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PLRの発効について(その3)

2012/12/17 第12-023号
  • 外航

事故の際の海上旅客輸送者の責任に関する2009年4月23日付欧州理事会及び欧州議会の規則(EC) No.392/2009 (PLR)

題記の件に関し、2012年12月7日付特別回報第12-021号「PLRの発効について(その2)」をご参照下さい。


PLRは、2012年12月31日より欧州連合(European Union, 以下EUという)及び欧州経済地域(European Economic Area, 以下EEAという)の全加盟国で適用されます。基本的に、PLRは1974年の船客とその手荷物の海上運送に関するアテネ条約の2002年改定議定書(以下、アテネ条約という)及び条約実施のための戦争リスクに関する2006年IMO留保及びガイドライン(以下、ガイドラインという)の主要条項を実施するものです。


前回の特別回報第12-021号でご案内しました通り、PLRのArticle 7では乗客に対してPLRに基づく彼らの権利を説明することを運送人に義務付けており、欧州委員会は運送人が公表すべき情報の概要を含むPLRの公開概要を作成し発表する予定になっていました。今般、欧州委員会より当該概要が発表されましたので、コピーを添付致します。また、当該概要は以下のウェブサイトでもご覧頂けます。


http://ec.europa.eu/transport/themes/passengers/maritime/index_en.htm


前回までにご案内しました通り、PLRの対象となる船舶は、PLRの要求を充たす保険を付保し、当該保険が有効であることを証するEU/EEA加盟各国により発行される証書を保持しなければなりません。


EU/EEA加盟国籍船の運航者は船籍国から証書を入手する必要があり、当該証書はEU/EEA加盟各国に寄港する際に保険が付保されている証拠として扱われます。


非EU/EEA加盟国籍船について、IGでは各国との協議を続けており、ドイツはEU諸港に寄港する非EU/EEA加盟国籍船に対してドイツに寄港しなくとも証書を発行することに合意しており、英国(註1)、フランス、スペイン、オランダ、ポーランド、キプロス、ベルギー(註2)、スウェーデン(註3)を含む多数の国が本年12月31日以降に自国に寄港する船舶に対して証書を発行する用意があると理解しています。


上記EU/EEA加盟各国の連絡先については当組合までお問い合わせ下さい。


国際P&Iグループの全てのクラブが同様の内容の回章を発行しています。


註1 英国は英国籍船の申請を先ず優先的に処理し、次に英国に寄港する非EU/EEA籍船の申請が処理される。その後、余裕があればEU諸港に寄港する非EU/EEA籍船の申請も対応してもらえるが、本年12月31日のPLR施行に向けて余裕があるのかは不明。

註2 船主もしくはオペレーターがベルギーに所在もしくはオフィスを有しており、船籍国からも要請があることを条件とする。

註3 スェーデンへの申請は寄港の30日以上前に行わなければならない。