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LOF契約書式及びScopic条項の改定

2000/10/06 第00-012号
  • 外航
共通回章
関係業界の代表で構成されるロイズ書式作業部会は、1997年以降、より平易で簡明な書式を作成すべくLOF(Lloyd's Open Form)の改定作業を進めてきた。目的は LOF2000と称するLOF改定書式の作成であり、作業自体及び当事者の権利義務に関する規定のみを含む構成とした。手続及び管理に関する規定は別途の付帯標準条項にまとめ、契約書中に引用して使用する形式とした。従って根本的改定というよりは、化粧直し的な改定である。

LOF2000契約書式の最終案は1枚の用紙の表裏に取りまとめられており、付帯条項はLSSA条項(Lloyd's Standard Salvage and Arbitration Clauses:ロイズ救助裁定標準条項)及びLloyd's Procedural Rules(ロイズ手続規則)にまとめられている。

Scopic条項は2年間の試用期間のうちの半分が経過したばかりだが、今回のLOF契約書式の改定にあわせて改定されることとなった。改定の主な理由は、従来のScopic条項はLOF95に特定しているためLOF2000を含める必要があったこと、及び同時にこの機会に不明瞭と批判されていたScopic条項の機能の一部を明確にすることであった。

改定Scopic条項は"Scopic 2000"と称され、主な改定個所は次のとおり。

・第1条では、Scopic条項が1989年国際救助条約第14条を取り入れているどのLOF書式にも適用できるよう 改められた。従ってScopic条項は、LOF90、LOF95及びLOF2000のいずれの書式でも使用可能となった。

・さらに第1条では、救助作業がScopic条項を取り入れたLOF書式で行われれば、Scopic条項が発動され ない場合でも従来の第14条の"Safety Net"は適用されないことを明確にした。

・第4条では、Scopic担保が2業務日以内に提供されなかった場合に救助者がScopic条項の発動を取り下げることができるとする権利は、取下げが通知される前に担保が提供された場合には行使できないこととした。

・第6条では、第13条報酬が実際に求められないあるいは支払われない場合でも、Scopic報酬の支払は、第13条報酬の予定額を超える部分のみであることを明確にした。またScopic条項に適用される通貨が、主救助契約書の通貨と異なるときの換算要領を明確にした。

・第9条の作業終了に関する規定は、救助者がScopic条項及び主救助契約書の両方の作業を一定の状況下で終了できることを明確にするよう改められた。

・付則A(Scopic料金表)の第1条(d)及び(e)は、救助作業に従事した人員に適用されるScopic報酬の対象期間を明確にするよう改められた。

・付則Aの第2条(a) (i)及び(iv)では、出動準備中又は撤収中のタグその他の舟艇及び必要な追加人員及び資機材へのScopic料率の適用要領を明確にした。

・付則Aの第2条(e)では、タグに常備されている可搬式救助用資機材の使用は、その他の救助用資機材と同様に報酬の対象となるとの説明が加えられた。

・付則Aの第2条(f), 第3条(d), (g)及び第4条では、作業中に喪失又は損傷したタグ及び可搬式救助用資機材へのScopic報酬の適用要領を明確にした。

・付則Aの第3条(c)では、可搬式救助用資機材の借用料へのCap(上乗せ)要領を明確にした。

・付則Aの第3条(f)及び第4条では、タグ及び資機材のdown-time(不稼働時間)、及び必要として準備されたが救助作業には使用されなかった可搬式救助用資機材に対し、50%のstand-by料率の適用を導入した。

・付則B(SCR;船主現場代理人)の第6条は、SCRを交代することができる状況を明確にするために新たに設けられた。

また事故におけるSCRの役割を明確にするための一連のガイドラインが設けられた。

Scopic条項、付則、ガイドラインの最新版の写は添付のとおり。

LOF2000及び改定Scopic条項は、2000年9月1日から使用開始される。

SCOPIC 2000

SCOPIC 条項


1.一般
このScopic条項は、1989年国際海難救助条約第14条(以下"第14条")の規定を取り入れたあらゆるロイズ救助契約書式"不成功無報酬"(以下"主契約書")の追加条項である。主契約書の用語の定義はScopic条項にも適用する。主契約書もしくは適用法との間に矛盾がある場合は、第2条の発動後はScopic条項の規定が主契約書の業務を効果ならしめるに必要な範囲で優先して適用される。第14条(1)−(4)のもとでの特別補償の査定方法は、第4条を条件として以下に規定する方式に差し替える。このScopic条項が主契約書に取り入れられている場合は、請負人は第4条に記載された状況を除き第14条による請求を行なわない。先取特権及び時効については、海難救助と同様とする。

2.Scopic条項の発動
請負人は状況の如何特に環境損害の恐れの有無にかかわらず、自己の判断でいつでも船主への書面通知により以下に規定するScopic条項を発動することができる。Scopic報酬の査定は船主への書面通知のときから開始し、書面通知以前の作業は一切Scopic報酬の対象にはならず、主契約書に取り入れられている救助条約第13条(以下"第13条")に従う。

3.Scopic報酬の担保
(i) 船主は、請負人よりScopic条項を発動する旨の書面通知を受け取ってから2業務日以内(土曜、日曜 及びロイズの認める休日を除く)に、請負人の満足する文言により、 Scopic報酬請求の支払を約束 した利息と法的費用を含む総額US$3,000,000の銀行保証状又はPIクラブ保証状(以下"初期担保") を請負人に提供する。

(ii) 初期担保が提供されて以後いつでも、利息と法的費用を含むScopic報酬の船主による試算額が提供済 の担保の額を下回る場合は、船主は請負人に対して担保額を妥当な額に減額するよう要求することが でき、妥当な額が合意されたならば、請負人は減額に応じなければならない。

(iii)初期担保が提供されて以後いつでも、利息と法的費用を含むScopic報酬の請負人による試算額が提供 済の担保の額を上回る場合は、請負人は船主に対して担保額を妥当な額に増額するよう要求すること ができ、妥当な額が合意されたならば、船主は増額に応じなければならない。

(iv) 合意できない場合の担保の提供者、担保の種類及び発行済の担保の額の増減に関する争いの解決は、 仲裁人の裁定による。

4.取下げ
船主が2業務日以内に初期担保を提供しない場合、請負人が望むのであれば船主に対する通知により、Scopic条項の全規定の適用を取り下げ、Scopic条項がない場合に適用される第14条を含む主契約書のもとでの権利を回復することができる。ただしこの取下げの権利は、取下げ通知時に船主が初期担保又は船主と請負人が満足して合意する他の担保を提供していない場合にのみ行使することができる。

5.料金表料率
(i) Scopic報酬とは、人員、タグその他の舟艇、可搬式救助機材、現金支出及びボーナスに関する各料金表 料率の合計額を意味する。

(ii) 全ての人員、タグその他の舟艇及び可搬式救助機材に関するScopic報酬は、付則Aの料率に従い、所要 時間と資機材を基準に付則Aの料金表に基づき査定する。この料金表は、付則B第1条(b) に従ってSCR 委員会が見直し修正するまで適用する。Scopic報酬の計算には、その救助作業が行われた時に有効な 料金表料率を使用する。

(iii)"現金支出"とは、請負人又はその代理人が第三者に合理的に支払った全ての金額 を意味し、使用した人員、タグその他の舟艇、機材及び作業のために必要としたその他の費用も含む。それらの費用の承認は以下の条件による。
(a) その費用が、他のISU会員又はその関係会社から借用した人員、タグその他の舟艇及び機材に 関する場合は、実費とは無関係に付則Aに記載した料金表の料率により支払額を計算する。

(b) 人員、タグその他の舟艇及び機材がISU会員以外の者からの借用であり、その料率が付則Aに 記載した料率より高い場合には実費を全額認める。ただしShipowner's Casualty Representative(船主現場代理人:以下"SCR")が状況を勘案して、その料金での請負人に よる借用を合理的と認めることを条件とする。SCRを指名していない場合又は争いがある場合 は、仲裁人が状況を勘案の上、その費用が合理的かどうかを判断する。

(iv) 請負人は、上記の料金及び現金支出に加え、それらの25%を標準ボーナスとして受取ることができる。ただし上記第5条(iii)(b)に規定する現金支出が付則Aの適用料率より高額な場合は、請負人はボーナスとして次の合計額のいずれか高い方を受け取ることができる。
(a) 人員、タグその他の舟艇及び機材の実費プラス料金表料率の10%。

(b) 人員、タグその他の舟艇及び機材の料金表料率プラスその25%。


6.第13条報酬
(i) 主契約書による救助作業は、請負人がScopic条項を発動しても引続き第13条のもとで査定される。上記 第5条で査定したScopic報酬は、全ての被救助関係者(貨物、燃料油、潤滑油及び貯蔵品を含む)が 利息と法的費用を除いて通貨調整後に支払うべき第13条報酬(もしなければ潜在的な第13条報酬)の総額を超過した額についてのみ、第13条報酬の全部又は一部が回収不能の場合でも船主が支払う。

(ii) 第13条の報酬が米ドル以外の通貨の場合には、 Scopic条項での計算を目的として、主契約書のもとでの作業が終了した時点の換算率で米ドルに換算する。

(iii)第13条の救助報酬は、Scopic報酬規定中の"不成功無報酬"原則の適用除外を理由として減額されることはない。

7.減額
上記第2条に基づいてScopic条項が発動され、主契約書の第13条の報酬又は精算(通貨調整後とし、利息と法的費用を除く)がScopic報酬査定額を超過する場合には、Scopic条項の援用日にかかわらず第13条の報酬又は精算は、作業開始日にScopic条項が発動されたとものとして計算したScopic報酬査定額を超過する部分につきその25%を減額する。

8.Scopic報酬の支払
(i) 本条項のもとで支払われるScopic報酬の支払日は状況により異なる。 (a) 主契約書に取り入れられた第13条での救助報酬の支払見込みがなければ、Scopic報酬のうちの争い のない金額は、付則B第5条(c)(iv)を条件として請求後1ヶ月以内に船主が支払う。支払うべき金額に対する作業終了日より支払日までの利息は、米国プライムレートに1%を加えたものとする。

(b) Scopic報酬に加えて第13条の救助報酬の請求がある場合は、 Scopic報酬の査定額のうち、船貨に要求した第13条の担保額を超える部分の75%は、付則B第5条(c)(iv)を条件として1ヶ月以内に船主 が支払い、残額のうち争いのない部分は、第13条の救助報酬を計算して支払うときに支払う。作業終了日より支払日までの利息は、米国プライムレートに1%を加えたものとする。

(ii) 請負人は、最終的なScopic報酬が内払い額よりも少ないことが判明した場合には、船主が要求する方法で過払い分を払い戻すことに同意する。

9.作業の終了
(i) 請負人は、既経過分の作業費と被救助財物に関する義務を履行するために今後要する作業費の合計(料金表により計算し、第5条(iv)のボーナスは含まない)が次の金額を超過する場合は、船主へ書面 で通知し、その写をSCRと特別代理人に渡したうえで、Scopic条項及び主契約書のもとでの作業を終了 させることができる。 (a) 被救助財物の価額、かつ (b) 請負人がScopic報酬として受取ることのできる全ての金額

(ii) 船主は、第2条のもとでScopic条項が発動された後いつでも、Scopic報酬の支払義務を終了させることができる。ただし請負人には終了通知の受領後、少なくとも正味5日の猶予が与えられる。終了の場合のScopic報酬の査定には、付則Aの料金表に基づいて支払われるべき全ての金額を考慮し、さらに終了通知後5日間の猶予期間を合理的に超過した撤収時間を含む。

(iii)上記第9条(i)及び(ii)の作業終了に関する規定は、作業現場を管轄する政府、地方自治体、港湾局、その他の当局により請負人が機材の撤収を抑制されない場合に限り適用される。

10.請負人の職務
請負人の職務及び責任は主契約書と同様であり、船舶及び船舶上の財物の救助に最善を尽すとともに、作業にあたり環境損害の防止軽減に最善を尽さなければならない。

11.SCR(船主現場代理人)
第2条によりScopic条項が発動された場合、船主は独自の裁量により付則 Bの条件に従ってSCRを指名し、救助作業に立ち会わせることができる。

12.特別代理人
Scopic条項が発動された後いつでも、船舶保険者(複数の場合はその主幹事)及び本船貨物の全部又は一部の荷主又は保険者のうちの1名は、それぞれ付則Cの条件に従い費用自己負担により特別代理人(以下それぞれ"特別船舶代理人"及び"特別貨物代理人"、総称して"特別代理人")を指名し、救助作業を視察し報告するために事故現場に立ち会わせることができる。これらの特別代理人は技術者とし、開業弁護士であってはならない。

13.汚濁防止
Scopic報酬の査定の対象には、救助作業の実行のために必要とする限りにおいて、本船隣接区域の汚濁の防止及び除去作業を含む。

14.共同海損
Scopic報酬は第13条報酬を超える範囲について共同海損費用にはならない。Scopic報酬の支払責任は船主にのみ帰属し、直接請求であれ間接請求であれ、補償請求であれ求償請求その他であれ、第13条報酬を超えるScopic報酬は共同海損に算入されず、また船主の船舶保険証券のもとでもてん補されない。

15.このScopic条項により、又はその運用にあたって生ずるあらゆる係争は、主契約に定める仲裁に付されるものとする。

付則A(Scopic)
1.人件費
(a) 契約上合理的に雇用した人員の、事故現場への行帰りを含む1日当り(1日未満は按分)の料率は次の とおり。
・通信を含む事務管理US$1,000
・サルベージマスター 1,500
・救助技師、海事技師 1,250
・救助技師助手 1,000
・潜水監督 1,000
・潜水士 750
・救助技師 750
・装備士、整備士、機材操作員 650
・特別顧問 − 消防士、化学専門家、油濁管理者 1,000

(b) 通常の作業のために乗船しているタグその他の舟艇の乗組員はタグその他の舟艇の料金に含まれるが、当該作業の性質及び地域を理由として追加の乗組員が法律上要求される場合には、追加の乗組員の費用は別途支払われる。
(c) 上記に含まれない人員の料率はSCRの同意を得るものとし、同意が得られない場合は仲裁人の裁定による。
(d) 疑義を避けるための確認として、人員とは付則A第1条(a)でいう合理的に契約雇用された者とし、作業する者に加え現場で食事し、睡眠その他の休憩を取り、出張行帰りする者を含む。合理的に契約雇用されている間に疾病にかかり又は負傷した者は、動員を解かれるまでの間は適切な日当が支払われるが、その者の最初の動員が合理的であった場合に限る。
(e) 現場で死亡した者に関するScopic報酬は、死亡日以降は適用しない。

2.タグその他の舟艇
(a) (i) タグには、救助曳船、港内曳船、揚錨船、航洋曳船(沿海/外洋)、沖合作業船及び500馬力を 超えるその他の作業船を含み、燃料と潤滑油を除き、合理的に作業に従事した日の1日当り(1日 未満は按分)証明書上の馬力に応じて次の料率を適用する。作業従事には、Scopic条項を発動した時又はタグが出動準備にかかった時のいずれか遅い時の場所から現場まで向かう間を含み、さらに作業終了時にタグが現場から作業又はスタンバイにとりかかる前の雇用開始地まで帰る間を含む。
・5,000馬力まで1馬力当りUS$2.00
・5,001馬力から10,000馬力まで1馬力当り 1.50
・10,001馬力から20,000馬力まで1馬力当り 1.00
・20,000馬力以上1馬力当り 0.50
(ii) 基準に合った消火設備を搭載するタグは、その設備の使用を必要とする消火作業に従事した期間について、上記に加え次の料率を上乗せして支払う。
    ・FiFi 0.5装備であれば1日当り(1日未満は按分) US$ 500
    ・FiFi 1.0装備であれば1日当り(1日未満は按分) US$ 1,000
(iii) 砕氷資格を持つタグは、往復を含む砕氷作業従事期間につき上記に加え1日当り(1日未満は按分) US$1,000を上乗せして支払う。
(iv) 第2条(a) (i) の適用にあたり、当該サイズ及び型のタグであれば通常は搭載していない救助資機材及び人員で、請負人が作業遂行に必要と判断するこれらのものを搭載するためのタグの合理的な遅れ又は離路の期間も報酬の対象とする。(b) 500馬力以下の交通艇及び作業船は、燃料油、潤滑油を除き1馬力当りUS$ 3.00の料率を適用する。
(c) 上記以外の舟艇は燃料油、潤滑油を除き当該舟艇の市場料率を適用する。その料率についてはSCRの同意を得るものとし、同意が得られない場合は仲裁人の裁定による。
(d) 作業期間中に消費した全ての燃料油及び潤滑油は代替品購入実費を支払うものとし、現金支出項目として扱う。
(e) 疑義を避けるための確認として、上記の料率はタグその他の舟艇上に通常搭載される可搬式救助機材を含まず、その機材は可搬式救助機材と同じ料率を適用する。請負人はその機材に関し、付則A第3条及び第4条(i)、(ii)に従い報酬を受取ることができる。
(f) 推定全損になったタグその他の舟艇については、作業従事を停止した後の合理的な撤収時間以降はScopic報酬は適用しない。撤収期間中のScopic報酬はその推定全損が作業中に生じたときにのみ支払われるが、請負人又はその使用者、代理人、下請人の過失により生じた場合を除く。

3.可搬式救助機材
(a) 作業中合理的に使用された全ての可搬式救助機材の1日当り(1日未満は按分)の料率は、搬入、撤収の時間を含め次のとおりとする。

率 - US$ 率 - US$
     
発電機  2" 6m又は20f当り10
50kW以下60 4" 同15
51-100kW125 6" 同20
101-300kW200 Rigid(固ホース) 
301kW以上350 2" 6m又は20f当り15
   4" 同20
可搬式イナートガス装置  6" 同25
1,000m3/時1,200 8" 同30
1,500m3/時1,400   
   防舷材 
コンプレッサー  横浜式 
高圧100 1.00m x 2.00m75
185Cfm150 2.50m x 5.50m150
600Cfm250 3.50m x 6.50250
1200Cfm400 低圧膨張式 
エアーマニフォールド10 3m70
送風機;1,500m3/min850 6m70
   9m150
ポンプ  12m250
エアー  16m250
2"75   
ディーゼル  溶接、切断機材 
2"50 ボルトガン300
4"90 ガス検知機100
6"120 ホットタップマシン,1,000
水中電動  付属装置含む 
2"50 ガス切断機25
4"150 水中切断機50
6"500 水中溶接機50
油圧  250Amp溶接機150
6"600 400Amp溶接機200
8"1,000  
   配電機 
ホース  50kW以下60
エアーホース51-100kW 125 
3/4" 30m又は100f当り20 101-300kW200
2" 同40 301kW以上350
Layflat(軟ホース)   
防護服  収納器具 
呼吸器50 10' コンテナ25
危険環境防護服100 20' コンテナ40
     
汚濁防除機材  その他の機材 
オイルフェンス24" 10m当り30 エアーバッグ5トン吊以下40
同 36" 10m当り100 5-10トン吊200
同 48" 10m当り195 エアーリフト4"100
   6"200
潜水機器  8"200
減圧室  エアーウィンチ3トン以下75
2名用コンプレッサー込み500 バラスト/燃料油収容容器100
4名用コンプレッサー込み700 50,000リットル 
温水スーツ250 チェーンソー20
水中磁石20 スタビリティー計算用250
水中ドリル20 コンピューター及びソフト 
浅瀬潜水具225 可搬式音響測深儀25
   伸長式梯子20
照明装置  油圧式ジャッキ100トン以下75
照明用電線 50f当り25 油圧発生装置75
照明用タワー50 高圧洗浄装置: 水式250
水中照明装置 1,000ワット75 蒸気式450
   吊上げ装置:重量用400
ウィンチ  軽量用200
20トン以下200 岩用の:ドリル50
ワイヤー50m含む  砕岩機400
   鉄鋸20
シャックル  ターフォース、5トン以下10
50トン以下10 熱感式暗視カメラ250
51-100トン20 道具パッケージ、一式175
101-200トン30 換気パッケージ、一式20
200トン以上50 VHFラジオ10
   ラバーボート、船外機付き 
   14フィート以下200
   14フィート以上350

(b) 上記に記載のない可搬式救助機材が作業に従事した場合は、SCRが同意する料率を適用するものとし、 同意が得られない場合は仲裁人の裁定による。

(c) 請負人が所有する可搬式救助機材の各項目の合計金額(ボーナス以前)は、作業最終日における製造元希望小売価格 x1.5を超えてはならない。

(d) 作業中に滅失又は破損した可搬式救助機材に関する補償金の支払は、その補償額とその機材の1日当り の料率金額(ボーナス以前)との総額が、請負人の基地で最も類似した新しい機材と交換する費用 x1.5を超えてはならない。

(e) 溶接棒、つなぎ作業服、細紐などの消費資材は実費で支払うものとし、現金支出項目扱いとする。

(f) 請負人は、合理的に搬入されたが救助作業に使用されなかった可搬式救助機材に関し、スタンバイ料率として、料金表料率の50%+ボーナスで報酬を受取ることができる。

ただし、
  (i) その搬入について船主の事前同意があったか、又は事故状況からその搬入が合理的であったか、
  もしくは、
  (ii) それがタグ又はその他の舟艇に通常搭載されている可搬式救助機材に含まれ、もし搭載されていなかったならば搬入するのが合理的と思われるものとする。

(g) 推定全損になった可搬式救助機材については、使用不可となった後の合理的な撤収時間以降は、Scopic報酬は適用しない。撤収期間中のScopic報酬は、その推定全損が作業従事中に生じた場合にのみ支払 われるが、請負人又はその使用者、代理人及び下請人の過失により生じた場合を除く。

4.修理期間
タグ及び可搬式救助機材が故障又は破損した場合は、それが請負人、その使用人、代理人及び下請人の過失によらないものであり、また作業遂行の直接の結果として生じたものであれば、現場での修理期間中は、スタンバイ料率として料金表料率の50%+Scopic条項第5条(iv)による上乗せの支払を受取ることができる。
もしタグ及び可搬式救助機材が故障又は使用不可となり、それが請負人、その使用人、代理人及び下請人の過失によらず、また作業遂行の直接の結果として生じたものであって、現場での修理ができない場合には、

(i) その後使用不可能となり、現場に放置される場合には、そのタグ又は可搬式救助機材には、故障時以降Scopic報酬は支払われない。

(ii) 現場から搬出され、修理後合理的に現場に戻された場合には、故障時より現場復帰までの期間、料金表料率の50%+Scopic条項第5条(iv)によるボーナスのスタンバイ料率でScopic報酬を受取ることができる。

(iii)現場から搬出されたが戻されなかった場合には、故障時以降のScopic報酬は支払われない。ただし基地に直接戻された場合に要する期間について、料金表料率の50%+Scopic条項第5条(iv)によるボーナスのスタンバイ料率で、Scopic報酬を受取ることができる。


付則B(Scopic)

1.(a) SCRは、次の代表者で構成す委員会(以下"SCR委員会")が指名した登録名簿 (以下"SCR名簿")の中から選任する。
  • 国際PIグループから3名
  • ISU(国際救助者連盟)から3名
  • IUMI(国際海上保険連合)から3名
  • ICS(国際海運会議所)から3名
(b) SCR委員会は、付則Aに規定した料金表料率の毎年の見直しにつき責任を負う。
(c) SCR委員会は毎年1回ロンドンにて会合を開き、SCR名簿登録者の再考、確認、再確認及び解任を行う。
(d) SCR名簿の構成はSCR委員会委員の推薦によるものとし、反対票が3票以下であればSCR名簿への登録が認められる。
(e) SCR委員会は次年度のSCRの報酬額を定め承認する。
(f) SCR委員会委員は無報酬とする。
(g) SCR委員会の会議及び業務は、Lloyd's法人のSalvage Arbitration Branch(以下 "Lloyd's")により運営されるものとし、Lloyd'sはSCR名簿登録員の現在の登録名簿を管理し、善意の関係者の利用に供する。
(h) SCR委員会は手続事項(議決に要する定数、議長の身分、権限など)に関して、内部の実務規定を定めることができる。

2.SCRの主要な任務は請負人と同じであり、船舶及び船舶上の財物の救助を支援し、その間の環境損害の 防止軽減に最善を尽すことである。

3.サルベージマスターは常に作業の最終責任者であり、自分が最善と思う方法で全ての最終決定を下し、 作業に対して責任を負う。

4.SCRはサルベージマスター又はその代理人から、もしサルベージマスターがいない場合には請負人の 現場責任者(以下"サルベージマスター")から常時情報を得ることができる。サルベージマスターは 作業中状況が許せばSCRの意見を聞くものとし、またSCRは現場到着後は、サルベージマスターに助言 することができる。

5.(a) Scopic条項の発動後サルベージマスターは、次の内容の救助作業日報(以下"救助作業日報")を 提出する:−
  • 救助計画(変更があれば都度)
  • 事故及び周囲の状況(変化があれば都度)
  • 作業の進展
  • 当日作業に使用された人員、機材、タグその他の舟艇


(b) SCRが現場に到着するまでの間は、救助作業日報はLloyd's及び船主に送られる。SCRが指名されて現場に到着した後は、救助作業日報はSCRに渡される。

(c) SCRは救助作業日報を受取った後、
(i)救助作業日報の写しを合理的に可能な最も早い方法で、Lloyd's、船主、その責任保険者及び現場にいる(Scopic条項第12条及び付則Cで指名された)特別船舶代理人及び特別貨物代理人に渡す。特別船舶代理人が現場にいなければ、SCRは救助作業日報を知れている船舶保険幹事会社又はその代理人に直接送付する。特別貨物代理人が現場にいなければ、SCRは救助作業日報を知れている貨物保険者又はその代理人に送付する(この付則Bでは、以後これらの船舶及び貨物の保険者を"知れている財物保険者"という)。

(ii)状況が許せばサルベージマスターと話合い、満足であるかどうかを記載して救助作業日報に裏書きする。

(iii)救助作業日報に満足できなければ、反対意見又は異なる考えを記載した異議報告書を作成し、サルベージマスターに渡すとともに、Lloyd's、船主、その責任保険者及び特別代理人(Scopic条項第12条及び付則Cで指名された)、又は 特別代理人が指名されていなければ適当な知れている財物保険者に渡す。

(iv)SCRがScopic条項の付則B第5条(c)(iii)に従ってサルベージマスターへの異議報告書を作成した場合は、Scopic報酬の当初の支払いは、論争が合意又は仲裁によって解決するまでは、SCRが適当と考える機材及び作業の適用料金表料率によるものとする。

(d) Lloyd'sは救助作業日報及びSCRの異議報告書を受取ったならば、本契約書の当事者及びその知れて いる財物保険者(以下"関係者")及び本船の責任保険者に、要求ある場合その報告書を配布する。

(e) SCRは救助作業が終了後合理的速やかに、次の内容を記載した報告書(以下"SCR最終救助作業報告書")を作成する。
  • そのときまでに知り得た事故及び救助作業の事実及び状況
  • 作業遂行上請負人が手配したタグ、人員及び機材
  • Scopic条項のもとで請負人に認められるScopic報酬の計算額
SCRは最終救助作業報告書を船主、その責任保険者及びLloyd'sに送付し、それらの者はそれを関係者に配布する。

6.(a) 船主は次のいずれかの場合SCRを交代させることができる。 (i) SCRが船主に書面で交代を要請した場合(しかしながらSCRは作業期間中を通して現場に滞在するよう期待されており、交代は例外的な事情があった場合のみとすべきである)
(ii) SCRが身体的又は精神的にその職務を遂行することができない場合
(iii)全ての救助利害関係者又はその代理人がSCRの交代に同意する場合

(b) SCRの交代者に指名される者はSCR名簿からのみ選択することができる。

(c) SCRは指名されている間及び交代者到着まで物理的に可能な限り作業期間を通して現場に滞在するものとし、現場を離れる前に交代者のSCRに救助作業に関する自分のファイルその他全ての交信記録、コンピューターデータ及び関係書類を手渡し、十分引継ぎを行なう。

(d) 作業終了時のSCRが最終救助報告書の作成責任を負い、その役割を果すために前任又は交代のSCRから充分な協力を得ることができる。

7.船主はSCR費用の一義的支払責任を負う。仲裁人はSCRの費用を按分して主契約書の報酬に含める権限を 有し、その際にはその時有効なあらゆる一般的合意原則を尊重する。



付則C:特別代理人
1.サルベージマスター、船主及びSCRは特別代理人に協力し、救助作業を観察するための本船への出入りを認め、救助作業に関連する本船関係書類の閲覧を認める。

2.特別代理人は事情が合理的に許す限り、救助作業に関連した全ての重要な事実の報告を受ける権利を有する。

3.指名を受けたSCRは、事情が許せば特別代理人に全てを報告し協議しなければならない。特別代理人は救助作業日報の写しをサルベージマスターから直接、又は指名されたSCR経由で受け取ることができる。

4.本船及び貨物関係者が特別代理人を指名した場合でも、船貨の検査及び本船書類の調査その他の合法的目的のために、他の専門家又はサーベイヤーを本船に派遣する権利は損なわれない。

5.SCR及び特別代理人が指名されたならば請負人は、SCR及び特別代理人以外のサーベイヤー及び代理人の現場介在が救助作業の相当な妨げになり危険であると合理的に判断した場合、それらの者の接近を制限することができる。



SCRガイドライン
1.始めに
1999年8月1日より、Scopic条項は救助契約書式 Lloyd's Open Form"No Cure No Pay"による救助契約書と連動して使用されることが正式に承認された。1989年国際海難救助条約の第14条では、救助料(Salved Fund)が救助作業に使用したタグ及び機材に対する費用及び適正料率(Fair Rate)を回収するのに不十分であれば、救助者は特別補償を受取ることができると規定している。Scopic条項はこの考え方を踏襲しているが、救助者の特別補償を計算するにあたり、料率表料金及び25%の固定ボーナス方式を採用した。船主が指名する船主現場代理人(SCR)は、Scopic条項のもとで全ての関係者及び保険者の代理としての役割を果す。彼の役割は救助者の作業及び責任を監視し、救助者が船主に対して提起するScopic報酬クレームの解決のための基礎となる最終救助報告書を作成することである。SCRはSCR名簿の中から船主が選択し、その名簿のメンバーは、国際PIグループ、国際救助者連盟、国際海上保険連合及び国際海運会議所の代表者によって構成される委員会(以下"SCR委員会")によって選任される。SCR委員会はSCRに対し、証拠の収集、救助作業の監視、最終救助作業報告書(Scopic報酬の暫定計算を含む)の作成における彼らのSCRとしての役割を果すことを助けるために、次のガイドラインを公表した。

2.SCRの職務
(a) Scopic条項の付則B第3条では次のように規定している。
"サルベージマスターは常に作業の最終責任者であり、自分が最善と思う方法で全ての最終決定を下し、作業に対して責任を負う。"

(b) Scopic条項の付則B第2条では次のように規定している。
"SCRの主要な任務は請負人と同じであり、船舶及び船舶上の財物救助を支援し、その間の環境損害の防止軽減に最善を尽すことである。"

(c) SCRの職務はサルベージマスターに報告し、意見を述べ、相談することであり、異議申立書(必要に 応じ)及び最終救助作業報告書(Scopic条項、付則B第5条(d), (e))を作成することである。

(d) SCRの職務は必要であればサルベージマスターの救助日報を承認し、いずれの場合にもそれを関係者に回覧することである( Scopic条項、付則B第5条(c) (i),(ii)参照)。

3.SCRの権限(a) SCRはサルベージマスターに報告し、意見を述べ、相談しなければならないが、救助作業の指揮は執らない。

(b) SCRは救助作業方法、タグの型及び隻数、人員及び使用機材につき不同意であれば、速やかにサルベー ジマスターに書面で報告しなければならない。またSCRはサルベージマスターの救助作業日報に不満足であれば、異議報告書を作成する(Scopic条項、付則B第5条(c) (iii)参照)。しかしながらSCRは、救助作業における調達資機材の増減についてサルベージマスターに指示することはできず、その判断は サルベージマスターの裁量の内である。

(c) SCRは船主及び荷主に特定の行為を要請することはできない。SCRはいつ誰にでも直接接触することは できるが、全ての救助関係者に写しを送付することを条件とする。

(d) SCRの権限及び職務は限定されており、当該救助作業に至る事故につながった出来事に関して、被救助 財物及び救助者に利害関係を持つ者の行為および怠慢に関し、民事上及び刑事上の責任は負わない (ただし以下第8項参照)。

(e) SCRの判断及び見解は関係者を拘束しない。それは明らかに影響は与えるが、関係者が一人でも受け入れなければ最終判断は仲裁人による。

4.特別代理人とSCR(a) 特別代理人は、状況が許す範囲で救助作業に関する全ての重要な事実の報告を受ける権利を有する (Scopic条項、付則C第2条参照)。特別代理人は、救助作業及び救助条約第13条のもとでの救助報酬 並びにScopic報酬の算定に関する重要な問題につき、調査し、観察し、確認し、報告するためにのみ本船に乗船する。

(b) SCRは特別代理人に協力するものとし、SCR、船主及び救助者は、共同して特別代理人に"救助作業を観察し、救助作業に関連する本船書類を調査するための本船への自由な接近"を容認する(Scopic条 項、付則C第1条)。

(c) SCRは特別代理人にサルベージマスターの救助作業日報及び異議報告書を、受取り又は発行次第もしくは特別代理人がその後指名されたのであれば指名され次第速やかに提供する(Scopic条項、付則C第3条)。

(d) サルベージマスターの負担を軽減するため、特別代理人が有するサルベージマスターと連絡をとる権利 はSCR(既に現場にいれば)経由で行使する。このことはサルベージマスターが特別代理人と話すことを望むのであれば、それを妨げるものではない。

(e) 特別代理人が権限外の行動をしていると疑わしいときであっても、SCRは特別代理人を取り締まる立場にはない。そのようなときはSCRは全ての関係者に通知し、対応方針を船主の判断に任せる。

5.サルベージマスターとSCR
(a) 第2項(a),(b)に触れたとおり、サルベージマスターは救助作業全体について責任ある立場であり、SCR は(サルベージマスターと同様に)船舶及び船舶上の財物の救助を支援し、環境損害の防止軽減に最大 限努力する義務を負う。

(b) Scopic条項、付則B第4条によりSCRは次の権利を有する。
  • サルベージマスター及び請負人責任者又はその代理人より継続して情報を受ける
  • 作業中状況が許せばサルベージマスターから相談を受ける
  • SCRは現場でサルベージマスターにアドバイスできる(受け入れるかどうかはサルベージマスターの全くの自由)


(c) サルベージマスターの救助作業日報はSCRに渡されなければならず、また付則B第5条(a)の情報を含んで いなければならない。SCRは救助作業日報の正確性及び満足度を確認しなければならず、もし同意でなければ異議報告書を発行する。異議報告書は全てサルベージマスター及びScopic条項、付則B第5条 (c)(iii)に記載されたその他の関係者に、合理的に可能なできるだけ早い方法で渡す。全ての報告書は 可能であれば書面で作成しなければならない。サルベージマスターは添付1(省略)の書式で報告書を作成するものとし、SCRは添付2(省略)の書式によるCosts Scheduleを作成して救助作業日報に添付 するよう努める。

(d) Scopic条項の発動時からではなく救助作業開始時より、Scopic報酬を計算するための十分な情報をサルベージマスター、本船の船長その他の者から得るのはSCRの職務である。このことはScopic条項第7条に従って1989年国際海難救助条約第13条の救助報酬からの減額の算定を容易にする。救助者、本船の船長及び船主は、この作業においてSCRに協力しなければならず、特にSCRに作業開始時よりの救助作業日報、当該作業に従事した及び事故に関係したタグその他の舟艇の甲板日誌の写、及びSCRがこの目的で合理的に要求するその他に書類の写を提供しなければならない。

6.SCRの最終救助作業報告書
(a) Scopic条項、付則B第5条(e)では次のとおり規定している。 "SCRは救助作業が終了後合理的速やかに、次の内容を記載した報告書(以下"SCR最終救助作業報告 書")を作成する。
  • そのときまでに知り得た事故及び救助作業の事実及び状況
  • 作業遂行上請負人が手配したタグ、人員及び機材
  • Scopic条項のもとで請負人に認められるScopic報酬の査定額
SCRは最終救助作業報告書を船主、その責任保険者及びLloyd'sに送付し、それらの者はそれを関係者に配布する。"

(b) SCRの最終救助作業報告書に記載されるべき項目には、入手した報告書及び計算書からSCRが知り得た及び確認した事故及び救助作業の事実及び状況(ただし意見を除く)を含む。この報告書は事故原因を 究明するためのものではなく、単に生じた問題を究明するためのものである。例えば報告書には操舵装置は操作不可能と記載することはあるが、故障の原因が整備不良であることを示唆してはならない。

(c) 第13条報酬の支払責任が生ずる場合の最終救助作業報告書には、Scopic条項第7条規定による第13条報酬の減額分を算定する目的で、作業開始時からのSCRによるScopic報酬額の計算も含めなければならない。第13条報酬の支払責任は、作業終了時に被救助財物の価値が残っている場合には常に生ずる。

(d) SCRの最終救助作業報告書の記入例は、添付3(省略)のとおり。

(e) (i) SCRの最終救助作業報告書は、救助作業終了後できるだけ早く発行されなければならない。その目的のためSCRは、実務上可能な限り現場で最終救助作業報告書作成作業を進めるものとする。

(ii) 救助者、その下請人、その他の者からの情報の遅れのためにSCRの最終救助作業報告書の作成が遅れる場合、情報を待つ間SCRは次の記載を含む暫定的な最終救助作業報告書を作成する。
  • 付則B第5条(e)の情報で既入手のもの
  • これが暫定的な報告書であること
  • どのような情報を待っているか、及びその概算額


(iii)SCRの最終救助作業報告書及び暫定最終救助作業報告書は、できるだけ早く遅くとも救助作業終の1ヵ月以内に発行されなければならず、船主、Lloyd's、船主責任保険者に送付されなければならない。

7.未解決のScopic報酬計算
もし当事者が具体的事例においてScopic報酬の計算に合意できない場合、SCRは注意書きを付したうえ合意できない項目を除いた報告書を作成する。未解決部分についてはいづれかの当事者による仲裁人裁定にゆだねる。

8.責任保険
SCRは現場における自分の役割を遂行する間、自分が怪我をしないよう、及び自分の所持品又は第三者に損傷を与えないよう充分注意するものとし、Lloyd's及びSCR委員会はそれらの負傷、損傷については原因の如何にかかわらず責任を負わない。SCRには次の項目に関する適当な金額での保険を付保するよう強く勧める。
(a) 怪我、事故、死亡、又は後遺障害
(b) 第三者責任
(c) 職務上責任