペレーター」から代理権限を付与されている必要があります。

IGでは、海外の「オペレーター」を代理して油濁対応契約の交渉/締結を行うサービスの提供を申し出ている中国国内に居住する海事エージェントがいることも確認しております。これらエージェントの詳細及び提供を申し出ているサービスの内容については当組合へご照会下さい。

中国本土に居住する組合員又は中国に現地事務所を有する組合員は、油濁清掃業者と直接契約交渉/締結を行う必要があります。IGの理解では、油濁清掃業者との契約締結が必要となるのは中国の沿岸港に寄港する船舶であり、中国本土の内陸水路の港にのみ寄港する船舶は油濁清掃業者との契約締結は必要とされません註1。

中国に事務所を有さずエージェントを起用される組合員は、油濁対応契約の交渉/締結のために中国に居住するエージェントをアポイントする際に、本特別回報Annex Ⅲの委任状フォーム(「IG LoA dated 6 December 2011」との識別付)を使用されることをお勧め致します。委任状の写しはエージェントからMSAに提出する必要があります。

また、締結した契約書の写しは油濁清掃業者からMSAに提出するとともに、写しを本船上に保持しておくことが必要となります。

認可油濁清掃業者は、資格や対応能力に応じてMSAによりレベル1, 2, 3, 4に区分されます(レベル1が最高)。以前ご案内しました通り、「オペレーター」は船舶のサイズや船種に応じて認可油濁清掃業者と契約を結ぶ必要があります(どのレベルの油濁清掃業者との契約が必要かについては本特別回報Annex Ⅳをご参照下さい)。

Annex Ⅳに記載の船舶のサイズ/船種に該当し、2012年1月1日以降中国諸港に寄港する全船舶は、寄港毎に各港でレベル1,2,3,4のいずれかの油濁清掃業者と契約を締結する必要があります。中国諸港に定期的に寄港する船舶の「オペレーター」や管理船が年間を通じて多数中国に寄港する「オペレーター」にとってはかなりの作業量となりますが、「オペレーター」を代理して契約交渉/締結を行うエージェントを起用することで軽減されると思われます。また、年間ベースで油濁清掃業者と契約を締結したり、複数港で認可されている1つの油濁清掃業者に契約を纏めることも可能です(但し、その場合でも港毎に個々の契約が必要とされます)。

推奨契約書

MSAは「オペレーター」が認可油濁清掃業者と締結する際に用いる契約書のモデルを本年5月20日に公表していました。一方で、契約書のモデルを変更したり、追加条項を挿入することも可能とされています。IGではMSAが公表した契約書のモデルを検討し、油濁清掃業者の対応に不満がある場合の契約の終了及び油濁清掃業者による保険手配に関する追加条項を作成しました。本特別回報Annex Ⅱが追加条項を含むIG推奨契約書です。

以前、船舶の事故対応計画書(Vessel Response Plans)についてご案内した際に、中国以外の他国にて要求される契約条件及びIGガイドラインに合致した契約条件についてご案内しました。Annex ⅡのIG推奨契約書はIGガイドラインに沿ったものであること確認申し上げます。Annex ⅡのIG推奨契約書からの変更を要求された場合には、当該変更がIGガイドラインの範囲外とならないかどうか確認する必要がありますので、当組合までご相談下さい。

料金体系

IGが把握している限り、油濁清掃業者の料金は業者によって異なります。すなわち、当該契約船が油濁清掃業者の管轄地域に入港している間スタンバイしておくための着手金(当該着手金は組合のてん補対象外となります)や、当該船舶が管轄地域に入港している間に発生した事故の際の対応料金は業者によって異なり、航海毎や年間ベースの料金設定をしている業者もあります。

中国諸港の多数の油濁清掃業者が加盟するCACEM(China Association of Communication Enterprise Management、中国油濁清掃業者協会)が、標準的な着手金のガイダンスを発表しています。IGは、当該料金を精査し、CACEMに対して、ガイダンスに記載されている着手金は全く非現実的な金額であり、特に他国の油濁清掃業者の着手金と比較した場合に、妥当と考えられる金額を大幅に上回っている旨指摘しました。

着手金及び対応料金が妥当な金額で請求されるよう、組合員の皆様におかれましては、対応料金のタリフが契約書に摂取されていることを確認し、妥当性について懸念がある場合には当組合にご相談されることをお勧め致します。

IGは、CACEM加盟油濁清掃業者以外の業者も、主要な中国諸港をカバーする油濁対応サービスを提供すべく、協会の組織や提携の締結を進めていると理解しています。

清掃業者との契約に際して懸念がある場合には、契約を締結する前に当組合にご相談下さい。

国際P&Iグループのすべてのクラブが同様の内容の回章を発行しています。

以上


註1但し、揚子江(Yangtze River)流域のNantong港に寄港する場合は、油濁清掃業者との契約が必要になります。

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