トップ > P&I 特別回報

JPIメールマガジン

ホームページでご提供している海事関連条約、法律等の動き、国内外のトピックス、最新判例などの情報をメールマガジンとしてお届けします!

P&I 特別回報

 
P&I 特別回報 >> 記事詳細

2012/12/07

第12-021号 PLRの発効について(その2)

| by:sysadmin
第12-021号
2012年12月07日
外航組合員宛

PLRの発効について(その2)



事故の際の海上旅客輸送者の責任に関する2009年4月23日付欧州理事会及び欧州議会の規則(EC) No.392/2009 (PLR)


題記の件に関し、2012年9月24日付特別回報第12-013号「PLRの発効について」をご参照下さい。

PLRは、2012年12月31日より欧州連合(European Union, 以下EUという)及び欧州経済地域(European Economic Area, 以下EEAという)の全加盟国(註1)で適用されます。基本的に、PLRは1974年の船客とその手荷物の海上運送に関するアテネ条約の2002年改定議定書(以下、アテネ条約という)及び条約実施のための戦争リスクに関する2006年IMO留保及びガイドライン(以下、ガイドラインという)の主要条項を実施するものです。

以前ご案内しました通り、PLRの重要な特徴として、EUあるいはEEA加盟各国が国内の海上運送に従事する客船をPLRの適用対象としない旨決定しない限り、内航客船にも適用され、条約の適用対象を拡大している点があります(註2)。

2012年11月29日時点のアテネ条約批准国は8か国で、アテネ条約は10か国が批准してから12か月後に発効します。従って、アテネ条約はPLRが施行された後に発効することになります。アテネ条約は2013/14保険年度中に発効することが見込まれ、その場合、二つの異なる体制(PLRとアテネ条約)が効力を有し適用されることになります。

アテネ条約については、発効が近づいた時点で進展情報をご案内する予定です。

保険及び証書の要求

前回の特別回報にて、PLRで要求される保険及び証書について概要をご案内しました。すなわち、PLRの対象となる船舶は、PLRの要求を充たす保険を付保し、当該保険が有効であることを証するEU/EEA加盟各国により発行される証書を保持しなければなりません。EU/EEA各国は戦争リスクをカバーするブルーカードと戦争リスクを除いたブルーカードを受領後に1通の証書を発行します。当該証書は常に本船上に備え置く必要があります。

国際P&Iグループ(以下、IGという)は、2009年4月にPLRが採択されて以降、EU/EEA加盟各国と密接に連絡を取り、いくつかの国は既に証書発行体制を整えており、その他の国も近々そうなる見込みであると理解しています。また、EU/EEA加盟各国は証書の申請手続きに関するガイダンスの発行準備を進めています。関係組合員は、本年12月31日より施行されるPLRを遵守するための証書取得手続きに関して旗国より情報を入手して下さい。

EU/EEA加盟国籍船の運航者は船籍国から証書を入手する必要があり、当該証書はEU/EEA加盟各国に寄港する際に保険が付保されている証拠として扱われます。

非EU/EEA加盟国籍船については、IGでは多数のEU/EEA加盟各国が2012年12月31日以降に加盟各国に寄港した船舶に対して証書を発行すると理解しています。EU/EEA加盟各国に寄港する予定のある船舶を有する組合員は、証書申請前に当該国の当局に確認して下さい。EU/EEA加盟各国の連絡先については当組合までお問い合わせ下さい。

証書取得には2つのブルーカード(戦争リスクをカバーするブルーカードと戦争リスクを除いたブルーカード)が必要になります。IG各クラブは戦争リスクを除いたブルーカードを発行します。しかしながら、前回の特別回報でご案内しました通り、IG各クラブはグループのプール及び再保険スキームの下で戦争リスクをカバーするブルーカードを発行することはできません。各クラブは代替手段を検討しており、組合員が戦争リスクをカバーするブルーカードを取得する方法について別途ご案内する予定です。

内航運送への適用

PLRは、EU/EEA加盟各国が以下の通り適用延期を決定しない限り、2012年12月31日から国内海上運送に従事するクラスA及びクラスBの船舶にも適用されます。
クラスA船舶については、PLR施行後4年、すなわち2016年12月31日まで
クラスB船舶については、PLR施行後6年、すなわち2018年12月31日まで

さらに、各国は国内海上交通に従事する全船舶を含めるようPLRの適用対象を拡大することができます。その場合、クラスCやクラスDの船舶も含まれることになります。EUDirective 98/18/ECのArticle 4に規定されるクラスA,B,C,D船舶の定義については前回の特別回報第12-013号の添付をご参照下さい。

国内海上運送に従事する上記クラスの船舶へのPLR適用について、全てのEU/EEA加盟国で決定しているわけではありませんが、既に決定している各国の方針は以下の通りです。

2012年12月31日からクラスA,B,C,Dの内航船にPLRを適用する国
●  オランダ
●  フィンランド
●  デンマーク

2012年12月31日からクラスA及びBにPLRを適用する国
●  クロアチア
●  ポーランド
●  スウェーデン
●  フランス

クラスAに対しては2016年12月31日まで、クラスBに対しては2018年12月31日までPLRを適用しない国
●  英国
●  イタリア
●  スペイン
●  ベルギー
●  ラトビア
●  ドイツ
●  エストニア
●  キプロス(近日中に正式決定する予定)
●  ギリシャ
●  アイルランド(但し、現在のところクラスA船舶の船籍登録なし)

方針未決定
●  ノルウェー
●  ポルトガル

クラスA及びBの船籍登録なし
●  マルタ
●  スロバキア


従前ご案内しました通り、EU/EEA各国の内航運送に従事する組合員は、PLRの適用に関して各国の関係当局に確認して下さい。

乗客への情報提供に関するPLRの要求

PLRのArticle 7は、乗客に対してPLRに基づく彼らの権利を説明することを運送人に義務付けています。当該情報提供を進めるべく、欧州委員会は運送人が公表すべき情報の概要を含むPLRの公開概要を作成し発表する予定です。IGは欧州委員会と連絡を取り続けており、近日中に公開概要が公表されると理解しています。本件に関する追加情報については公開概要が公表され次第ご案内致します。

国際P&Iグループの全てのクラブが同様の内容の回章を発行しています。

EU加盟国は27か国:オーストリア、ベルギー、ブルガリア、キプロス、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スェーデン、イギリス。EEA加盟国:アイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタイン。クロアチアは2013年7月1日にEUに加盟するが、2012年12月31日からPLRを適用する。また、PLRはジブラルタルやフランスの海外領土であるマルティニーク島、グアドループ島、レユニオン、仏領ギアナ、ウォリス・フトゥーナ諸島、フランス南極領土、ニューカレドニア、マヨット島、サンピエール島、ミクロン島、サンマルタン島、セントバーツ島にも適用される。

アテネ条約は「国際運送」にのみ適用される。国際運送についてはArticle 1.9で「運送契約に基づき、出発地と目的地が2か国にまたがっている、あるいは、運送契約もしくは旅程に基づき、出発地と目的地が同一国であっても途中で別の国に寄港する運送」と規定されている。

以上


09:00