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ジャパンP&Iクラブと国際 P&I グループ

2017/07/01

Royston Deitch
業務部・部長(英国弁護士)

世界でも主要な海運国である日本において、1950年に制定された船主相互保険組合法に基づき、弊組合(以下、ジャパンP&Iクラブ)は本邦唯一のP&Iクラブとして設立されました。

創立当初、加入船社数にあたる組合員は132名、加入船舶630隻、加入総トン数190万トンにすぎなかったジャパンP&Iクラブは、2016年3月時点で、組合員3,211名、加入船舶4,417隻、加入総トン数9,200万トンまでに成長し、日本のみならずアジア諸国の船主も加入する国際的なP&Iクラブとなっています。

一方、国際P&Iグループの歴史は、1899年にまで遡ります。当時、英国を中心とした6つのP&IクラブによりロンドンP&Iグループが形成されたのが始まりで、現在は、ジャパンP&Iクラブを含む世界の主要な13のP&Iクラブが国際P&Iグループ(IG)を形成し、世界の外航船の船腹量の9割以上の保険を引受けています。この13のクラブはそれぞれ独立した相互保険組合であり営業面では競合状態にありますが、船主の責任が複雑化並びに高額化傾向にあるなか、IGにおいては協力しながら、各種問題に対応しています。

IGの機能の一つとして、各クラブやメンバーの懸案事項についての情報交換の場の提供が挙げられます。この情報交換の場というのは主に小委員会の形式を取りますが、ジャパンP&Iクラブは組合員の皆様の声が届けられるよう小委員会への積極的な参加を心掛けています。

組合員とジャパンP&Iクラブを代理してIGの小委員会に出席することは、私が勤務するロンドン駐在員事務所(LLO)の主要な役割の一つです。LLOは1985年に設立されて以来日本人駐在員と現地スタッフで構成されていますが、現在は、日本人、ギリシア人、スコットランド人、イングランド人が勤務し、事務所内で「国際グループ」を形成しています。

ジャパンP&Iクラブも重要な役割を果たしているIGの精神は、メンバーに対し適切なサービスを提供していくことにあります。それには、すべての船主が日々直面する問題への解決策を模索することが含まれます。たとえば、海上労働条約で要求された金銭上の保証に対する保険といった、通常のP&I保険カバーの範囲に入らないものに対しても、IGは加入船舶の運航に支障が出ないよう積極的にメンバーに解決策を提供するよう努力しています。

IGの会長は、「IGクラブが提供する賠償責任保険が、海上貿易を支える上で、また海洋環境保護と海難被害者救済の上で重要な役割を担っている」と述べています。

ジャパンP&IクラブはIGとともにこの認識のもと、これからも組合員の皆様のお役にたてるようより一層のサービスの充実に努めてまいります。