2009保険年度コンディションサーベイ実施状況
2010/04/30 第10-002号
- 外航
2009保険年度(2009年2月20日−2010年2月20日)に実施された既加入船舶及び新規加入予定船舶に係わるコンディションサーベイの結果に関し、下記のとおりご報告申し上げます。 |
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1. | サーベイは次のような基準で実施しています | |||||||
(1)新規加入予定船: 船齢10年以上の全船舶 ただし、 | ||||||||
コーティングタンクをもつケミカルタンカーは、船齢6年以上 |
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(2)既加入船 : 船齢16年以上の全船舶 ただし、 | ||||||||
イ. | 船舶の堪航性に起因する同種事故を2回以上起している船舶は、船齢に関係なく全船舶 | |||||||
ロ. | コーティングタンクを所有するケミカルタンカーで、かつインデムニティリスクを付保している | |||||||
船舶は、船齢6年以上 | ||||||||
ハ. | インデムニティリスクを付保している冷凍冷蔵運搬船は、船齢11年以上 | |||||||
ニ. | 過去12ヶ月間に貨物として重質重油(HFO: Heavy Fuel Oil)を運送したタンカーは、 | |||||||
船齢10年以上。 ただし、以下の場合は除く。 | ||||||||
- | 過去12ヶ月間に組合のコンディションサーベイを受検している | |||||||
- | 過去6ヶ月間に船級協会の定期検査を受検している | |||||||
- | 国際船級協会連合(IACS)加盟の船級協会による船舶状態評価鑑定(CAP)でCAP1 | |||||||
またはCAP2の評価を取得している |
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(3)再検査: | ||||||||
イ. | 上記(1)及び(2)により施検した船舶に関しては、原則として検査日から4年毎 | |||||||
ロ. | 船齢が20年を超える新規加入船舶に関しては、加入後2年毎 |
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[注1] | コンディションサーベイ実施にあたり、組合指定の検査機関より1−2名のサーベイヤーがアテンドします。 組合の検査項目にしたがって各証書類の確認、各部メンテナンス状況、航海計画、救命消火安全設備、堪航性堪貨性及び、各船種毎の検査項目等について本船の運航スケジュールに支障のない範囲で半日から2日程度の日数で実施されます。 |
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[注2] | 上記基準に拘らず実際にクレームが発生し、クレーム発生のメカニズムに疑問のあるときは、別途コンディションサーベイを実施することがあります。 |
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[注3] | 新規加入船の場合においては原則加入前に実施するものとしています。 特段の事情がある場合は、契約開始後30日以内に実施致します。 |
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2. | 2009年度は156隻 実施しました | |||||||
2009年度中にコンディションサーベイを実施した船舶は156隻(既加入船舶 110隻、新規加入船舶 46隻)であり、これは例年の実施実績と同等数であります。 |
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これらサーベイの実施した港を国別に見ますと、日本(49隻)、韓国(41隻)、中国(26隻)、シンガポール(10隻)、インドネシア(6隻)、台湾(4隻)、フィリピン、ベトナム、タイ、インド、リトアニア、アルゼンチン(各2隻)、以下アラブ首長国連邦、カタール、サウジアラビア、トルコ、イタリア、ドイツ、イギリス、チリで各1隻ずつとなっています。 |
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3. | 船種別に見てみますと | |||||||
一般貨物船 | 35 | |||||||
撒積貨物船 | 24 | |||||||
PCC/RORO船 | 17 | |||||||
冷凍冷蔵運搬船 | 11 | |||||||
チップ専用船 | 9 | |||||||
鉱石・石炭兼用船 | 7 | |||||||
セメント専用船 | 2 | |||||||
重量物運搬船 | 2 | |||||||
コンテナ船 | 1 | |||||||
バージ | 1 | |||||||
ケミカルタンカー | 19 | |||||||
LPG/LNGタンカー | 5 | |||||||
その他タンカー | 17 | |||||||
訓練船・練習船 | 4 | |||||||
漁船 | 2 | |||||||
合計 | 156 |
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4. | 127隻に何らかの勧告が出ています | |||||||
勧告の無かった船舶は32隻のみ、勧告箇所は1隻で複数の場合が多い |
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(1)船体修理勧告: | ||||||||
ハッチカバー/コーミング | 55件 | |||||||
船艙/タンク | 24件 | |||||||
外板/隔壁 | 6件 | |||||||
甲板/ブルワーク | 13件 | |||||||
水密扉 | 7件 | |||||||
係船装置 | 50件 | |||||||
荷役装置 | 9件 | |||||||
固縛用装置 | 1件 | |||||||
主機/補機 | 31件 | |||||||
その他 | 101件 | |||||||
(2) 書類整備等勧告: | ||||||||
海図整備 | 8件 | |||||||
非常用設備 | 22件 | |||||||
情報伝達 | 4件 | |||||||
その他 | 42件 | |||||||
合計 | 373件 |
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5. | 組合の処置 | |||||||
サーベイの結果コンディション不良とされ、それに起因するクレームのカバー制限もあり得ると警告した事例は24隻(Defect Warranty付帯)ありますが、勧告の結果保険契約不成立となった事例はありませんでした。 また勧告箇所の修理が終わった場合には期限内のFollow-up Surveyを実施しており、改善が確認された場合は、Defect Warrantyを解除しています。Follow-up Surveyは、その必要性を通知後30日以内に実施させて頂きます。 |
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6. | 組合の考え方と今後の進め方 | |||||||
近年のクレーム高止まり傾向は、船腹量の増加に伴う船員またはその熟練度の不足、船主の法的責任を加重する国際条約等の導入の動きなど様々な要因によるものと推定されます。 この様な状況下、加入船隊の高い質の維持・向上を図ることは組合員の皆様と当組合にとって大変重要なことです。 先にご案内申し上げましたとおり、当組合はクレームコスト削減の推進を打ち出しており、コンディションサーベイ強化は重点項目のひとつです。 2010年度は既加入船舶の実施目標を200隻としてサーベイ強化に努めてまいりますので、引続き、ご理解、ご協力の程お願い申し上げます。 |
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現在実施しているコンディションサーベイの検査項目は船種別に構成されていますが、ご要望があれば、検査項目を列挙したブランク フォームをお渡し致します。 ご入用の方は、ロスプリベンション推進部(電話:03-3662-7229、e-mail:lossprevention-dpt@piclub.or.jp)までご連絡ください。 検査項目の中には、ホーステスト、プレッシャーテスト、船艙の内検など船長以下本船乗組員のご協力を得なければならないものあり、組合員各位の一層のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。 |