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戦争及びテロ危険におけるバイオケミカルリスクの一部復活てん補について

2004/03/25 第03-024号
  • 外航
首題に関しまして、このほど国際P&Iグループ(グループ)の各クラブは概ね以下の内容の回章を発行いたしました。
 本件は、一般的な船舶戦争保険のP&I特約において、いわゆるバイオケミカル免責条項(下記注ご参照)が導入されて同リスクの一部について保険カバーの確保が困難となっている現状に鑑み、新たにグループによる同カバー提供を意図するものでありますが、昨年来グループ内で検討を取り進めてきたものの本保険契約年度開始までにはてん補内容を固めるに至らなかったものです。今般、グループ内でてん補内容が合意されたことにより、保険契約年度途中ではありますが、同リスクに関するカバーの拡大を行うこととなりました。


 当組合に関しましては、保険契約規定の改定を伴うカバー拡大であるため、新たに同カバー提供を行うためには今後規定改定につき理事会の所定の手続きを経て監督官庁への届出を行う必要がある関係上、他クラブと同時期にカバー提供の開始を行うことは出来ませんが、可及的速やかにカバーの提供を行うよう努めてまいりますので宜しくご了解くださいますようお願い申し上げます。 当組合としてのカバー提供開始日および保険契約規定の関連部分の改定のご案内は追ってご連絡申し上げますが、6月までの開始を目指しております。なお、これら当組合独自の事情につきましては添付共通回章でも言及されているとおりです。


注)なお、バイオケミカル免責条項は2003年3月28日発行のP&I特別回報第02-023号「P&I戦争危険特別カバー」にてご説明しております「化学兵器、生化学兵器、電磁兵器及びコンピューター・ウィルス除外条項」がこれに該当いたします。


= 国際P&Iグループ加入各クラブの共通回章概要 =

 ご存知の通り、2003年2月以降に発行された殆どの船舶戦争保険証券(P&I特約を含む)にはバイオケミカル免責条項が挿入されており、この状況は当面変わらないものと思われます。


 2004保険年度において国際P&Iグループの各クラブが提供している、船舶の適正な船価額を超過基準額とした限度額4億ドルのP&I戦争危険超過特別カバー(弊注:弊組合の「P&I戦争危険特別条項」)にも同様にバイオケミカル免責条項が含まれており、その結果、ほとんどの組合員は直接もしくは間接的に化学、生物、生化学、電磁の各兵器もしくは危害を加える目的でのコンピューター及びコンピューターシステムの使用によって引き起こされるP&I戦争危険(弊注:テロリスクも含む)に対してどこからも保険カバーを得られない状況にあります。


これに対して全ての国際P&Iグループ加入クラブ(当座Japan P&I Clubは除く)はグループのプール制度を利用して、現在保険カバーが手配できないと思われるリスクの内2種類のリスクに対して限定的なカバーを提供することを決定いたしました。


 具体的にはグループのプール制度を利用して、2004年3月15日正午(GMT)より組合員が負う以下の賠償リスクに対しカバーを提供いたします。


(1)船員の死亡、傷病に起因して組合員が支払う賠償、手当てもしくは費用(離路費用、送還費用、代人費用および失業手当を含む)
(2)バイオケミカル免責条項に該当する事故によって生じたP&Iクレームに関する責任防衛もしくは軽減のための費用


 カバーの詳細な内容はルールの変更通知でご確認願います。ご参考まで主な項目は以下の通りとなっております。


(1)カバーは全ての組合員に自動的に提供され、組合員の通常の免責額を適用の上、一船、一事故(もしくは同一の原因による一連の事態)、当たり20百万米ドルを限度とする。
(2)各クラブは一事故当たり5百万米ドルを保有し、それを超える15百万米ドルまでを他のプールクレームと同様にプールする。
(3)てん補限度額(20百万米ドル)は、一隻の船に関係する被保険者(例えば船主と傭船者、Sub-Charterer等)の数やそのそれぞれが異なるP&Iクラブに加入しているかどうかに拘わらずそれら被保険者全ての累計に適用される。
(4)本リスクの過剰な累積を回避するため、本カバーには24時間の事前通告による提供中止の規定および特に危険な地域(アテネオリンピック等)に対する地理的な除外規定を設ける。
(5)本カバー提供にあたっての追加保険料は徴収しない。


Japan P&I Clubについては、同クラブは監督官庁の了解が得られ次第参加する意向を表明しており、2004年6月からの提供開始を目指しています。


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