インタークラブ・ニューヨーク・プロデュース・エクスチェンジ・アグリーメント2011(2025年7月改訂)
インタークラブ・ニューヨーク・プロデュース・エクスチェンジ・アグリーメント(ICA)は、1970年に初めて策定・発効したもので、ニューヨーク・プロデュース・エクスチェンジ・フォーム(NYPE)およびAsbatime書式の用船契約の下で発生する貨物クレームについて、船主と用船者の間での責任を簡潔に配分する仕組みを提供してきました。ICAの目的は、責任および配分に関する長期かつ高コストな訴訟を回避することです。
ICAは発効以来3回改訂されています。1984年の最初の改訂は、クレーム提起の時効に関する規定の不備に対処するためでした。1996年の2回目の改訂は、コンテナ業界のニーズに応えることを目的としたより広範な改正でした。直近の2011年の3回目の改訂では、相互主義に基づく担保(Security)取得の権利を創設する新たな条項が盛り込まれました。
ICAは現在もその目的を十分に果たしており、海運業界において広く採用され続けています。しかし、国際P&Iグループ(IG)は、第4条(c)項の解釈に関する問題を認識しています。同条項は以下のように規定されています。
「(4)本アグリーメントによる配分は、次の条件を満たす「カーゴ・クレーム」にのみ適用する。
……
(c)クレームが適切に解決又は示談され、支払われたこと。」
IG加盟クラブの意図としては、ここでいう「解決された」請求には裁判所の判決または仲裁廷による裁定も含まれるというものでした。しかし、これに異を唱える主張も出てきており、ICAの目的に反する形での紛争を回避し、契約上の明確性を確保するために、IGは「2011年改正のインタークラブ ニューヨーク・プロデュース・エクスチェンジ・アグリーメント」(以下「2011年アグリーメント」の改訂決定しました。
本サーキュラーには、変更履歴付き版と変更履歴なし版の両方の2025年アグリーメントが添付されています。変更履歴付き版には、2011年アグリーメントに加えられた改訂点が記録されています。ご確認いただけるとおり、今回の実質的な改訂は、第3条(c)および第4条(c)に限定されており、これは上述の解釈の問題、およびクレームが取り下げられた場合や、クレームが継続されなかった場合、または防衛に成功した場合の費用回収に関する立場を明確にするためのものです。
2025年アグリーメントは、2025年7月14日から発効します。
2025年アグリーメントの適用範囲は以下のとおりです。
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- 下記(c)に定める場合を除き、2025年7月14日より前に締結された用船契約やその用船契約の下で生じたクレームには、そのクレームが2025年7月14日より前か以後に発生したかを問わず、適用されません。ただし、その用船契約にICA1996 “or any amendments thereto”または同様の文言が含まれている場合は除きます。
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- 2025年7月14日以降に締結された用船契約やその用船契約の下で生じたクレームには、2025年アグリーメントが以下のいずれかの方法で用船契約に摂取されている場合には、適用されます。
(i) 用船契約に“ICA 2011 (as amended July 2025)”と明記されている場合、あるいは
(ii) 用船契約にICA 1996 “or any amendments thereto”もしくは同様の文言が含まれている場合。
- 2025年7月14日以降に締結された用船契約やその用船契約の下で生じたクレームには、2025年アグリーメントが以下のいずれかの方法で用船契約に摂取されている場合には、適用されます。
- 2025年7月14日より前に締結された用船契約やその用船契約の下で生じたクレームについても、例えば用船契約へのAddendumによって、あるいはICA 1996 “or any amendments thereto”もしくは同様の文言によって、両当事者が2025年アグリーメントの適用に合意すれば、適用可能です。
上述の契約上の適用範囲にかかわらず、2025年アグリーメントの前文第2段落にもあるとおり、全てのNYPEおよびAsbatime書式の用船契約とそれら用船契約の下で生じるクレームについて、用船契約締結日を問わず、また1996年アグリーメント、2011年アグリーメント、2025年アグリーメントが摂取されているか否かにかかわらず、本アグリーメントを適用するようクラブは組合員に推奨いたします。
また、クラブは、2025年7月14日以降に締結されるNYPEおよびAsbatime書式の用船契約には、本アグリーメントを明示的に摂取することを推奨いたします。
国際P&Iグループの全てのクラブが同様の内容の回章を発行しています。