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2011/06/27

第11-007号 次亜塩素酸カルシウム(サラシ粉)について(その3)

| by:sysadmin
第11-007号
2011年06月27日
外航組合員宛

次亜塩素酸カルシウム(サラシ粉)について(その3)


1999年12月6日付P&I特別回報第99-021号及び2000年9月21日付特別回報第00-011号をご参照ください。国際P&Iグループは、塩素酸カルシウムの運送に関する危険性と注意事項についてのよくあるご質問を取りまとめましたので、ご案内致します。

1.次亜塩素酸カルシウムとは

白または黄色がかった水溶性の固形物質で、次亜塩素酸カルシウム(CH)を成分として含有する浄水剤や漂白剤といった数種の製品があります。最も一般的な次亜塩素酸カルシウムの製品は高度サラシ粉UN(国連番号)1748およびUN2880と、Bleaching Powder(漂白剤)に使用されるUN2208の普通サラシ粉の三種で、IMDG Code(International Maritime Dangerous Goods Code)では下記のように説明されています。

Class 5.1 UN 1748
次亜塩素酸カルシウムまたは次亜塩素酸カルシウム混合物(乾性のもので有効塩素の含有率が39%を超えるもの)

Class 5.1 UN 2880
次亜塩素酸カルシウムまたは次亜塩素酸カルシウム混合物(水和物で水の含有率が5.5%以上16%以下のもの)

Class 5.1 UN 2208
次亜塩素酸カルシウム混合物(乾性のもので有効塩素の含有率が10%を超え39%以下のもの)

IMDG Codeの第35回改正により新たに以下の分類が追加され、2011年1月1日から任意適用、2012年1月1日から強制適用となっています。

Class 5.1/8 UN 3485
次亜塩素酸カルシウムまたは次亜塩素酸カルシウム混合物(腐食性のもの)(乾性のもので有効塩素の含有率39%を超えるもの)(有効酸素の含有量8.8%)

Class 5.1/8 UN 3486
次亜塩素酸カルシウム混合物(腐食性のもの)(乾性のもので有効塩素の含有率が10%を超え39%以下のもの)

Class 5.1/8 UN 3487
次亜塩素酸カルシウムまたは次亜塩素酸カルシウム混合物(腐食性のもの)(水和物で水の含有率が5.5%以上16%以下のもの)

次亜塩素酸カルシウムまたは次亜塩素酸カルシウム混合物は、国際P&Iグループの勧告に従い、適宜IMDG Codeに規定されている要件に沿って運送されなければなりません。

2.次亜塩素酸カルシウムの危険性とは

次亜塩素酸カルシウムは酸化剤であり、IMDG CodeではClass 5.1の酸化性物質に分類され、さらに次亜塩素酸カルシウムやその混合物はClass 8の腐食性物質に該当します。(IMDG Code 特別規定313、また上記1の第35回改正をご参照。)

次亜塩素酸カルシウムに適合するIMDG Code特別規定314は、以下のとおり:
これらの物質は高温で発熱分解し、分解は熱や不純物との混合(鉄、マンガン、コバルト、マグネシウム等の粉末金属やその化合物)によって生じる。

火災の際には次亜塩素酸カルシウムは燃えることなく分解し酸素を放出するため、火の勢いが激しくなり、おがくずや油といった有機物と混合すれば、外的発火源なしに火災を引き起こします。

次亜塩素酸カルシウムのもう一つの重要な特徴は、不安定で自己反応を起こしやすいということです。通常の温度では大変ゆっくりと分解し放熱しますが、高温になると分解の速度が増し、放熱できなければさらに温度が上昇、分解速度も増します。このように化学反応が暴走し、次亜塩素酸カルシウムは激しく分解します。

3.臨界周囲温度とは

化学反応が暴走する最低周囲温度が、物質のサンプルサイズの臨界周囲温度です。

次亜塩素酸カルシウムの臨界周囲温度は梱包の大きさと形によって決まります。大きな梱包に比べて小さい方が臨界周囲温度が高くなります。これは小さな梱包の方が熱を周囲に逃がしやすいからです。また、安定性に影響を与えるもう一つの要素は水分量で、同じ大きさの梱包では無水の次亜塩素酸カルシウムの臨界周囲温度の方が、水和性次亜塩素酸カルシウムより高くなります。

Brian Gray教授によると、含水量8.5%のUN 2880に分類される次亜塩素酸カルシウムの正味40kgケグの臨界周囲温度は約55℃ですが、正味200kgドラムの場合は約44℃としています。これはドラムどうしがコンテナ内で熱反応を起こすことから、正味200kgドラムを積載したコンテナの臨界周囲温度は44℃より低くなることを示しています。

4.自己加速分解温度とは

物質の自己加速分解温度は、試験によって測定することができ、国連試験基準マニュアルのSection Hでは4つの試験方法が記載されています。自己加速分解温度とは、物質が7日以内に6℃以上の温度上昇を引き起こす最低温度のことをいい、試験は運送されるサイズ(例:45kgドラム)の1梱包で行われます。

試験は物質の熱感度の指針となり、自己反応性物質(Class 4.1)の運送規則や条件を決める一助となります。しかしながら、次亜塩素酸カルシウムは自己反応性という副次危険について補足することなく酸化性物質(Class 5.1)に分類されています。自己反応を起こしやすい特徴をもっているにも関わらず、IMOの分類では自己反応性物質となっていません。

自己加速分解温度は、物質が熱暴走を起こすか否かにつき信頼性のある指針とはなりません。時として、臨界周囲温度が自己加速分解温度をはるかに下回ることもあります。したがって、次亜塩素酸カルシウムの不安定性を評価する際に信頼できる特性は臨界周囲温度となります。

5.次亜塩素酸カルシウムに使用できる梱包はどのようなものか?

2008年のIMDG CodeはVolume 1の138ページ、Table P002において次亜塩素酸カルシウムに使用できる梱包を明示しています。Bag、Sack、IBC、Bulk Packagingは使用できない点にご留意願います。

6.次亜塩素酸カルシウムの別の輸送品目名とは

次亜塩素酸カルシウム(UN 1748、UN2880)は塩化カルシウムと誤って申告されることがあります。他にも、過去にBK Powder、CCH、Hy-chlor、Chloride of limeや塩素化石灰などの名前がありました。

次亜塩素酸カルシウムはIMDG Codeで定められている正式輸送品目名です。よって、UN2880、UN 2208、UN 1748、UN 3485、UN 3486そしてUN 3487と適切な国連番号(UN)を付して運送されなければなりません。

前述の不適切な輸送品目名を用いたり、UN 1479の物質と申告したりと次亜塩素酸カルシウムの輸送条件を回避しようとする荷主もいますが、それは公認された慣習ではないことを国際P&Iグループは以前にも勧告しています。

7.Bleaching Powderは次亜塩素酸カルシウムか?

Bleaching PowderはUN 2208に分類される有効塩素の含有率の低い次亜塩素酸カルシウム(普通サラシ粉)で、運送方法は有効塩素の含有率の高いUN 2880やUN1748の次亜塩素酸カルシウム(高度サラシ粉)とほとんど変わりません。

UN 2208は有効塩素が10%以上39%以下のものです。10%に満たない製品は、運送条件の負担が少ないUN 1479の「その他の酸化性物質」として船積することができます。

8.ドライコンテナは使用できるか?

はい。次亜塩素酸カルシウムの最大積載量が14トンを超えなければ、20フィートおよび40フィートのドライコンテナを使用することができます。下記13ご参照。

9.なぜ次亜塩素酸カルシウムの梱包に45kgという制限があるのか?

1990年代半ばから後半にかけて次亜塩素酸カルシウムが引き起こした大事故は、最大180kgドラムという大きな梱包でした。梱包が大きいほど臨界周囲温度は低くなります。45kgドラム梱包の20フィートコンテナの臨界周囲温度は40℃程度になるので、梱包の制限は45kg、コンテナ1本の総量制限は14トンとなります。

10.なぜ次亜塩素酸カルシウムの輸送はコンテナ1本につき14トンまでに制限されているのか?

現時点では40フィートコンテナで14トン以上の次亜塩素酸カルシウムを運送しても安全であるとする十分な科学的データがありません。国際P&Iグループのワーキンググループは、船主が必要としているのは40フィートコンテナ1本の最大積載量に関するP&Iクラブが推奨する簡単な決まりであると考えています。

11.リーファーコンテナは使用可能か?

はい。次亜塩素酸カルシウムを積載したリーファーコンテナは定期的にチェックを行い、不具合が生じた際の対処法を理解して適切なリスクアセスメントを行った場合には、10℃に管理された20フィートまたは40フィートコンテナで14トンまで輸送することができます。

12.次亜塩素酸カルシウムをリーファーで運送する欠点は何か?

機械の故障や電力供給障害が発生した際に、次亜塩素酸カルシウムはドライコンテナよりリーファーコンテナの中で早く加熱します。迅速に電力の復旧や故障の修理がされなければ爆発することもあります。次亜塩素酸カルシウムの製造者は加熱率を十分に査定できる科学的データを提供していませんが、事例証拠では加熱から放置すれば爆発までに10日から14日間とされています。

リーファー運送のもう一つの問題は、コンテナの塗料や金属細工への腐食作用です。コンテナの腐食の原因は、恐らく循環ファンにより梱包の外部表面の余分な次亜塩素酸カルシウムが空中浮揚するためと考えられています。このように、リーファー運送の場合には問題を回避するため適切な積荷の検査が必要となります。

13.ドライコンテナで他の貨物と混載できるか?

実際には、次亜塩素酸カルシウムはフルコンテナ(Full Container Load: FCL)で運送される傾向にあり、前述のとおり積載量が14トンを超えないようにすることをお勧めします。しかし、他の貨物との混載はコンテナ積載物の全体的な熱特性の変化により次亜塩素酸カルシウムの安定性に悪影響を及ぼすので、お勧めできません。

14.他の貨物が積載されたドライコンテナに数本の次亜塩素酸カルシウムのドラムを混載できるか

これまでの質問は、次亜塩素酸カルシウムをFCL貨物として運送する際に当てはまるものです。ドラム数本の次亜塩素酸カルシウムを他の貨物とコンテナに混載する際には、荷送人は次亜塩素酸カルシウムの運送に関するIMDG Codeに従わなければなりません。

国際P&Iグループのすべてのクラブが同様の内容の回章を発行しています。

以上

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