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2012/12/28

第12-025号 直接還元鉄DRI(C)を含む可能性のある微粉鉄の海上運送の際に必要な情報

| by:sysadmin
第12-025号
2012年12月28日
外航組合員宛

直接還元鉄DRI(C)を含む可能性のある微粉鉄の海上運送の際に必要な情報

背景

鉄鉱石から直接還元鉄(Direct Reduced Iron:以下"DRI")を製造する工程やそれに続くホットブリケット作業の過程において、粉末や破損したチップ状の不要な副産物が生成されます。一部の製造者はこの副産物を回収し輸出します。そのような貨物は米国、メキシコ、リビアからも運送されますが、歴史的には主にべネズエラやトリニダードからのものです。この貨物は過去に多くの大事故を引き起こし、中でも5つの内4つのカーゴホールドで発生した爆発によって乗組員6名の命が犠牲になり、本船も全損となった2004年のYthan号の事故が有名です。

この貨物については従前のBC Codeでは明確に規定されておりませんでしたが、広範囲にわたる議論により、この物質を網羅する新しい付則が起草され、2009年版IMSBC Code(International Maritime Solid Bulk Cargo Code:国際海上個体ばら積み貨物コード)に規定され、2011年1月1日付で強制化されました(IMSBC Codeの最新版は今年発行されました)。前述の貨物は直接還元鉄C(粉状の副産物:以下"DRI(C)")と分類されましたが、その定義は金属鉄含量や含水量を考慮せず、その産出物や粒径、密度のみに基づいております。

広く注目されたにも関わらず、貨物の品目にDRIと明記されず、実際は相当な割合のDRI(C) を含む貨物が依然として運送されています。 それらの貨物の品名は、再酸化鉄粉、 鉄粉(混合物)、鉄鉱石ペレット・チップ、酸化鉄粉、泥状粉、スラッジ、リミット(remets)、浄化泥粉、使用済み鉄粉などと記載されています。 DRIを含有する同種の貨物も、DRI(C)でないと申告され、IMSBC CodeのDRI(C)の付則に従う必要がない貨物として運送されています。 更に、積載予定貨物がDRI(C)ではなくとも、貨物がDRIと隣接した場所に貯蔵されていると、DRI Finesが混入する可能性があるということも知っておくべきです。本回章は船主、船長及び用船者にDRI貨物を識別するために必要な情報や正しく安全な運送実務についての指針を提供するものです。

誤解を避けるために申し添えますが、国際P&Iグループの立場は、品名にDRIを含む貨物は適切なばら積み貨物運送品目名(Bulk Cargo Shipping Name:BCSN)を使用して申告し、IMSBC Codeの規定に従って、準備、積荷、運送されるべきというものです。

入手すべき情報
積荷前:

DRI(C)を含む貨物はその化学成分によって特定することができますので、鉄含量、金属(または遊離)鉄含量と含水量を含む詳細な化学成分を入手すべきです。この情報は独立した検査機関による証明書で裏付けされていることが望ましく、実際に運送する貨物に関するものでなくてはなりません。つまり、「一般的な」分析は容認すべきではありません。証明書にはテストされたサンプルを採取する際の方法や規格(ISO 10835:2000が望ましい)、また金属鉄含量を測定する際の規格(BS ISO 5416:2006が望ましい)を記載すべきです。また、積載予定貨物との関連性を確認するために、サンプリングが行われた日付も確認すべきです。

鉄鉱石に含まれる鉄分は他の成分と化学的に結合し、金属(または遊離)鉄を含みません。貨物が金属鉄を含んでいるのならば、DRIの派生物であるはずです。DRI(A)やDRI(B)の貨物は通常約85%の金属鉄を含んでいますが、混合物としてDRI(C)を含んでいる貨物の金属鉄含有率は1~2%と低くなります。そのような混合貨物は危険品であるDRI(C)とみなし、IMSBC Codeの規定に従って運送されなくてはなりません。疑問がある場合には当組合へご相談ください。

積載貨物がDRI(C)と特定された場合には、IMSBC Codeは船長に提供しなければならない情報を規定しています。一般的な要件に加え、DRI(C)の運送には以下の事項が規定されています:

「積荷役に先立って、荷送人は船長に貨物が積荷時に運送に適した状態であること、すなわちIMSBC Codeの要件に適合していること、含水量が0.3%未満であること、温度が65℃以下であることを記載した船積港の当局によって承認された適格な検査機関が発行した証明書を提供しなければならない。この証明書には積載貨物が不動態化(表面不活性化)期間や温度に関する積荷基準を満たしていることが記載されなければならない。」

「貨物は少なくとも船積前30日間(不動態化のため)寝かせることとし、これを確認する証明書は船積港の当局が承認した検査機関が発行したものでなければならない。」

「荷送人は積荷役に先立って貨物についての包括的情報と緊急時に従うべき安全手順を船長に提供しなければならない。」

「積荷役中は貨物の温度を監視し、積載されたそれぞれのロット毎の温度をログに詳述し、その写しを船長に提供しなければならない。積荷後、積荷の微粒子や小粒子全体が含水量0.3%未満で、温度65℃以下であったことを確認する証明書が、船積港の当局が承認した適格な検査機関によって発行されなければならない。」

IMSBC CODEの要件からの免除

IMSBC Code付録1に記載されているDRI(C)のような貨物の運送に関し、同Code第1.5節では、同Codeの要件と同等に効果的で安全であれば、当局はその他の措置や免除を認可することができます。出発国、到着国及び旗国の3か国の当局が認可できます。そのような免除が適用される免除受認者は船積に先立って他の当局に通知しなくてはなりません。

IGは少なくともベネズエラ、トリニダード・トバゴ及びメキシコの3か国において、最大12%の含水量で金属鉄が1%から60%含まれているDRI(C)貨物に出発国の当局が免除証明書を発行しているとの情報を得ています。出発国、到達国及び旗国の3か国の当局間で協定があるかどうかは判断できません。しかし、IGは少なくとも2か国は、DRI貨物の運送についてIMSBC Codeの要件からの免除は認めていないことをつかんでいます。当組合はIMSBC Codeの免除規定を認識しておりますが、組合員にはIMSBC Codeに規定しているDRI(C)の運送要件に従うことを強く勧めます。組合員がこれに従わない場合には、その運送が旗国の法規に違反していないこと、またIMSBC Codeの免除規定に従いばら積み貨物を運送するという免除証明書が各船舶に備え付けられていることを、前述の3か国全ての当局に通知し、免除承認されることが必要です。

前述のような免除規定に基づき運送する場合には、貨物の船積、運送、安全管理手順が明記されなければなりません。特に、船長には各積荷スペースの換気率とその期間が助言されなければなりません。それは、爆発防止のための換気ファンの基準、船艙内の換気ダクト配置の詳細、各積荷スペースの水素濃度の監視手段・頻度、各積荷スペースの温度の監視手段・頻度、非常事態の判断基準、非常時に行うべき手順、非常時の荷送人連絡先、及び該貨の運送開始前及び運送中に行うべき手順等含まれるべきです。

DRI(C)に関するIMSBC Code付則では、許容される含水量の最大値を0.3%と規定しています。もし貨物の含水量がこれを上回っている場合はCodeの規定に従っていないことになり、含水量が高い場合には、微粉鉄鋼石やニッケル鉱と同様に液状化する危険がもたらされます。従って、そうした貨物はGroup A and Bと分類されるべきであり、提出される証明書は運送許容水分値(Transportable Moisture Limit)と含水量を明記すべきです。この証明書は、過去運送した貨物で実施された分析方法ではなく、実際に船積される貨物のみに関し、分析用サンプル採取時に用いられる基準を適用すべきです。

IMSBC Codeは付録1に記載されていない貨物についても言及し、そうした貨物は積載港、揚荷港そして旗国の3か国の当局間のAgreementとその条件の下で運送できると規定しています。しかしながら、もし積載予定貨物が微粉鉄鋼石、あるいは本回章の背景の項に言及された貨物として記載されており、そして金属鉄を含んでいる貨物であることが判明した場合、DRI(C)として見做し、IMSBC Codeに従って運送されるべきです。

なお、国際P&Iグループの全てのクラブが同様の内容の回章を発行しています。

以上


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