米国-カリフォルニア州における油流出関連の違反に対する刑罰強化(その2)
背景
2021年1月1日からカリフォルニア州海域内での油流出に対し適用される新たな罰金についてご案内した2020年10月9日付特別回報第20-014号をご参照ください。
油濁損害に対する保険カバー
国際P&Iグループ(IG)は、この新しい法律が油濁リスクのカバーに及ぼす潜在的な影響について検討していることをお知らせしてきました。IGでは、汚染者に対して多額の罰金が科される潜在的な可能性があることを認識している一方で、重要であるものの、この新しい法律の特定の部分に対応するために、既存の保険カバー限度額の変更をおこなうことは適切ではないと考えています。もし偶発的な油流出に対しカリフォルニア州裁判所が科す可能性のある罰金の最高レベルに対応するのに十分なカバーが求められるとしても、現在の世界的な再保険市場においては、実現不可能と思われます。しかし、組合員におかれましては、油濁損害に関し、油流出への対応費用、第三者からのクレームおよび保険契約規程に該当する罰金などについて、1船1事故あたり10億米ドルのカバーが既に存在しており、船種にかかわらず、OPA 90に基づく責任限度額は、この範囲内で十分なカバーが可能であることをご理解ください。
カリフォルニア州裁判所は、罰金額を決定する際に、油濁事故に関連して状況を重くみるあるいは軽減措置を考慮する相当な裁量権を有しています。この裁量権の考慮には、(1)事故に至るまでの出来事を含む過失の程度、(2)迅速かつ正確な報告、(3)効果的な事故対応と清掃の努力、(4)被害者への迅速かつ公平な補償、(5)天然資源への回復努力、および(6)油流出者の支払能力などが含まれます。後者に加え、IGでは、たとえ制定法によって認められていたとしても、裁判所は被告の支払能力を超えて過剰な刑罰を科すことはできない、とのアドバイスを米国弁護士より受けました。
また、IGは、この新しい法律から生じる業界の懸念に対処する可能性を探るために、連立するパートナーと協力して積極的な措置を取っていますが、そのような措置がカリフォルニアにおける新法の施行日に影響を与えることはないことは依然として明らかです。
IGのすべてのクラブが、同様の内容の回章を発行しています。