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第605回理事会結果のご報告

2020/12/02 第20-016号

組合員各位


2020年12月2日に東京で当組合の第605回理事会が開催されました。主要な決議内容を下記のとおりご報告申し上げます。

 

 

 

はじめに

当組合には本年 9 月 30 日時点で内外航あわせて 4,226 隻 10,030 万トンの船舶にご加入いただいており、組合員各位のご支援に感謝申し上げます。

 

2020保険年度のクレーム傾向については、外航船保険は上半期に大型事故が例年以上に発生しており、予断を許さない状況にあります。一方、内航船保険については過年度と比較すると上半期は落ち着いています。

 

2021 保険年度の保険料率および過年度追加保険料率・精算保険料率につきましては、引き続き競争の激しい P&I 保険市場の中で、組合員を取り巻く事業環境、保険事業収支バランス等の各要素を慎重に考慮し、以下の「理事会主要決定事項」に記載のとおり決定いたしました。何卒格別のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

 

理事会主要決定事項

  1. 2021保険年度保険料率および過年度追加保険料率・精算保険料率

各保険種目の来年度保険料率等について以下のとおり決議されました。

 

(1) 外航船保険

保険年度

当初予想

追加保険料率

お支払い済み
追加保険料率

今回決定

精算保険料

2017

40%

40%

クローズ

クローズ

2018

40%

40%

追加徴収予想0%とし継続

5%

2019

40%

0%

40%相当額を2021年1月29日までにお支払いいただく

5%

2020

40%

-

徴収予想40%のままで継続

45%

2021

40%

-

10%のGeneral Increaseを行います

45%

 

詳細は以下のとおりです。

 

2021保険年度 保険料率

外航船保険の保険料率については 10%の General Increase を行います。また、各組合員の保険成績などによる調整に加え、国際 P&I グループ再保険コストに変動がある場合はそれに応じた調整を行います。

 

予想追加保険料率は前払保険料に対し 40%、精算保険料率(*)は 45%といたします。

 

標準免責金額を以下のとおり引き上げます。

 

船員に関するクレーム:一事故あたり US$ 5,000(現行 US$ 3,000)

積荷に関するクレーム:一航海あたり US$ 15,000(現行 US$10,000)

上記以外のクレーム: 一事故あたり US$ 10,000(現行 US$ 5,000)

 

過年度 追加保険料および精算保険料

2017保険年度

当初予想していた 40%の追加保険料のうち 40%を 2019 年 1 月にお支払いいただいており、これ以上のご負担を願うことなくクローズいたします。

 

2018保険年度

当該保険年度の前払保険料に対して、当初予想していた 40%の追加保険料のうち 40%を 2020 年1 月にお支払いいただきました。今後大幅な変動はない見込みであることから、予想追加保険料率を 0%、精算保険料率を 5%のままオープンといたします。

 

2019保険年度

現況

当該保険年度の保険成績は 153.8%と悪績ですが、今後大幅な変動はないものと見込まれます。

 

徴収率

当該保険年度の追加保険料は前払保険料に対して 40%の追加保険料のご負担をご予定いただいています。現況を考慮して、この度は予定どおり 40%の追加保険料をご負担願うことといたします。これにより、予想追加保険料率を 0%および精算保険料率を 5%へと変更いたします。

 

追加保険料の支払期日

前述の追加保険料を、2021 年 1 月 29 日(金)を支払期日としてお支払いいただきます。

 

2020保険年度

当該保険年度の予想追加保険料率を 40%、精算保険料率を 45%のままといたします。

 

(2)用船者責任保険特約

2021保険年度 保険料率

用船者責任保険特約の保険料率については General Increase を行いませんが、保険成績が悪化傾向にあることから、個別に保険料の値上げを実施いたします。

 

(3)FD&D 特約

2021 保険年度 保険料率

FD&D 特約の保険料率については General Increase を行いません。

 

予想追加保険料率は前払保険料に対し20%、精算保険料率(*)は25%といたします。

 

過年度 追加保険料および精算保険料

2017保険年度

当初予想していた 20%の追加保険料は、ご負担を願うことなくクローズいたします。

 

2018保険年度

当該年度の予想追加保険料率を 20%、精算保険料率を 25%のまま据え置くことといたします。

 

2019保険年度

当該年度の予想追加保険料率を 20%、精算保険料率を 25%のまま据え置くことといたします。

 

2020保険年度

当該年度の予想追加保険料率は 20%、精算保険料率は 25%のままといたします。

 

 ✱ 上記外航船保険と FD&D 特約の精算保険料は、保険料リスク、支払備金リスク、超大型事故リスク、市場リスク、取引先リスク、事業リスクなどを総合的に勘案し、各保険年度の前払保険料に対して一律 5%と設定しています。

 

(4) 内航船保険

2021保険年度 保険料率

内航船保険の保険料率については現行料率を据え置きます。

 

 

  1. 休航による返戻保険料

外航船保険、用船者責任保険および内航船保険については、積荷を積載せず、同一の安全な港または場所で引続き30日以上(開始の日から終了の日までの日数から1日を控除した日数)休航した場合は、日割り保険料に一定の返戻率を乗じた金額を返戻いたします。返戻率につきましては長年に亘り見直しを行っていませんでしたが、保険料収入に占める必要経費の割合が年々高くなってきていることから、以下のとおり引き下げます。


  1.  船員を配乗したままで休航した場合: 40%(現行60%)
  2.  船員(保安要員を除く)を配乗しないで休航した場合: 40%(現行75%)

 

 

  1. Mutual Premium方式移行について

本件は、昨年 11 月26日に開催された第602回理事会にて、継続して検討することで決議されていましたが、2021保険年度は標準免責金額や休航返戻率の変更を行うことから、実施を見送ることとし、今後の導入に向け引き続き検討を行うことといたしました。

 

 

  1. 保険契約規定一部変更

2021年2月20日より以下の規定の一部を変更することが決議されました。

 

第20条(船客に関する責任及び費用)第4項変更

現行規定では「保障契約」=「ブルーカード」としていますが、「保障契約」とは船舶油濁等損害賠償保障法において船舶所有者の油濁損害賠償責任をてん補する保険契約または賠償義務の履行を担保する契約を意味し、当該保険契約の付保を証明する書類である「ブルーカード」とは異なります。用語を整理し、意味を明確にしました。

 

第24条(財物に関する責任及び費用)第1号、2号及び4号変更

財物等の滅失損壊そのものに加え、その結果生じる不稼働損失等の消極的損害も含むことを明確にする趣旨で文言を整理しました。

 

第28条(防疫に関する費用)変更

てん補事由として、加入船舶上での伝染病の発生を直接の原因とすること、また加入船舶に加え「加入船舶上の積荷若しくは船員等」の消毒および検疫に要した費用がてん補対象となる旨を明確にしました。契約で定める寄港地以外の港への寄港については、てん補除外事由の判断基準となる予見可能性について文言を整理しました。

 

第31条(過怠金)第1項第1号変更

IGプール協定の改定案に合わせて、保険契約規程の条文の文言との整合性を取るための変更、および文言の整理をしました。

 

第34条(免責金額)第2項変更

現行規定では、責任制限額が適用される場合には免責金額を控除しませんが、免責金額を控除しない合理的理由はないためこれを改めました。

 

第35条(一般除外規定)第1項第6号変更

救助作業には船骸のみならず、貨物等の撤去作業も含まれる旨趣旨を明確にしました。

 

第35条(一般除外規定)第2項変更

第20条第4項の変更と同旨。

 

なお、変更内容の詳細につきましては、2021年2月上旬に発行予定の特別回報にて改めてご案内申し上げます。

以上

日本船主責任相互保険組合

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