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インタークラブ・ニューヨーク・プロデュース・エクスチェンジ・アグリーメント1996(2011年9月改訂)

2011/09/02 第11-011号
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1970年にクラブによって初めて制定、締結されたインタークラブ・ニューヨーク・プロデュース・エクスチェンジ・アグリーメント(ICA)は、ニューヨーク・プロデュース・エクスチェンジ・フォーム(NYPE)やAsbatime書式傭船契約、またはこれらの傭船契約のもとで合意された運送契約から生じるカーゴ・クレームに関する船主・傭船者間の責任を迅速かつ公平に配分する比較的簡便な方法を提供してきました。ICAの発展の目的は、費用がかかり長期化する訴訟を避けることでした。ICAは制定以来2度の改訂がありました。1984年の最初の改訂はクレーム提起の時効に関する規定の不備に対処するためのもので、1996年の2回目の改訂はICAの基本的性質から逸脱しないものの、より実質的で特にコンテナ貿易のニーズを満たすために導入されました。本文を再編集し、より論理的な形とし、
(a) ICAにおけるカーゴ・クレームを構成する定義を拡大しました。
(b) 通し船荷証券や複合船荷証券から生じるクレームを含めました。
(c) ハンブルグ・ルールがカーゴ・クレームに適用される可能性を考慮し、時効に関する規定を改訂しました。

1996年の改訂を受けて、ICAはインタークラブ・ニューヨーク・プロデュース・エクスチェンジ・アグリーメント1996(1996年アグリーメント)と名称を変えました。

ICAも1996年アグリーメントもうまく機能し、海運業界で広く採用され、その目的を達成しました。

しかしながら、国際P&Iグループ(グループ)のメンバーであるP&Iクラブは近年、1996年アグリーメントにおける船主・傭船者間の担保(Security)の問題、その要求に対応するために発生する時間と費用について懸念を表明し、クラブ間で1996年アグリーメントの精神に基づきより協力することでそのような費用を大幅に削減できると感じました。1996年アグリーメント(4)条(c)項は、
“4)本アグリーメントによる配分は、次の条件を満たすカーゴ・クレームにのみ適用する・・・・(c)クレームが適切に解決又は示談され、支払われたもの。”
と規定しています。

グループは、この条項がカーゴ・クレーム(1996年アグリーメント(3)条で規定)の支払いを求償の条件としているという見解に至り、弁護士もこれを認めています。従って、支払いがなされていなければ求償の要因が具体化していないため、カーゴ・クレームを提起された当事者は支払い前には傭船契約のもう一方の当事者に対し(船舶や他の資産の差押えや差押えると脅すことによって得られる)担保(Security)を要求する権利がないことになります。

グループはこの状況に納得しておらず、不必要で無駄に費用のかかるクラブ間の対立を引き起こしていると考えています。そこでグループは1996年アグリーメントに新しい条項を摂り入れ、傭船契約の一方の当事者がカーゴ・クレームに関して担保(Security)を提供すれば、互恵性に基づいて1996年アグリーメント(6)条の時効規定が遵守されていることを条件に、担保を要求する権利を与えるという決断をしました。(担保条項)

“インタークラブ・ニューヨーク・プロデュース・エクスチェンジ・アグリーメント1996(2011年9月改訂)”(2011年アグリーメント)と称される改訂1996年アグリーメントの変更履歴を表示したものと非表示のもの2種類を添付します。変更履歴は1996年アグリーメントに加えた修正を表示しています。担保条項は2011年アグリーメント(9)条として摂り入れられています。本質的な改訂ではないものの1996年アグリーメントに派生的な修正がなされていることが分かります。

2011年アグリーメントは2011年9月1日から発効します。

契約上、2011年アグリーメントは、
(a) 下記(c)によりますが、2011年9月1日以前に締結された傭船契約やその傭船契約の下で生じたクレームには、そのクレームが2011年9月1日以前または以降に提起されたかを問わず適用されません。
(b) 2011年アグリーメントが下記のいずれかの方法で傭船契約に摂取されている場合には、2011年9月1日以降に締結された傭船契約やその傭船契約の下で生じたクレームに適用されます。
(i)“ICA 1996(2011年9月改訂版)”と明示している場合、または
(ii)傭船契約でICA 1996“またはその改訂”若しくは同様の文言を含んでいる場合
(c) 2011年9月1日以前に締結された傭船契約に摂取することができ、当事者が2011年アグリーメントを、例えば傭船契約の付属書として摂取すると同意した場合には、これら傭船契約の下で生じたクレームに適用することが可能です。

前述の契約上の適用にもかかわらず、クラブはやはり2011年アグリーメントの前文の2段落目に従って、全てのNYPE / Asbatime書式傭船契約やそれら傭船契約の下で生じるクレームに、傭船契約がいつ締結されたか、1996年または2011年アグリーメントを摂取しているかにかかわらず、2011年アグリーメントを適用するよう組合員に推奨します。

また、クラブは2011年9月1日以降に締結される全てのNYPE / Asbatime書式傭船契約に、明確に2011年アグリーメントを摂り入れることを推奨します。

国際P&Iグループのすべてのクラブが同様の内容の回章を発行しています。