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ナイジェリアでの銀行保証状発行の件

2000/08/09 No.314
  • 外航
当組合ラゴス(ナイジェリア)法務代理人のSheringham P.&I. Servicesより、最近次のような情報を入手しましたのでお知らせ致します。
  

ラゴスの弁護士より添付報告書のとおり、ナイジェリアで習慣的に広く行われている荷主への銀行保証状の発行に関する危険性の指摘を受けた。これはもちろんナイジェリアに特有のものであって、他の西アフリカ諸国の問題ではない。

次の就航予定のために船を差押えから解除すべく銀行保証状発行の要求に応じるかどうかは、船主にとって営業上の圧力を受ける決断であり、船主は保証状を発行せざるを得なくなる。

もちろん、Caveat Against Arrest(差押え回避申請)は有効であるが、それでも荷主側が差押えようとする間、本船は1、2日遅れるかも知れず、さらに保証状の種類に関する交渉が必要となる。

同弁護士より報告されているシナリオは、すでに一度のみならず発生しており、関係クラブや組合員に経済的損失が生じている。

この助言は十分に説明されており、関係者が銀行保証状発行の要求に応じるか否かの決定の一助になると思われる。


添付:弁護士よりの報告書

《添付:弁護士報告書》

荷主側へ銀行保証状のオリジナルの引渡しについて


昨今PIクラブが差押え回避のため荷主側に対し銀行保証状のオリジナルを発行する、ということに我々は注目している。これは危険かつ不安な習慣であり、長期的に見ると船主の利益を損ないかねない。

この説明のため、次のようなシナリオを作り上げてみることにする。


A船は、荷主Bより彼らの貨物に損害が生じたとのクレームを受ける。BはA船が出港する前に銀行保証状の発行を要求する。A船の所有者であるCはBに銀行保証状を発行し、本船は出港する。その後、 BはCに知られずにCに対し訴訟を提起し、管轄外にいるCに速達で召喚状を送達する裁判所の許可を得る。Bの弁護士は、召喚状が誤った住所に届くように、故意にCの送達先の住所を変えてしまう。しかし、Bの弁護士は法廷で速達郵便会社の領収書を送達の証拠として提出する。Cは自分に対する訴訟が提起されていることは知らないから、応訴のため出廷することができない。その後、Bの弁護士は、被告側の出廷と答弁がないことを理由として判決申請を提出し、請求額どおりでの判決を得る。この判決に基づいて、Bは船主Cに知らせることなくオリジナルの銀行保証状を執行してしまう。

上記の例とは異なるが、Bが訴訟を提起しCに正しく召喚状を送達した場合でも問題が生じうる。Cは自分の弁護士を通じて準備段階で訴訟を退けることができるが、Bは、訴えを退ける法廷命令に対し、控訴を口実として、銀行保証状をキャンセルしてCに返却することを拒否する。

荷主に対しては、銀行保証状ではなく単なる保証状を発行することが賢明である。しかしながら、もし荷主側が銀行保証状の発行を要求してきた場合でも、銀行保証状のオリジナルは船主側弁護士が保持し、写しを荷主側に渡すべきであろう。