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MARPOL/APPSと油廃棄管理について

2007/06/29 No.545
  • 外航
アメリカにおいてMARPOL違反により刑事訴追を受け、禁固刑や多額の罰金を課されるケースが後を絶ちません。組合員各位と本船乗組員への注意喚起のため、ニューオリンズ(アメリカ)の法律事務所Murphy, Rogers, Sloss & GambelからMARPOLの施行に対するアメリカの方針、及びそれが遵守されなかった際にとられるであろう措置に焦点を当てた助言を入手いたしましたので添付のとおりご参考に供します。

MARPOL/APPS(Act to Prevent Pollution from Ships)は、正確かつ詳細な油記録簿(Oil RecordBook; ORB)をつけることを求めており、最低でも3年間は保存しUSCGの要求に応じていつでも提供できる状態になっていることが必要です。もしUSCGの要求する書類を提出できなかったり、虚偽の申告をしたりした場合は、刑事訴追の対象となります。その場合、本船乗組員のみならず運航受託者や船舶管理会社までも刑事訴追される可能性があり、また、多額の罰金が課されることとなります。最近では、あるタンカー会社が船舶による意図的な海洋汚染を隠匿したとして、US$37,000,000の罰金と環境への適合計画作成のため3年間の保護観察処分を受けました。このような事態を避けるためにも、以下に挙げる項目を陸上職員及び乗組員に周知徹底させ、MARPOL/APPSの規定を厳格に遵守させることが重要なこととなります:

  • 油水分離機及び関連機器(以下、”機器”)が常に正常に作動するようにしておく
  • 的確に機器を操作できるように、機関部の乗組員をよく訓練する
  • 本船上の機器が正常に稼働するかどうかを、陸上の技術職員が定期的にチェックする
  • 機器に少しでも異常を感じたら直ちに修理し、もし本船上で修理が不可能であれば本社に連絡して次港で修繕できるように手配する

もし、本船がMARPOL/APPS違反の嫌疑を受け、USCG/他のアメリカ当局の調査が開始された場合には、船長は直ちに船主/船舶管理会社に報告し、船主は刑事訴追等に備え直ちに弁護士の起用を行う必要があります。この種の事案で当組合がご協力できる範囲は極めて限られますが、船主/乗組員のアシストのため経験のある弁護士やエンジニアをご紹介致します。

MARPOL/APPS違反に関する国際グループクラブの取扱い方針に関しましては、2005年6月14日付特別回報 第05-002号をご参照願います。
このP&I NEWSが、組合員の皆様のご参考になれば幸甚です。