ニュージーランド-海洋付着生物に関する基準の導入について(その2)
2020年6月に2件、当組合加入船において、ニュージーランド当局が船体に付着した海洋生物に関する基準“Craft Risk Management Standard(CRMS)”により、ニュージーランド寄港前の書類審査で不合格と判断し、さらにニュージーランド寄港時に実施した水中検査で、同基準を満たしていないとして、ニュージーランドへの再寄港前に域外での船体クリーニングの命令された事例が発生しました。
添付1の“Guidance Document for the Craft Risk Management Standard for Biofouling”付録1の水中検査には、原則として、商船では5年毎のドライドックでの船底防汚塗装(Antifouling Coating:AFC)後、最初の2年間は年に1度、その後6か月ごとの点検が推奨されています。前述の2件の船舶はAFC実施から2年を経過し、その後水中検査を実施していない船舶でした。
以下に報告のあった4隻の寄港事例をご紹介します。
A号(前回AFC実施日、2018年5月22日)
2020年6月、ニュージーランド寄港に際して書類審査で不合格となり、当局から水中船底検査検査を要求された。同月ニュージーランド寄港地にて水中検査を実施し、当局よりCRMSの基準を満たしていないとして、ニュージーランドへの再寄港前に域外での船体クリーニングを実施するよう命令された。
B号(前回AFC実施日、2018年5月27日)
2020年6月、ニュージーランド寄港に際して書類審査で不合格となり、当局から水中船底検査検査を要求された。同月ニュージーランド寄港地にて水中検査を実施し、当局よりCRMSの基準を満たしていないとして、ニュージーランドへの再寄港前に域外での船体クリーニングを実施するよう命令された。
C号(前回AFC実施日、2019年9月20日)
2020年6月、ニュージーランド寄港に際し書類審査の結果、当局より前回AFC実施から1年を経過していないことからCRMSの基準を満たしていること、および2020年9月頃に水中検査の実施を推奨された。
D号(前回AFC実施日、2019年1月15日)
2020年6月27日、自船のBiofouling Management Planに従い、水中検査を実施、2020年7月のニュージーランド寄港に際して書類審査の結果、当局より2021年1月頃に水中検査(および、必要に応じて船体クリーニング)の実施を推奨された。
ニュージーランドへの寄港に際しては、CRMSや関連のガイドラインそして本船の船底状態を再確認することを推奨いたします。
また、ニュージーランド当局が防疫の観点から船舶に付着した海洋生物は大きなリスク要因であるとして、ニュージーランドに寄港する商船に対して実地調査を開始する内容の書状(添付2)が2020年6月24日付で船舶運航者・代理店宛に発行、あわせてこの実地調査に対するよくある質問と回答集(添付3)も発行されましたので、参考に供します。
船体に付着した海洋生物に関する基準“CRMS”については、Japan P&I News No.884も併せてご参照ください。
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