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損害調査担当

海運を支えるプロフェッショナルとして

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成長につながった若手時代

2003年の入社以来、20年以上、損害調査部門にて事故対応を行うクレームハンドリングに携わってきました。経験の浅い頃は、担当案件数の多さに圧倒され、無我夢中で知識を詰め込む日々でした。P&I保険や、過去の事例などをひたすら学び、組合員の皆さまからのどんなご質問にもただ回答するだけでなく、「この回答で本当に不安が解消されるか」を自問し、正確かつ迅速に安心をお届けすることを常に心がけました。また、法務全般についても自己研鑽を深め、幅広い知識を持つことに努めました。

これまで担当した印象深い案件は、鹿島沖で発生した座礁事故、瀬戸内海の衝突・油濁事故、インド洋での海難事故など、枚挙にいとまがありません。その中でも、米国でのステベドア(*)負傷事案は、自分の経験を深めることができ、印象に残っています。

米国で裁判に発展したこの案件では、組合員のご担当者からは毎日多くのご質問もあり、裁判の進行状況に合わせてタイムリーに回答する状況が長らく続きました。米国との時差もあり、体力的にも厳しい局面もありましたが、ご担当者と密接にコミュニケーションを取り合い、「今、ご不安に思われていることは何か」を把握することに努め、最終的にはご納得いただける形で解決することができました。改めて思い返してみると、このようなことを心がけながら、緊密なやり取りを行ったことで、組合員の皆さまに信頼いただき、安心いただけたのではないかと感じています。

(*)港で貨物の積み卸しを専門に行う船舶荷役請負業者

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組合員一人ひとりに合わせた安心を届けるクレームハンドリング

東京本部での勤務を経て、マネジメント職として今治支部に赴任し、組合員の皆さまと直接お会いする機会が大幅に増えました。この経験が、私のクレームハンドラーとしての価値観を変えることにつながりました。大規模事案解決の経験や、豊富な知識だけでは優秀なクレームハンドラーとはいえないと気づいたのです。

以前、とある加入船が人身損害クレームのため、中国での差押え事案を担当しました。私は一刻も早い本船の差押え解除を目指しつつ、当該組合員のご担当者が必要とされていることや心配されていることを推察し、同社への細やかな進捗報告もお送りしました。その後、手続きが難航したことから差押え解除には当初の想定よりも長い期間がかかってしまいましたが、ご担当者からは、定期的な報告を受け、逐一どのような状況か関係者間で共有できた点はありがたかったとご評価いただきました。

このような経験をとおして、クレーム対応で最も大切なことは、過去の成功体験に固執することなく、組合員一人ひとりの声に耳を傾け、置かれている立場や状況を深く推察して、オーダーメイドで安心いただけるクレームハンドリングサービスを提供していくことではないかと思い至りました。

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チーフスペシャリストとしての役割

今治支部での6年の勤務後、東京本部に戻り、マネジメント職から、損害調査のスペシャリスト職へ職種転換をしました。スペシャリスト職は、サービス品質のさらなる向上と高度な知見の活用を目指して、2023年に新設された職種です。

私は現在、組合初の損害調査部門のチーフスペシャリストを拝命し、難易度の高い案件対応と並行して、若手クレームハンドラーの育成にも尽力しています。事故対応は千差万別ですが、基本となるのは、『組合員から信頼していただけること』です。若手には、初動対応から解決までのシナリオ構築や関係各所連携手法に加え、組合員の立場や心境を推察して安心を提供するコミュニケーションの重要性を伝えています。

また、培ってきた知識と経験を海運業界全体へ還元することも重要な役割です。専門誌への寄稿やセミナーの講師、国際P&Iグループ(IG)の小委員会など、対外的な活動にも参加しています。「Inter-Club Agreement(ICA)」は、定期用船契約に基づく貨物クレームについて責任分担を明確にするためにIG加盟のクラブ間で定めたルールですが、2025年の改訂の一部に携わり、その内容を業界紙にも寄稿しました。

今後も、組合員さま目線でアンテナを張り続け、皆さまの利益につながるように行動していきます。

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Japan P&I Clubの社会的意義

私のキャリアは約20年ですが、当組合には75年の歴史があります。当組合を信頼してくださり、世代交代してもなお、長くお付き合いいただいている組合員さまも多くいらっしゃいます。この信頼関係こそ、私たちの諸先輩が組合員の皆さまと真摯に向き合い、培ってきた歴史の証であり、当組合の誇りです。

最近、歴史を継承していくことの重みをますます感じています。諸先輩が大切に培ってきた組合員の皆さまからの信頼を絶やすことなく、業務に真摯に向き合い、後輩を育て、この絆を次の世代に受け継いでいくことが私に課せられた役割だと考えています。これからもアジアに本部を持つ唯一のIG加盟クラブである当組合が、アジアの海運のみならず、世界の海運業界を盛り上げていけるよう日々研鑽し、貢献していきます。