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第615回理事会結果のご報告

2022/11/28 第22-016号

組合員各位


2022年11月28日に東京で第615回理事会が開催されました。主要な決議内容を下記のとおりご報告申し上げます。

 

 

 

はじめに

 

本年10月31日時点で内外航あわせて3,863隻・9,383万トンの船舶をご加入いただいております。組合員皆さまのご支援に深く感謝申し上げます。

 

国際P&Iグループ(IG)加盟資格基準において格付けの維持が必要とされて以降、当組合では毎年着実にリザーブを積み立て、自己資本の強化を図って参りました。しかしながら、昨年度決算で損失を計上したことで大幅なリザーブの減少が生じ、S&P格付けが「BBBアウトルック:安定的」へ引き下げられました。IG加盟資格基準で求められる格付けは「BBB-アウトルック:安定的」以上であるため、今回の引き下げによって当組合の運営に支障が生じることはありませんが、さらなる格付けの引き下げを回避するためにも財務基盤を安定・強化することが急務となっています。

 

一方、2022保険年度は、昨年までIG全体で多発していたプールクレームが落ち着きを見せ、当組合でも現在までのところプールクレームの発生は1件に留まっています。ただし、外航船保険では、過年度、特に2020および2021保険年度のクレーム損害額の膨らみがあり、保険成績が2020保険年度は122.0%、2021保険年度は190.3%と非常に悪績となっています。内航船保険では、現在までのところ大型事故は発生していませんが、昨年、当組合史上最高額の損害が発生した影響で再保険料が大幅に上昇したことで、非常に厳しい収支状況となっています。

 

このような状況の中で、昨年度減少したリザーブ額を回復し、S&P格付けの維持・向上を図るため、当組合は2022年度財務基盤安定化計画を策定し、安定的に250億円以上のリザーブを確保することを目指すことにいたしました。同計画を踏まえ、今般、2023保険年度の保険料率および過年度追加保険料率・精算保険料率を以下のとおり決定いたしましたので、何卒ご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

 

理事会主要決定事項

 

  1. 2023保険年度保険料率および過年度追加保険料率・精算保険料率の件

各保険種目の来年度保険料率等について以下のとおり決議されました。

 

(1) 外航船保険

保険年度

当初予想

追加保険料率

お支払い済み
追加保険料率

今回決定

精算保険料率

2019

40%

40%

クローズ

クローズ

2020

40%

40%

予定外追加保険料を前払保険料の25%相当分の範囲内で決定する権限を当組合の常務会に移譲していただく(2023年2月頃に実際の予定外追加保険料の徴収について決定する予定)。上記以外の追加徴収予想を0%としてオープン

30%

2021

40%

0%

当初予定していた40%の追加保険料については2023年1月31日(火)を支払期日としてお支払いいただくとともに、予定外追加保険料を前払保険料の25%相当分の範囲内で決定する権限を当組合の常務会に移譲していただく(2023年2月頃に実際の予定外追加保険料の徴収について決定する予定)。上記以外の追加徴収予想を0%としてオープン

30%(*)

2022

40%

-

徴収予想40%のままで継続

45%

2023

-

-

Mutual Premium方式に移行し、10%のGeneral Increaseを行う

3.5%

(*) 今回決定の追加保険料40%をお支払いいただいた後の数値。

 

詳細は以下のとおりです。

 

2023保険年度 保険料率

外航船保険の保険料率については10%のGeneral Increaseを行います。また、各組合員の保険成績などによる調整に加え、IG再保険コストに変動がある場合はそれに応じた調整を行います。

 

精算保険料率(**)は3.5%といたします。

 

過年度 追加保険料および精算保険料

2019保険年度

当初予想していた40%の追加保険料のうち40%を2020年1月にお支払いいただいており、これ以上のご負担を願うことなくクローズいたします。

 

2020保険年度

当該保険年度の前払保険料に対して、当初予想していた40%の追加保険料のうち40%を2022年1月にお支払いいただきましたが、時間の経過に伴いクレームの損害額が膨らみ、最終損害予想金額が増加したため、予定外追加保険料を前払保険料の25%相当分の範囲内で決定する権限を当組合の常務会に移譲していただきます(2023年2月頃に実際の予定外追加保険料の徴収について決定する予定)。それ以外の予想追加保険料率を0%、精算保険料率を30%としてオープンといたします。

 

2021保険年度

現況

同保険年度のクレームについては、時間の経過とともにクレームの損害額が膨らんだ影響などもあり、現時点での最終予想保有保険成績は大幅な悪績となっています。

 

徴収率

当該保険年度の追加保険料は前払保険料に対して40%の追加保険料のご負担をご予定いただいています。現況を考慮して、予定どおり40%の追加保険料をご負担願うことといたします。 また予定外追加保険料を前払保険料の25%相当分の範囲内で決定する権限を当組合の常務会に移譲していただきます(2023年2月頃に実際の予定外追加保険料の徴収について決定する予定)。それ以外の予想追加保険料率を0%、精算保険料率を30%(上記の追加保険料40%をお支払いいただいた後の場合。追加保険料40%をお支払いいただく前の場合は、精算保険料率は70%となります)の額といたします。

 

追加保険料の支払期日

前述の追加保険料(前払保険料の40%)を、2023年1月31日(火)を支払期日としてお支払いいただきます。

 

2022保険年度

当該保険年度の予想追加保険料率を40%、精算保険料率を45%のままといたします。

 

(2)用船者責任保険特約

2023保険年度 保険料率

用船者責任保険特約の保険料率については10%のGenera lncreaseを行います。また、各組合員の保険成績などによる調整を行います。

 

(3)FD&D 特約

2023保険年度 保険料率

FD&D特約の保険料率については10%のGeneral Increaseを行います。また、各組合員の保険成績などによる調整を行います。

 

精算保険料率(**)は3.5%といたします。

 

過年度 追加保険料および精算保険料

2019保険年度

当初予想していた 20%の追加保険料は、ご負担を願うことなくクローズいたします。

 

2020保険年度

当該年度の予想追加保険料率を20%、精算保険料率を25%のまま据え置くことといたします。

 

2021保険年度

当該年度の予想追加保険料率を20%、精算保険料率を25%のまま据え置くことといたします。

 

2022保険年度

当該年度の予想追加保険料率は20%、精算保険料率は25%のままといたします。

 

**上記外航船保険とFD&D特約の精算保険料は、保険料リスク、支払備金リスク、超大型事故リスク、市場リスク、取引先リスク、事業リスクなどを総合的に勘案し、2020、2021および2022保険年度については、各保険年度の追加保険料の徴収率に対して一律5ポイント加算した割合、2023保険年度については、予定保険料の3.5%と設定しています。

 

(4) 内航船保険

2023保険年度 保険料率

標準保険料方式を廃止し、組合員(フリート)ごとに個別に保険料を算出する方式へと移行します。

船種および各組合員の保険成績等を考慮して加入契約全体で15%の保険料引き上げを目指します。

 

(5) 休航による返戻保険料

外航船保険、用船者責任保険および内航船保険については、積荷を積載せず、同一の安全な港または場所で引続き30日以上(開始の日から終了の日までの日数から1日を控除した日数)休航した場合は、当該期間の日割り保険料に40%の返戻率を乗じた金額を返戻いたします。

 

(6) Mutual Premium方式移行について

2023保険年度より外航船保険とFD&D特約を対象として実施いたします。詳細につきましては別途ご案内申し上げます。特別回報第22-017号をご参照ください。

 

 

  1. Hydra Insurance Company Ltd.増資の件

IGが設立したキャプティブ保険会社Hydra Insurance Company (Hydra社)内の当組合勘定の保護セルHydra Japan Cellの2022年第二四半期(8月20日)の自己資本額がHydra社の定める最低基準を下回ったため、これを満たすべく、2023年2月20日までに総額17百万米ドルの増資を行うことが決議されました。

 

 

  1. 保険契約規程一部変更の件

2023年2月20日より以下の規定の一部を変更することが決議されました。

 

第6条(保険料)・第7条(保険料の支払い)・第9条(保険年度の保険料の確定)

Mutual Premium方式への移行に伴い文言を整理するもの。

 

第10条(保険契約の継続)第4号変更

同条(3)に規定する第11条(保険契約の解約又は解除)により解約された場合については、第11条第3項(3)ないし(4)の規程において、現行の第10条(4)イおよびロの場合も組合による保険契約の即時解約又は解除の対象となっているため、規定の内容を整理するもの。

 

第19条(船員に関する責任及び費用)第1項第5号変更

離路によって発生した費用の内てん補対象となる費用について、趣旨を明確にするもの。

 

第26条(曳航に関する責任)変更

プール協定の改定に伴うもの。

 

第31条(過怠金)第2項第6号変更

プール協定の改定に伴うもの。

 

第35条(一般除外規定)第1項第8号変更

プール協定の改定に伴うもの。

 

なお、変更内容の詳細につきましては、2023年2月上旬に発行予定の特別回報にて改めてご案内申し上げます。

 

 

組合員の皆さまにはご負担をお願いすることになりますが、早期に財務基盤を安定させるべく取り組んでまいりますので、何卒ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

以上

日本船主責任相互保険組合

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