2022保険年度の国際P&Iグループ再保険プログラムについて
2022保険年度の国際P&Iグループ(IG)再保険プログラムが決定しましたのでご案内申し上げます。
- 再保険スキーム
2022保険年度のIG再保険プログラムのスキームは以下のとおりです(2021保険年度から変更はありません)。
- クラブ保有額:1千万米ドル
- グループ保有額:1億米ドル
- General Excess Loss (GXL) Cover:20億米ドル(1億米ドルを超える20億米ドル部分)
- Collective Overspill Cover:10億米ドル(21億米ドルを超える10億米ドル部分)
- てん補限度額
以下の損害に対する2022保険年度のてん補限度額は以下のとおりです(2021保険年度から変更はありません)。
- 油濁損害:10億米ドル
- 船客の単体損害:20億米ドル
- 船客と船員との複合損害:30億米ドル
- 悪意のあるサイバー攻撃、新型コロナウイルス、その他新型の感染症起因する損害
2020年にGXL(超過額再保険)プログラムの2年契約がスタートして以降、再保険者は悪意のあるサイバー攻撃、新型コロナウイルス、その他新型の感染症に関し、再保険市場全体としててん補の制限を設けました。しかしながら、交渉の結果、IGは以下のとおり高レベルのてん補を確保しました。
- Layer 1(1億米ドルを超える4.5億米ドル部分:てん補制限なし
- Layer 2~4(5.5億米ドルを超える15.5億米ドル部分):上述の3つのリスクに関し、Layer2 ~4全体で年間の累積回収限度額(合計21.5億米ドル)を設定
IGでは、年間の累積回収限度額を超える損害について、IGのプール機構でカバーすることに合意しました。したがって、組合員の皆様へ提供されるカバー自体に変更はありません。
スキームの詳細については、添付の表をご参照ください。
- 船種別IG再保険料率
IGにおける検討の結果、現在の5つの船種カテゴリーを変更する必要はないものの、過去のクレーム実績を考慮して再保険料率を調整すべきであるとの結論に達しました。
2022保険年度の船種別IG再保険料率は以下のとおりとなります。
船種カテゴリー |
2022保険年度 |
対前年比増減率(%) |
Persistent Oil Tankers |
0.6469 |
+15.0 |
Clean Tankers |
0.3666 |
+40.0 |
Dry Cargo Vessels |
0.5639 |
+40.0 |
Fully Cellular Containerships |
0.6586 |
+55.0 |
Passenger Vessels |
3.8677 |
+18.6 |
※Excess War再保険およびMLC再保険に対する再保険料を含みます。 |
- 更改経緯
再保険プログラムの大部分について2年契約を締結するという2020年保険年度の決断により、IGはこの2年間、組合員の皆様へ安定した再保険料で継続的な保険カバーを提供することができました。しかしながら、その間に再保険市場環境の悪化、世界的な感染症の流行、カバー範囲の見直し、クレーム成績の悪化などが重なったため、2022年の更改は特に交渉が難航することとなりました。
バミューダ拠点のIGの自家保険会社であるHydraが、引き続き再保険スキームの下位Layerを保有することにより、IGを支えていきます。またPrivate Placement(商業保険者が引き受ける定額の再保険)を活用するというIGの戦略により、新型コロナウイルス感染症の世界的流行やプールクレームの増加、再保険市場がカバーを提供する範囲の見直し等の影響により再保険市場が不安定な年であっても、組合員の皆様にご負担いただく再保険料への影響を軽減しています。
なお、IG再保険料率は前年比平均33%の増加となりましたが、2022保険年度の料率は2014保険年度の料率とほぼ同じです。
詳細につきましては、IGによるプレスリリースをご覧ください。
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