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米国アラスカ州油濁法に基づく非タンク船の賠償資力証明書発給申請について

2000/08/07 第00-009号
  • 外航
米国アラスカ州に寄港する非タンク船について、アラスカ州は2000年9月1日を施行期日とする州独自の賠償
資力証明書(COFR)の保持要求を含む油濁法を公布しましたので、以下の通りご案内します。なお、以前よ
り州法にて定められている同州での油流出による罰金及び賠償責任法制については今回は変更ありません。

1. 州法概要

 

対象船舶 アラスカ州水域を航行する400トン以上の自航非タンク船
施行期日 2000年9月1日
賠償資力要求額 a)  燃料油として主に持続性鉱物油(*注参照)を積載する船舶
燃料油積載容量1バレル当りUS$300またはUS$5,000,000のどちらか大きい金額
a)  燃料油として主に持続性鉱物油を積載しない船舶
燃料油積載容量1バレル当りUS$100またはUS$1,000,000のどちらか大きい金額
賠償資力の証明方法 州に容認されるもの (以下のa−g)のいずれか)
a)  自家保険の宣誓供述書及び直近の会計監査報告書 (Self Insurance)
b)  保険 (Insurance)
c)  保証会社による保証 (Surety Bond)
d)  自家保険者による保証 (Financial Guarantee)
e)  信用状 (Letter of Credit)
f)  P&I Clubの契約承諾証 (Certificate of entry by a P&I Club)
g)  流通性のある譲渡証書を伴った預金証書 (Certificate of deposit)
当組合の加入船舶に関しましては、上記 ( f ) の保険契約承諾証の写しが
証明として利用可能です。
 
COFRが不要なケース 以下の場合、COFRの取得は必要とされません。
a)  アラスカ州水域を通過するだけの船舶(無害通航)
b)  船員に差し迫った危険がある時、または、油濁を防止するためや他の公共の安全
や環境を害することを避けるために必要な場合。
c)  USCGが、本船が遭難していると判断したとき。

 

2. 問題点

州法は、意見陳述期間に開かれた公聴会における国際PIグループの意見陳述等を勘案して制定されるはずの 施行細則を待たず施行されるため、以下のとおり一部詳細が未確定な部分があります。詳細が判明次第別途 ご案内します。

 

(1) 申請書の提出期限 法は本船が州水域へ到着する少なくとも15日前までに当局へ申請しなければ
ならないとしていますが、国際P&Iグループ側から、運航の実態を勘案して
これを48時間前に短縮するように意見書を提出済ですが、現在未定です。
(2) 保険免責金額 法は賠償資力証明に免責金額が適用される場合、免責金額部分に関し、他の
証明方法による保証、または保険者が被保険者から免責金額の先払いを受ける
ことなく賠償額を全額支払う旨の確約が必要としていますが、国際P&Iグルー
プより、カリフォルニア州同様、保険免責金額に対する別途の賠償資力証明の
要求は、運用上保険免責金額がUS$250,000を超えるような場合に限定して
ほしい旨意見書を提出済ですがこれも未定です。ただし、仮申請は免責金額に
対する別途の保証がなくても申請は受理され、仮承認されたとみなされます。

3. COFR取得のための手続

新州法は、9月1日施行ですが、施行細則が決定するのは2000年9月末ないし10月初旬になるようです。この ため2000年9月1日以降アラスカ州へ入港する船舶に関しては、アラスカ州のCOFRの仮申請が必要となり ます。2000年8月31日までに州当局へ提出された仮申請は施行期日の9月1日に仮承認されたものとみなされ ます。同州へ寄港予定のある船舶については早急に申請手続きを取られることをお勧めします。

申請書類の内容に関する審査は施行細則確定後に行われることとなります。施行細則に照らし仮申請の内容 に不備のあったものについては、追ってAlaska Department of Environmental Conservation (ADEC) より各申請者にその旨連絡が行きますので、30日以内に追加情報を連絡しなければなりません。申請内容に 問題のないものについては正規のCOFRが発行されることとなります。

COFRの申請書用紙を添付いたしますが、州のサイト (http://www.state.ak.us/dec/dspar/ipp/ntapplic.pdf)からも入手可能です。必要事項を記入し、 公証役場等にて認証を取り付けの上以下へ直接申請願います。(次頁)

 

“Financial Responsibility Program” Alaska Department of Environmental Conservation Division of Spill Prevention & Response 410 Willoughby Avenue, Suite 105, Juneau, Alaska 99801-1795 Tel : +1(907)465-5231, Fax : +1(907)465-5245 e-mail : cpace@envircon.state.ak.us

 

なお、申請に際しては、州当局より申請書受領に関する書面は発行しないとのことですので、確実を期すた め、申請書は書留郵便(あるいは航空宅配便)等を利用し申請書を送付した旨を州当局へFAX等にて連絡 しておくことをお勧めします。

申請に関しての質問等は上記申請先(ADEC)のMr. Christopher Pace (Juneau office, tel:+1(907) 465-5231)または、Mr. Ken Rogowski (Anchorage office, tel:+1(907)269-3094へお願いします。

4. 申請代行

同州のCOFR申請手続きに関し、ECM/Hudson社がカリフォルニア州のCOFR申請と同様に申請代行を行う旨の 連絡がありました。費用は申請1隻当りUS$100とのことです。ECM/Hudson社による申請代行を希望される 組合員は添付の 申請代行用書類(“Alaska Nontank Vessel Questionnaire”) を記入し、 “Delegation of Authority by the applicant” を自社のレター用紙にて作成の上、Faxにて同社へ 直接ご連絡願います。連絡先は以下のとおりです。

ECM/Hudson Maritime Services, LLC 64 Danbury Road, Wilton, CT 06897-4406, U.S.A. Tel: +1 (203) 761-6030, Fax: +1 (203) 761-6085 E-mail: Headquarters@ecmhudson.com P.I.C.: Mr. Christopher Gregory

5. 事故対応計画

さらに、州では事故対応計画書の提出要求も行う予定であり、早ければ2001年早々にも実施される予定 です。詳細がわかり次第ご案内します。

*注   持続性鉱物油(persistent oil)とは以下のように定義されています。
持続性鉱物油とは、非持続性鉱物油以外のあらゆる炭化水素系鉱物油をいう。
非持続性鉱物油とは、炭化水素系鉱物油で、
(1) 340℃(645ーF)において少なくともその体積の50%を超える量が留出するもの、及び
(2) 370℃(700ーF)において少なくともその体積の95%を超える量が留出するものをいいます。