<プレスリリース>2024事業年度決算概要
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組合員各位
当組合は、強固な財務体質と安定した運営の下で組合員の皆さまへ高品質な保険サービスを提供するため、2024事業年度は、①契約量の回復、②収支改善、③要員と組織の最適化、を最重点項目として取り組んでまいりました。
2024事業年度は、2023事業年度に引き続きウクライナや中東での地政学的リスクに加え、米国での新政権発足による関税・海上輸送政策の影響など、国際経済環境の見通しの不確実性が高まりました。海運市況では、バルカーおよびタンカーがパナマ運河の渇水問題解消後も欧州向け原油代替輸送などで高値圏を維持し、コンテナ船は航海情勢の悪化や堅調な北米向け需要に加え、米国関税を意識した駆け込み需要で上昇が続きましたが、先行きには不透明感が増しています。このような状況下、当組合の加入船においては、組合員の皆さまの高品質な船舶管理のおかげで、外航船・内航船ともにクラブ保有額や再保険の対象となる大型クレームの発生はありませんでした。一方で、P&I保険業界全体では、米国ボルチモアでの橋脚損傷事故の影響など、国際P&Iグループ(IG)全体で大型クレームの高額化が顕著となり、IG再保険プールの対象となる損害額は過去最悪に近い水準となりました。さまざまなリスク下においても当組合が将来にわたり安定的な保険提供を持続し続けていくため、さらなる保険収支の改善と強固な財務体質の維持・強化に努めてまいりました。その結果、2024年度決算の「経常剰余金」は、前期比23.8億円減の69.7億円となり、「税引後当期純剰余」は49.5億円となりました。また、コンバインド・レシオ(支払備金内の為替変動を含む)は、69.2%となりました。主な決算項目については、次のとおりです。
保険料
世界的なインフレによる支払保険金の上昇傾向に加え、自然災害リスクや地政学的リスクの高まりによる不確実要素を考慮すると、安定的かつ持続的な組合運営を行うためには引き続き保険収支の改善が必要であることから、2025保険年度の契約更改において、外航船保険と用船者責任保険特約で7%のジェネラル・インクリースを実施しました。なお、内航船保険については、3年連続の大幅値上げの影響と大型事故が発生していないことを勘案し、保険料率を据え置いております。当期の「収入保険料」は前期比18.7億円減の315.6億円となったことに加え、「再保険料」の支払いが前期比3.9億円増加し89.7億円となった結果、「正味収入保険料」は前期比22.6億円減の225.9億円となりました。
資産運用収益
「利息及び配当金収入」が14.2億円、「金銭の信託運用益」が前期比17.3億円減の3億円に加え、「為替差益」が前期比42.7億円減の1.7億円となった結果、前期比61.5億円減の18.9億円を計上しました。
保険金
組合員の皆さまによる日頃からの適切な船舶管理および安全運航により外航船保険においては1,000万ドル超のプールクレームが、内航船保険においては3億円超の大型クレームの発生がありませんでした。こうしたことから、「支払保険金」は前期比50.4億円減の283.4億円、「再保険金」の受け取りが前期比49.5億円減の121.4億円となった結果、「正味支払保険金」は前期比0.9億円減の161.9億円となりました。
純資産
「純資産」は前期比50.5億円増の286.8億円となりました。
リザーブ
財務健全性の指標となるリザーブ金額は、前期比57.3億円増の411.0億円となり、前期に引き続き大きくリザーブを積み増すことができました。
主要項目にまとめた損益計算書とリザーブは次のとおりです。
(単位:億円) |
|||
科目 |
2024事業年度 |
2023事業年度 |
比較増 |
正味収入保険料 |
225.9 |
248.4 |
(22.6) |
資産運用収益 |
18.9 |
80.4 |
(61.5) |
経常収益合計額 |
290.5 |
341.9 |
(51.4) |
正味支払保険金 |
161.9 |
162.8 |
(0.9) |
支払備金繰入額 |
(40.2) |
12.1 |
(52.3) |
事業費 |
42.5 |
38.9 |
3.6 |
経常費用合計額 |
220.8 |
248.3 |
(27.5) |
経常剰余金 |
69.7 |
93.6 |
(23.8) |
税引前当期純剰余 |
69.7 |
93.4 |
(23.7) |
法人税等合計 |
20.2 |
24.8 |
(4.6) |
当期純剰余 |
49.5 |
68.6 |
(19.1) |
リザーブ |
411.0 |
353.7 |
57.3 |
以上
日本船主責任相互保険組合