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2017/07/18

P&I特別回報 第17-005号 2004年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約(BWM条約)と 米国バラスト水管理規則(その3)

| by:業務部編集用

印刷用:No.17-005(J)

17-005

2017年7月18日

 

外航組合員各位


2004年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約(BWM条約)と
米国バラスト水管理規則(その3)

 

背景


題記の件に関し、2017年1月16日付特別回報第16-019号および同年2月17日付特別回報第16-020号をご参照ください。


特別回報第16-019号では、2017年9月8日に発効予定の国際海事機関(IMO)の「2004年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約」(以下、「条約」という)と米国水域を航行してバラスト水を排出するほとんどの船舶に対し、2016年1月1日以降の、さらに、最初のドライドック時点で、米国沿岸警備隊(USCG)が承認し、USCGテスト基準を満たすバラスト水処理システムの設置を要求するUSCG規則についてご案内いたしました。


2017年7月7日のIMOの第71回海洋環境保護委員会(MEPC)において、条約で要求されているバラスト水処理システムの設置期限の修正が決定されました。同修正により、既存船舶、すなわち2017年9月8日以前に建造された船舶については、承認されたバラスト水処理システムの設置期限が2年延長されることとなりました。


なお、重要なのは、上述の修正がUSCG規則で定める遵守日になんらの影響もありません。



IMO BWM条約-施行スケジュールの修正


特別回報第16-019号でご案内したように、条約は、国際航海に従事するすべての船舶に対し、バラスト水管理計画に従って、バラスト水及び沈殿物を一定の基準で管理するよう要求しています。また、すべての船舶は、条約に従ってバラスト水記録簿と国際バラスト水管理証書を保持していなければなりません。


最終的にほぼすべての船舶は、2017年9月8日の条約発効日以降で、船舶のInternational Oil Pollution Prevention Certificate (国際油汚染防止証書、IOPP証書)の最初の更新日までに、IMOの基準を満たすバラスト水処理システムを設置することが義務付けられます。


今般の条約施行スケジュールの修正は、承認されたバラスト水処理システムとバラスト水排出時に排出容量単位ごとにサイズ別に定められた生存可能な生物の最大許容数を規定する排出基準D-2に適用されます。修正された施行スケジュール(修正された条約の第B-3規則[1]が含まれる)には以下の設置期限が設定されています。

  • 2017年9月8日以降キール据付される新造船は引渡時にバラスト水処理システムが設置されていなければなりません。
     
  • 既存船(2017年9月8日以前にキール据付された)に関する設置期限は、IOPP証書の最初の更新検査実施時期により異なります。

 

IMOの第71回MEPCでは次のように合意されています。

既存船のバラスト水処理システム設置期限:

10.1次の場合条約発効後最初のIOPP証書の更新検査の完了時まで:-
.1 更新検査が2019年9月8日以降である場合、または
.2 更新検査が2014年9月8日から2017年9月7日までに行われる場合

10.2 条約発効後、2回目の更新検査完了時まで:- 条約発効後、最初の更新検査が2019年9月7日以前に行われた場合。ただし上記10.1.2に該当しない場合に限る。


2017年9月8日以前に建造された船舶で、MARPOL に基づいて行われるIOPP証書の更新検査の適用を受けない船舶は、遅くとも2024年9月8日までには排出基準D-2の遵守が求められます。


以上のスケジュール修正についてまとめると以下の表のとおりです。 

新造船舶既存船舶左記以外の既存船舶IOPP証書
所持義務のない船舶
キール据付が2017年9月8日以降である場合、IOPP証書の更新検査が2014年9月8日から2017年9月7日の間に行われた
場合、
以下の何れかが最初に到来する時までにバラスト水処理システムが設置されていなければならない。150GT未満のタンカーと400GT未満のタンカー以外の船舶の場合、
引渡時にバラスト水処理システムが設置されていなければならない。2017年9月8日以降、最初のIOPP証書の更新検査実施時にはバラスト水処理システムが設置されていなければならない。2019年9月8日以降、最初のIOPP証書の更新検査実施時、または2017年9月8日以降、2回目のIOPP証書の更新検査実施時。*遅くとも2024年9月8日までにバラスト水処理システムが設置されていなければならない。

*条約発効後、最初のIOPP証書更新のための検査が2017年9月8日から2019年9月8日の間になされた場合。


IMOが基本承認あるいは型式承認した60を超えるバラスト水処理システムのリストは次のリンクで参照できます。

http://www.imo.org/en/OurWork/Environment/BallastWaterManagement/Documents/
Table%20of%20BA%20FA%20TA%20updated%20November%202016.pdf


重要なのは、IMOの第71回MEPCで合意された施行スケジュールの修正が排出基準D-2遵守の期限を遅らせること、それに伴うバラスト水処理システム設置期限を延長することです。今回の修正合意は、条約のバラスト水交換に関する基準D-1を遵守しなければならないことに何ら影響を及ぼさず、また、2017年9月8日に発効する条約で要求される書類の整備に何ら影響を及ぼしません。



米国沿岸警備隊(USCG)のバラスト水管理規則


2017年6月30日発行のUSCG海事安全情報第07-2017号(USCG Marine Safety Information Bulletin (MSIB) 07-2017)では、米国が条約締約国ではなく、船舶が条約でいうところのいかなる状態であったとしても、米国領海内(海岸線から12海里以内)でバラスト水を排出する場合は米国バラスト水管理規則(Title 33 CFR 151 Subparts C and D)を遵守する必要があることを案内しています。

 

米国バラスト水管理規則は、条約や今般のIMOの第71回MEPCにおけるバラスト水処理システム設置延長に関する決定の適用を受けません。USCG海事安全情報第07-2017号では、米国規則と条約のそれぞれで認容されているバラスト水管理方法の相違点の概要が示されています。


米国バラスト水管理規則のもとでは、「最善を尽くしたにもかかわらず、承認を受けたいかなるバラスト水管理方法も実施できないことを船主・オペレーターが書面にて提出した場合に、USCGは遵守日延長を許可することができる」と定めています。承認を受けたバラスト水管理方法は以下のとおりです。


 1) USCGが型式承認したバラスト水管理システムを使用すること
2) 米国の公共用水施設(PWS)から取水したバラスト水を使用すること
3) 代替的管理システム(AMS)を使用すること(ただし、延長許可された遵守日を含め、もともとの遵守日から5年を限度とする)
4) バラスト水を米国領水域で排出しないこと(海岸線から12海里以内の領海を含む)
5) バラスト水を受入施設や他船に処理目的で排出すること(ただし、今回はどちらの方法も承認されない)


USCG海事安全情報第03-2017号(USCG MSIB 03-17)では、USCGバラスト水管理規則の遵守日延長プログラムと同遵守日延長の申請に関する新たなガイダンスについて案内されています。USCGが型式承認した処理システムを設置できない、且つ、USCGが承認した他のバラスト水処理方法も実施できない場合に、船主・オペレーターはUSCGに対して遵守日延長の申請ができるとされています。船主・オペレーターは延長申請の際、USCG型式承認システムの入手・設置ができないことを示す証拠を提出する必要があります。遵守日延長が認められるにしてもその延長期間は、USCGが型式承認した処理システムが設置可能となるまでの期間と、詳細な設置工事スケジュールに基づいて決定されます。



カリフォルニア州のバラスト水管理要求


カリフォルニア州にはUSCGよりも厳格な独自のバラスト水管理基準があることにご留意願います。カリフォルニア州のバラスト水管理システムのための「暫定排出基準」は2020年1月1日に発効します。カリフォルニア州有地管理委員会は、2016年12月30日に同州に寄港する船舶に対してバラスト水管理に関する現行の報告要求内容について確認する通知を発行しました。同通知は次のリンクで参照できます。

http://www.slc.ca.gov/Forms/MISP/2017_LtrAgents.pdf



P&I保険のカバー


P&I保険の汚濁に関するカバーの取扱は、IMOの第71回MEPCにおいてバラスト水処理システムの設置期限の延長が合意されましたが、特別回報第16-019号の記載のそれと変更ありません。


国際P&Iグループのすべてのクラブが同様の内容の回報を発行しています。


以上

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[1]バラスト水処理システムについての具体的な要求は、条約の第B-3規則(船舶のバラスト水管理)に記載されています。条約は、条約に従ったバラスト水管理システムが「バラスト水処理システム承認のためのガイドライン(G8)」を考慮して船籍国当局により承認されなければならないと規定しています。当該要求の詳細については以下のリンクをご参照下さい。

http://www.imo.org/en/About/Conventions/ListOfConventions/Pages/International-Convention-for-the-Control-and-
Management-of-Ships'-Ballast-Water-and-Sediments-(BWM).aspx





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