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オーストラリア入港に関する通達について

2015/03/13 No.718
  • 外航

オーストラリア海上安全局(Australian Maritime Safety Authority, AMSA)は、船舶の安全を確保することを目的として、同国に入港しようとする船舶に対する措置に関する通達Marine Notice 03/2015を発行しました。

 

同通達は、The Navigation Act 2012のSection 246に基づきAMSAが取ることができる措置の具体的な基準を設定するものです。The Navigation Act 2012のSection 246は、AMSAに以下の措置を取る権限を付与しています。


  • 同国諸港又は排他的経済水域(EEZ)への船舶の入港を拒否すること
  • 同国諸港又はEEZに入港/入域、あるいはそこから出港/出域しようとする船舶に特別な条件を課すこと

 

同Actは入港/入域が拒否される期間や具体的な特別条件については明記しておらず、AMSAが関係事実と状況に基づき事案ごとに決定することになりますが、今般AMSAは基本的アプローチとしてMarine Notice 03/2015にて以下の基準を設定しています。

 

【入港禁止措置】

Port State Control (PSC)で不備が指摘された船舶又は船舶運航管理に懸念がある船舶に対する入港禁止措置について以下の基準を設定しています。

 

3か月の入港禁止

Port State Control (PSC)での不具合指摘により拘束され、その後必要な是正措置を取ることを条件に解放されたものの、是正されずにオーストラリアに再度寄港する場合、又は2年間で3度拘束された場合

 

12か月の入港禁止

過去に入港禁止措置を受け、同措置解除後2年以内に再度PSCの不具合により拘束された場合

 

24か月の入港禁止

過去に二度入港禁止措置を受け、同措置解除後2年以内に再度PSCの不具合により拘束された場合

 

なお、船舶運航等の全体の状況により上記入港禁止期間が延長される場合もあるとされています。


また、上記に加え以下の場合にも入港が禁止されることがあります。


  • オーストラリア法規則の深刻な違反
  • 船舶管理システムの欠陥が船員の安全やオーストラリアの環境に重大な危険を及ぼすと見做される場合
  • 船舶管理水準の低さから他船の管理状況についても疑念が生じる場合に、当該船舶運航者の他船の入港禁止

 

【特別条件の要求】

上記入港禁止措置に加え、AMSAは状況により同国諸港/EEZへの入港/入域又はそこからの出港/出域しようとする船舶に対して特別な要求を課すことがあります。要求内容は状況によりますが、AMSAは特別な条件が要求される状況の例として以下を挙げています。


  • 船員の賃金支払いや福利厚生等の海上労働条約(Maritime Labour Convention, MLC)違反
  • 船員の労務管理の不備
  • 各種報告義務違反
  • 海図の不備
  • 不適切な航海の実施
  • MARPOL条約違反

 

実際に、2015年1月末時点で4隻の船舶が入港禁止措置を受けており、その内1隻については12か月間の入港禁止とされています。

 

オーストラリアに寄港される際には上記措置にご注意下さい。