国際P&Iグループ
Japan P&I Clubと国際P&Iグループ
世界でも主要な海運国である日本において、1950年に制定された船主相互保険組合法に基づき、当組合は本邦唯一のP&Iクラブとして設立されました。設立当初、加入船社は日本国内のみでしたが、現在ではアジア諸国の船主も加入する国際的なP&Iクラブとなっています。
一方、 国際P&Iグループの歴史は、1899年にまで遡ります。当時、英国を中心とした6つのP&IクラブによりロンドンP&Iグループが形成されたのが始まりです。現在は、当組合を含む世界の主要な12のP&Iクラブが国際P&Iグループ(IG)を形成し、世界の外航船の船腹量の約9割の保険を引き受けています。この12のクラブは、それぞれ独立した相互保険組合であり、営業面では競合状態にありますが、船主の責任が複雑化および高額化傾向にあるなか、IGとして協力しながら、各種問題に対応しています。
IGの機能の一つとして、各クラブやメンバーの懸案事項についての情報交換の場の提供が挙げられます。この情報交換の場は主に委員会の形式を取りますが、当組合は組合員の皆さまの声が届けられるよう委員会への積極的な参加を心掛けています。
当組合も重要な役割を果たしているIGの精神は、メンバーに対し適切なサービスを提供していくことにあります。それには、すべてのメンバーが日々直面する問題への解決策を模索することが含まれます。たとえば、海上労働条約で要求された金銭上の保証に対する保険といった、通常のP&I保険カバーの範囲に入らないものに対しても、IGは加入船舶の運航に支障が出ないよう積極的にメンバーに解決策を提供するよう努力しています。
2026保険年度国際P&Iグループ(IG)再保険スキームについて
1. IG再保険スキームとは
IG再保険スキームはIGの持つ主要な機能の一つであり、同スキームにより低廉なコストで高額な補償を提供することが可能になっています。当組合もIGのメンバーとしてIG再保険スキームに参加しています。
2. IG再保険スキームの仕組み
2026保険年度のIG再保険スキームの基本構造は以下の図のとおりです。
- 1千万米ドルまで
クラブ保有と称し、各クラブの自己負担。 - 1千万米ドルから1億米ドルまで
プールと称し、1千万米ドルから3千万米ドルまでは、各クラブの分担率に基づき分担します。なお、プール部分のうち3千万米ドルから1億米ドルまではHydraというIGクラブが出資して設立した自家保険会社に出再しています。 - 1億米ドルから23.5億米ドルまで
Lloyd’sを中心とする再保険マーケットで再保険を購入しています。(図中の*は、Private Placementと呼ばれる複数年契約定額再保険です。)Layer 1からLayer 3に分かれており、Layerごとに参加している再保険会社が異なります。
なお、Layer 1のうち、72.5%はマーケット再保険者に出再、同再保険カバーには1.0357億米ドルの年間免責金額が設定されています。同免責金額を超過するまではマーケット再保険者ではなくHydraでカバーします。また、悪意のあるサイバー攻撃に起因する損害と、新型コロナウイルス/その他の感染症に起因する損害については、それぞれ合計16億米ドルの年間累積回収限度額が設定されています(図中の**)。
- Layer 2:
- 年間累積回収限度額7.5億米ドル(油濁クレームは1事故あたり最大2.5億米ドル)
- Layer 3:
- 年間累積回収限度額8.5億米ドル
- 23.5億米ドルから約98億米ドルまで
オーバースピルと称し、IG全クラブメンバーで分担し、その資金は各クラブがメンバーに請求する分担金(オーバースピル保険料)により賄われます。なお、オーバースピルのうち、23.5億米ドルから33.5億米ドルまでの部分については再保険マーケットで購入した再保険で賄われます。
なお、油濁損害については10億米ドル、船客についての責任は20億米ドル、船客と船員についての責任の場合は30億米ドルの上限が設定されています。
3. IG再保険料率
IG再保険料はIGクラブに加入している全組合員にご負担いただいております。IGでは毎年再保険者との交渉により決定した再保険料総額に基づき船種ごとの再保険料率を算定し発表しています。
2026保険年度および前保険年度(2025保険年度)の再保険料率は以下のとおりです。
| 船種カテゴリー | 2026保険年度
(US$/GT) |
2025保険年度
(US$/GT) |
対前年比増減率
(%) |
|---|---|---|---|
| Persistent Oil Tankers | 0.5758 | 0.6258 | -8.0 |
| Clean Tankers | 0.4337 | 0.4337 | 0 |
| Dry Cargo Vessels | 0.5751 | 0.6054 | -5.0 |
| Fully Cellular Containerships | 1.0237 | 0.8903 | +15.0 |
| Passenger | 3.1472 | 3.4390 | -8.5 |
4. Excess War P&I 再保険
Excess War P&I カバーに対する保険料は、3.の IG 再保険料に含まれています。本カバーにおけるてん補限度額は、通常一船一事故あたり USD5 億ですが、ロシア・ウクライナ紛争の影響により、一部水域におけるてん補限度額は1.25億米ドル(2025年度は1億米ドル)に制限されています。