電子商取引(ペーパーレス トレーディング)システム-新たな承認手続きのご案内
ご案内
- 国際P&Iグループ(IG)は、2025年2月20日から、電子商取引システムが以下の要件を満たしている場合は、承認を受けたものとみなします。
- 当該システムが、電子船荷証券を紙の船荷証券と同等と認める法律に準拠する電子船荷証券のみの使用を認めていること。かつ、
- 当該システムに信頼性があり、それが証明されていること(詳細は、以下7 iiに後述)。
- 今後、IGにシステムの承認を求め、上記要件を満たしているシステムプロバイダーは、IGのウェブサイトに掲載されます。これは、以下8に書かれている現行の承認手続きを完了したシステムと承認を受けたものとみなされたシステムの両方に適用されます。すべてのシステムプロバイダーに対する今後の承認手続きに関する詳細は、後述します。
背景
- 各クラブのルールは、電子商取引システムの下で積荷の運送に関して生じる責任は当該システムがIGの承認を受けていればカバーされると規定しています。以前は電子船荷証券が広範には法律で認知されていなかったため、IGはシステムがP&Iカバーに支障をきたさないことを確認し、承認してきました。IGは2010年2月20日以降、13のシステムを承認しました。
- 分散型台帳技術などの新しい技術の出現と新たな法律の制定により、電子船荷証券システムの開発が促進されています。例えば、2023年9月には、電子船荷証券を含む電子取引文書を英国法の下で法的に認める電子取引文書法が施行されました。同法は、2018年に国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)で採択された統一モデル法である電子的移転可能記録モデル法(MLETR)の要件を満たしています。他の国においても、同様の法律が採択されたか、採択が計画されています。国際商業会議所の「ICCデジタル標準化イニシアチブ」は、各国における法整備の最新情報をこちらで提供しています。
- このような状況において、IGは2023年に方針を見直し、紙の船荷証券と同等の有効性を認める法律に準拠する電子船荷証券の使用に限定されたシステムについて、効率的な承認手続きを導入しました。また同時に、「よくある質問集(FAQs)」を公開しました。
法改正の影響
- 上述の英国電子取引文書法は、電子船荷証券の有効性はシステムに信頼性があることを前提としており、信頼性テストを定めています。これは厳密には法的テストですが、実際には技術的なものであり、技術面で信頼性に関する特定の要件が満たされた場合、法律上の要件が満たされることになります。同法の施行以来、業界団体は、すべての利害関係者のために信頼性と共通基準を確立しようと業界基準を見直しています。ICCデジタル標準化イニシアチブは、デジタル取引信頼性評価ツールを発表しました。現在のところ、IGは、他に発表されている同様のイニシアチブは認識していません。
- このような法律、業界および技術の進展を受けて、IGはこの度、承認方法をさらに見直すことにしました。2025年2月20日以降、以下の基準を満たすシステムは、承認を受けたものとみなされます。
- 当該システムが、電子船荷証券を紙の船荷証券と同等と認めている法律に準拠する電子船荷証券のみの使用を許可していること。かつ、
- 当該システムに信頼性があり、それが以下のいずれかにより証明されていること。
独立機関による監査、または
監督・規制・認定機関または適用される自主的スキームによる宣言、または
適用される業界基準
- 当該システムが、電子船荷証券を紙の船荷証券と同等と認めている法律に準拠する電子船荷証券のみの使用を許可していること。かつ、
- 上記みなし承認の要件を満たさないシステムについては、別途通知があるまでは、引き続きこれまでの承認手続きが適用されます。システムプロバイダーにおかれましては、IG事務局(secretariat@internationalgroup.org.uk)に連絡し、またこちらで要件を確認してください。
2025年2月20日以降の承認手続き
- 2025年2月20日以降、承認されているシステムを識別できるように、IGにシステムの承認を申請し、要件を満たしているシステムプロバイダーは、IGのウェブサイトに掲載されます。今後はこれまでのように、個別システムの承認を通知する共通回章は発行されなくなります。
みなし承認の基準を満たすシステムプロバイダーにおかれましては、自社のシステムがIGのウェブサイトに掲載されることを希望される場合は、基準を満たしていることを示す証明とともにIG事務局にご連絡ください。
- 現行の承認手続きを完了したすべてのシステム(既存および今後)も、IGのウェブサイトに掲載されます。
既存の承認システムプロバイダー
- これまでにIGが承認したシステムプロバイダーの立場に変更はありません。
クラブのカバーに関する注意
- 最後に、組合員の皆さまは、クラブのルールに基づく積荷の運送に関するその他のてん補除外規定は、船荷証券が紙の形式で発行されたか、承認された電子船荷証券プロバイダーを通じて発行されたかにかかわらず、引き続き適用されることにご注意ください。除外規定には、運送契約に定められた港または場所以外での貨物の荷揚げ、後日付または先日付の電子文書/記録の発行/作成、従価船荷証券に基づく責任、ヘーグ・ヴィスビー・ルールより不利な運送条件から生じる責任(強制的に適用される場合を除く)、および譲渡可能な電子文書/記録の提示を受けない積荷の引渡し(承認された電子商取引システムの場合は、当該システムの規則に従わない積荷の引渡し)が含まれますが、これらに限定されません。
- 国際P&Iグループの全てのクラブが同様の内容の回章を発行しています。
この記事に関するお問い合わせはこちら