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対イエメン制裁-フーシ派テロ組織との取引および支援

2025/04/28 第25-001号

本特別回報では、テロ組織(例えばフーシ派)への支援に対する米国の立場に関するタミー・ブルース米国務省報道官の最近の声明に関連する情報をご案内します。

 

ブルース報道官は、2025年4月9日に「米国は、いかなる国または商業団体によるフーシ派などの外国テロ組織に対する支援も容認しない。これには、フーシ派が支配する港で石油を船舶から荷揚げし、供給することが含まれる」との声明を出しました。

 

2025年3月初旬、米国外国資産管理局(OFAC)は、特別指定国民・資産凍結対象者リスト(SDNリスト)におけるアンサルッラー(イエメンの「フーシ派」グループ)の項目を更新する形で、大統領令13224号に基づき、アンサルッラーを外国テロ組織(FTO)に指定しました。アンサルッラーは、2024年2月16日に国務省により特別指定グローバルテロ組織(SDGT)に指定され、すでにSDNリストに掲載されていました。大統領令13224号に基づき、米ドルを使用する米国人および非米国人は、アンサルッラーまたはアンサルッラーが50%以上を所有する事業体とのほぼ全ての取引に関与することを禁じられています。さらに、非米国人が大統領令13224号に基づいて指定された人物に実質的な支援または援助を提供したと米国が判断した場合、当該非米国人は同令第1条(d)(1)に基づく二次的制裁のリスクにさらされます。

 

アンサルッラーのFTO指定と同時に、OFACは一般許可25Aを発行し、イエメンにおける個人的、商業的または人道的利用のための精製石油製品の引渡し・荷揚げを、2025年3月5日以前に船積みされていたことを条件に、2025年4月4日午前0時1分(米国東部夏時間)まで許可しました。この一般許可は、2025年4月4日に失効し、更新されていません。

 

OFACの一般許可26Aに基づき、「アンサルッラーが関与する港湾および空港の運営に必要な」取引は一般的に許可されていますが、「精製石油製品の輸入または輸出に関わる取引」は明示的に除外されています。GL 26Aは、「税金・手数料・輸入関税の支払い、または許可証・ライセンス・公共サービスの購入・受領を目的とする場合」を除き、アンサルッラーまたはその支配下にある事業体へのいかなる支払いも許可していない点にご留意ください。このような状況においては、精製石油製品を含む貨物がアンサルッラーの支配する事業体に引き渡される場合(または、港の通常の使用に必要ではない別の形でのアンサルッラーの関与がある場合)、その取引は禁止されます。ただし、別の一般許可(たとえば、農産物・医薬品・医療機器に関するGL 22A)に基づく免除が認められている場合はその限りではありません。

 

したがって、イエメンで貨物を荷揚げする船舶は、アンサルッラーが支配する港で荷揚げする場合、またはアンサルッラーもしくはアンサルッラーが50%以上を所有する事業体に貨物を引き渡す場合には、米国の制裁対象として指定される可能性があります。さらに、組合員およびその関連会社も、イエメンへの精製石油製品の輸出入に関わる行為への関与により、指定対象となる可能性があります。イエメンへの貨物(精製石油製品を含む)の引き渡しを検討されている組合員におかれましては、荷揚げを予定している港の所有者と貨物受取人の身元について、厳格なデューデリジェンスを実施することが強く推奨されます。

 

また、イエメンへの寄港、特にアンサルッラーが支配する港(現在、少なくともHudaydah港とRas Isa港を含むと理解されています)への寄港を計画している組合員におかれましても、情勢が不安定であり、輸送する貨物の種類にかかわらず高いリスクを伴うことから、注意を払うことをお勧めいたします。

 

組合員におかれましては、適用される制裁に違反する取引については、保険てん補を受けられないことにご留意ください。また、制裁リスクの高い取引を行う前に、関係者、貨物、船舶およびその他のサービス提供者に関し、取引全体の徹底的なデューディリジェンスを行い、その調査結果を記録に残すことをお勧めいたします。

 

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