米国カリフォルニア州バラスト水管理プログラムについて
2000/02/02 第99-025号
- 外航
米国カリフォルニア州(加州)は、2000年1月1日より、米国排他的経済水域(U.S. EEZ)外から州内の港に入港する船舶に対し、新たにバラスト水管理プログラムの実施義務を課しております。この新規則の概要は以下のとおりです。 | |||||||
1. | 適用船舶 | ||||||
加州バラスト水管理プログラム(バラスト・プログラム)は、以下の適用除外船舶を除き、すべての船舶に適用されます。 | |||||||
(1) | バラストタンクを装備していない船舶 | ||||||
(2) | 米国西岸(太平洋側)の排他的経済水域外からのバラスト水を保持せずに加州水域に入る船舶 | ||||||
(3) | バラスト水中の外来水生生物を死滅させる機能的処理システムが備わっている客船 | ||||||
(4) | バラスト水や沈殿物をその取り入れ地域のみで排出する船舶 | ||||||
(5) | 加州水域を無害通航する船舶 | ||||||
(6) | 荒天、本船の設計上の制限、機器の故障あるいはその他の異常事態により、バラスト水の入れ替えが、本船、乗組員または船客の安全を脅かすと船長が判断した船舶。 | ||||||
2. | 要求内容 | ||||||
適用船舶は、以下の対応を取ることが要求されます。 | |||||||
(1) | バラスト水管理 | ||||||
船長は、U.S. EEZ外から加州水域に運ばれる本船バラスト水について以下の手段の内少なくとも1つを実施しなければならない。 | |||||||
① | 加州水域入域前のEEZ外を航行中に、加州沿岸から200海里以上離れかつ水深2,000m以上の水域でバラスト水を交換すること。 交換とは以下のいずれかの方法によりバラストタンクの水を入れ替えることをいう。
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a. | 「溢水交換」− タンク内の残存水生生物を極少とするため、満水量の3倍が入れ替わるまで外洋海水のタンクの底からの漲水とバラスト水の上方排出口からの排出を継続する方法。 | ||||||
b. | 「全量排出/再漲水交換」− 加州水域外の港湾、河口域又は領域内で取り入れたバラスト水を、タンクが空になるまであるいは船長が安全と判断する範囲でできる限り100%近くまで排出した後、外洋海水を再漲水する方法。 | ||||||
② | バラスト水を排出せず本船上に留めること。 | ||||||
③ | 非常事態においては、加州土地委員会(CSLC)が認める海域内でバラスト水の入れ替えを行うこと。 | ||||||
(2) | 適切な管理の実施 | ||||||
加州水域を航行するすべてのバラストタンク装備船舶の船長は、外来水生生物の取り込みや放出を最小限にするために以下に揚げるすべての措置を取らなければならない。 | |||||||
① | 海洋生物保護区域、海洋自然保護区域、海洋公園又はさんご礁帯に直接影響を与える可能性のある海域においてはバラスト漲排水を行わないこと。 | ||||||
② | 以下の水域や状況下においてはバラスト漲水を抑止ないし最小限にとどめること。 | ||||||
a. | 有害水生生物や病原体の蔓延又は棲息が知られている水域 | ||||||
b. | 汚水排出口付近の水域 | ||||||
c. | 浚渫作業付近の水域 | ||||||
d. | 潮流が弱いとされる水域又は潮流が混濁するとされる時間帯 | ||||||
e. | 海底に生息する水生生物が水柱状に浮き上がってくる可能性のある夜間 | ||||||
f. | プロペラが沈殿物を撹拌する可能性のある場合 | ||||||
③ | バラストタンク清掃 | ||||||
a. | 沈殿物の除去のためバラストタンクは定期的に清掃すること。 | ||||||
b. | バラストタンクの清掃は遠洋水域又は港内・乾ドック等管理の行き届く場所で行うこと。 | ||||||
c. | 沈殿物の廃棄は地方条例、州法及び連邦法に基づき行うこと。 | ||||||
④ | 加州水域に滞在中のバラスト水排出は本船の運航に必要な最小限に止めること。 | ||||||
⑤ | アンカー格納時に水生生物と沈殿物を元の場所で除去するためアンカー及びアンカーチェーンを洗浄すること。 | ||||||
⑥ | 船体、パイプ、タンク等に付着した水生生物を定期的に除去するとともに、除去物の廃棄は地方条例、州法及び連邦法に基づき行うこと。 | ||||||
⑦ | IMOのガイドラインに従った、本船専用のバラスト水管理計画を保持すること。 | ||||||
⑧ | バラスト水及び沈殿物の管理と取扱いに習熟するよう船長と船員を訓練すること。 | ||||||
(3) | バラスト水報告 | ||||||
バラストタンク装備船舶の船長は、米国西岸EEZ(加州、オレゴン州またはワシントン州)以外を航行した後に加州水域に入ったときは、米国湾岸警備隊に提出したバラスト水報告書(Ballast Water Report)の写しを加州の最初の寄港地を出港する前にCSLCに提出しなければならない。報告書は電子メール又は書面のいずれでもよい(Fax : 562-499-6444、e-mail address :bwform@slac.ca.gov)。提出済報告の内容に変更があった場合、修正報告書の提出が必要。報告書に記載された情報に関し、書面による記録を本船上に保管すること。署名ある報告書の写しを少なくとも2年間は本船上に保管すること。 | |||||||
3. | 賦課金 | ||||||
加州バラスト・プログラムに係る賦課金は、現在のところ、1隻1航海あたり$600で、California Board of Equalizationが本船の寄港に基づき代理店に請求書を送付します。 | |||||||
4. | 違反に対する行政罰 | ||||||
報告過怠 : 違反1件当り$500以下の罰金。違反事実継続の場合1日単位で1件と計算。 悪意の虚偽報告 : 違反1件当り$5,000以下の罰金。違反事実継続の場合1日単位で1件と計算。 故意または過失による違反 : 違反1件当り$5,000以下の罰金。違反事実継続の場合1日単位で1件と計算。 |
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5. | 規則、報告用紙 | ||||||
上記プログラムの詳細については、CSLCのサイト(www.slc.ca.gov/BallastWater/default.asp)より閲覧可能です。報告書用紙は、以下のサイトから入手可能です。 www.slc.ca.gov/BallastWater/documents/Factsheet.htm 報告書の記載方法、内容についてご不明の点は貴社の現地代理店にご確認願います。 |