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堪航性担保の引き受けについての注意点

2018/10/10 第18-009号

組合員は、船主が航海の全期間を通して継続的に堪航性保持を担保する契約条件を、取引先から申し込まれることがよくあります。組合員は、契約にサインする前には、このような担保条件はP&Iてん補が受けられなくなる可能性に十分に注意されることを強くお勧めします。

 

貨物リスクのてん補を受けるには、組合員がヘーグ・ヴィスビー・ルール(HVR)よりも不利な契約をしていないことが必要条件になります。HVR第3条第1項には、運送人は航海の開始前および開始にあたって、次のような相当の注意を尽くさなければならないことが規定されています。

 

  • 船舶を航海に堪える状態におくこと
  • 船員を乗り組ませ、船舶を艤装し、需品を補給すること
  • 船倉、冷蔵室、その他運送品を積み込む場所を、運送品の受け入れ、運送および保存に適する状態におくこと

 

HVRで規定されている「相当の注意を尽くすこと」とは、あらゆる合理的な準備をして、船舶を予定されている航海に適合させることを意味します。運送人は堪航性保持する絶対的な義務を負っておらず、船舶が堪航性を要求されるのは航海の開始時のみです。

 

貨物所有者が、損害の発生原因が、航海の開始前および開始にあたっての堪航性保持に関して、運送人が相当の注意を尽くさなかったことにあると立証した場合、その結果発生した損害はP&I保険のてん補対象となります。一方、その損害が、航海中に生じた堪航性に影響を及ぼす事象によって発生したことが立証された場合には、第3条第1項に規定の「相当の注意を尽くすこと」は果たしたとみなされ、運送人は同条項によって貨物関係者に対し賠償責任を負いません。

 

航海の全期間を通して継続的に堪航性保持を担保することは上述の位置付けを変更し、運送人が航海の全期間において船舶の堪航性に影響を与える全ての事故に対し潜在的に責任を負うことになります。これはHVRより不利な条件であり、その結果発生したクレームはP&I保険のカバー対象外となります。

 

したがって、組合員は、航海の全期間を通して継続的に堪航性保持を担保するよう契約することが、てん補に潜在的に悪影響を与えることにご留意され、このような契約条件にサインする前には組合に相談されることをお勧めします。

 

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