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フィリピン-POEA標準雇用契約書から新DMW標準雇用契約書への変更(2026年7月3日発効)

2026/07/07 No.1379
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マニラのコレスポンデンツDel Rosario Pandiphil Inc.から、海外派遣フィリピン人船員向けの新しい「移民労働者省(DMW)標準雇用契約書(Standard Employment Contract Governing Overseas Filipino Seafarers (SEC-S)、以下「新SEC」)」の主な変更点に関するアドバイスを入手しました。Del Rosario Pandiphil Inc.のサーキュラーの抄訳を以下のとおりご案内します。

 

主な変更点

 

新SECは、従来の「POEA(フィリピン海外雇用庁)標準雇用契約書」から変更されたものであり、クレーム処理、障害手当金額、および紛争解決に実質的な影響を及ぼす可能性のある重要な変更を導入しています。「フィリピンの船員マグナ・カルタ(共和国法12021号、以下「マグナ・カルタ」)」およびその施行規則・規制(IRR)に準拠しており、発行日は公布から15日後の2026年7月3日です。

 

主な変更点と実務上のアドバイスは以下のとおりです。

 

1. 障害手当の基本額を10%引き上げ

 

新SECは、更新された基本補償額を導入しています。

  • 基本障害手当金額: 従来のUSD 50,000から USD 55,000へ引き上げ。
  • (例)120%に相当する「障害等級1級」の場合、従来のUSD 60,000から USD 66,000 に増額。

 

以下は、更新された障害手当の一覧表です。

障害等級  基本額 支給率 障害手当
(基本額 × 支給率)
1    USD 55,000.00 120% USD 66,000.00
2    USD 55,000.00 88.81% USD 48,845.50
3    USD 55,000.00 78.36% USD 43,098.00
4    USD 55,000.00 68.66% USD 37,763.00
5   USD 55,000.00 58.96% USD 32,428.00
  USD 55,000.00 50.00% USD 27,500.00
7    USD 55,000.00 41.80% USD 22,990.00
8    USD 55,000.00 33.59% USD 18,474.50
9    USD 55,000.00 26.12% USD 14,366.00
10   USD 55,000.00 20.15% USD 11,082.50
11    USD 55,000.00 14.93% USD 8,211.50
12    USD 55,000.00 10.45% USD 5,747.50
13  USD 55,000.00 6.72% USD 3,696.00
14    USD 55,000.00 3.74% USD 2,057.00

 

この基本額の引き上げにより、すべての障害等級において補償金額(baseline exposure)が引き上げられます。

 

なお、船員が2つ以上の障害と診断された場合、診断された障害に対応する合計障害手当は、いかなる場合も1級の最大補償額(USD 66,000)が上限になります。

 

支払いは、船員の選択により、支払い時点の為替レートに基づく現地通貨、または米ドル(USD)で行われます。死亡の場合、この選択権は法定相続人に帰属します。

 

 

2. 職業病リストの調整と拡大(第36条B)

 

新SECでは、補償対象となる疾病の範囲が大幅に拡大され、以下が含まれるようになりました。

  • 感染症(例:COVID-19、インフルエンザ)
  • 心血管および脳血管障害
  • 精神障害および行動障害(例:PTSD)
  • 筋骨格系障害および職業性ストレス状態

 

これらの状態、および第35条-Bに記載されているその他の疾患や疾病は、重症度に応じて特定の障害等級(1級〜14級相当)と紐付けられるようになりました。新SECは、比較的限定的だった従来の疾病の枠組みから、より包括的で医学的に精緻な分類システムへと移行しています。

 

 

3. 「第三の医師」手続きの明確化と障害等級評価の枠組みの強化(第24条A)

 

新SECには、「第三の医師(Third Doctor)」手続きおよび障害等級評価枠組みの強化に関する「マグナ・カルタ」の規定が盛り込まれました。

 

第三の医師の選定に関して、新SEC第24条A-5では、会社指定医の最終評価に同意しない船員は、その疾病または負傷を専門とする自身が選んだ医師からセカンドオピニオンを得ることができると定めています。船員の主治医が、会社指定医の医学的所見と異なる、または相反する障害等級を出した場合、船員はDMWに対し、矛盾する医学的評価を第三の医師に委ねるよう書面で申請しなければなりません。

 

第三の医師は、船員の負傷または疾病に関連する、保健省(DOH)認定の専門医の名簿から、当事者双方が合意の上で選定します。第三の医師を選定できない場合、DMWが同名簿からの選定をあっせんします。

 

第三の医師は最終的な障害等級を決定し、これは当事者を拘束するものとします。このプロセスは、争点が障害等級、就労可能か否か、または(診断名や病状など)船員の疾病もしくは負傷に関する医学的判断である場合、仲裁手続きや訴訟を提起する前に必ず経なければならない義務的な手続きです。

 

障害等級評価の枠組みを強化するため、会社指定医、船員の主治医、および第三の医師による医学的評価は、新SEC第36条に規定されている「職務上の負傷または職業病に対する障害等級表」、または適用される労働協約(CBA)に厳格に準拠しなければなりません(第24条A-9)。

 

この枠組み強化を補完するため、新SEC第36条Bでは、障害手当は船員が治療を受けた日数や病気手当が支払われた日数によって測定または決定されてはならないと明記されています。

 

 

4. CBA(労働協約)仲裁メカニズムの役割強化(第33条A)

 

SECは、労働協約(CBA)の紛争解決メカニズムの利用を強化しており、当事者はCBAに記載されている「自主仲裁人」または「自主仲裁人パネル」の選定および任命方法に関するCBAの規定に厳格に従うことが義務づけられています。

 

 

5. 受給対象者の定義拡大(障害のある子供)(第24条B-1)

 

追加の死亡給付金を受け取る権利において、SECは21歳未満の子供に加え、身体的または精神的な障害により自活できないことを条件として、21歳以上の子供も対象に含めました。

 

 

その他の変更

その他の変更について、試訳は割愛させいただきます。英文版で原文をご参照ください。

 

新SECの全文につきましては、添付のDMWサーキュラーNo.7 series 2026をご参照ください。