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2004/11/29

第04-012号 小型タンカー油濁補償協定(STOPIA)について

| by:sysadmin
第04-012号
2004年11月29日
組 合 員 各 位

小型タンカー油濁補償協定(STOPIA)について



2003年6月3日付P&I特別回報第03-005号「1992FC(国際基金条約)に対する追加基金制度創設の件」をご参照願います。小型タンカー油濁補償協定(STOPIA)及び追加基金(3rd Tier)に関して、2004年11月29日開催の第550回理事会において、以下のとおり決議されましたのでご報告申し上げます。


1.決議事項
3rd Tier議定書(議定書)の発効と同時にSTOPIA構想を実施するにあたり、次の手続きを取り進めることとする。
1)船主間で自主的に締結されるSTOPIA協定書の策定
2)国際P&Iグループ(IG)加盟クラブと国際油濁補償基金(IOPC Fund)間の覚書(MoU)追加条項の締結
3)STOPIA特別条項の新設


2.STOPIAについて
1)設立の趣旨
議定書のもとで油社に課せられる潜在的追加負担を勘案し、船主が自主的に1992年基金へ下記5)記載の油濁補償を負担することによって、油社/船社間での公平な負担バランスを維持し、かつ被害者への迅速な補償を可能とする現行システムの安定・継続を目指す。

2)参加資格/参加手続き
29,548G/T以下の油濁民事責任条約(CLC)対象タンカーで、IG加盟クラブのプール再保険機構(IGプール)の加入船が参加資格を有する。参加資格を有する船舶は、下記3)記載の特別条項に基づき、特段の手続きを行なうことなくSTOPIAへ加入する。なお、当組合内航タンカーも任意の参加資格を有する見込みである。

3)特別条項の新設とその目的
上記1)の趣旨より参加資格を有するすべてのタンカーの参加が重要となる。また、当組合内航タンカーもできるだけ多くの参加が期待されている。よって、その実効性を確保するため、STOPIA特別条項を新設し、原則として上記2)を満たす当組合加入タンカーは自動的にSTOPIAに加入し、STOPIAから脱退した船舶の油濁損害はてん補しない旨規定する。詳細は添付資料I.「STOPIA特別条項」ご参照。

4)任意脱退権
脱退を希望する場合は3ヶ月の事前予告通知により脱退は可能。ただし、前記STOPIA特別条項の制約を受ける。

5)1992FCへの補償
STOPIA参加船が議定書締約国で1992CLC/FC双方に係る事故を起こした場合、船主は1992CLC上の責任制限額と1992年基金による実際の補償額との差額を、賠償額(=責任制限額)との合計20百万SDRを限度として、1992年基金に補償し、これをクラブが船主にてん補する(覚書にてクラブは1992年基金への支払いを約す)。詳細は添付資料II. 「1992CLC/FC/3rd Tierの補償額」ご参照。

6)有効期間
議定書の発効と同時に効力を生じ、IGが1992年基金に書面で通知した日から3ヶ月後、または現行補償制度を実質的に改変する条約の採択や国内関係法の制定がなされた時に終了する。

7)受益者とリスク負担
STOPIAは小型CLCタンカー船主の自主協定ではあるものの、CLCを含め、広く受入れられている現行の国際条約体制を維持しようとするものであり、独り小型CLCタンカーに限らず、大型タンカーを含むすべての船種がその利益を享受することとなる。その裏返しとして、STOPIAリスクはIGプール全加入船で分担されることとなる。IGプールを利用していない当組合の内航タンカーについては、単独のリスクとせず、当組合加入メンバー間で公平に分担できる制度を構築することとする。


3.背景・経緯
1969CLC/1971FCを発展継承するかたちで1996年に発効した1992CLC/FCによる国際的な油濁責任/補償制度は、1999年12月の“Erika号”事件を契機として特に欧州を中心として更に充実した補償内容を求める意見が台頭し、その見直し議論が開始されることとなった。その結果、まず2000年10月開催のIMO(国際海事機関)法律委員会で、1992CLC/FCの責任/補償限度額の約50%引き上げが決定し、既に2003年11月1日に発効している。加えて、2003年5月のIMO外交会議において、1992FCでは十分な補償を受けられない油濁事故の被害者に対し、最大750百万SDRの補償を可能とする議定書が採択された。

議定書の締約国で油濁事故が発生した場合、同締約国の油受取人が3rd Tierへの拠出に応じることを勘案し、議定書を含んだ新たな補償体制の下で船社/油社間での均等な負担を維持すべく、IGは、各クラブの理事会の承認を得て(当組合は2002年6月3日開催第540回理事会にて決議)、約30,000G/T以下の小型タンカーに関する1992CLCの最低責任制限額を自主的に4.51百万SDRから20百万SDRへ引き上げるSTOPIA構想を提案し、議定書が採択された経緯がある。ただし、現行CLC/FC条約体制でのタンカー船主の責任原則に重大な変更がなされる場合は、STOPIA構想を取り下げる権利を船主とIGは留保している。

一方、IOPC Fund作業部会では未だ1992CLC/FC改定に関する議論が継続し、その結論が出る前に議定書が2005年初めにも発効する見通しになったことに鑑み、上記1.の内容の理事会決議がなされた。


4.具体的な事務手続き等について
IGは現在IOPC FundとSTOPIA協定及びMoU追加条項の詳細について協議を進めており、今後内容が変更される可能性があります。変更が加わった場合は追ってご案内を申し上げます。また、関係組合員には、STOPIAに関する具体的な事務手続きにつきまして、別途ご案内申し上げる予定です。

以 上


添付資料:I. STOPIA特別条項
II.1992CLC/FC/3rd Tierの補償額



添付1

小型タンカー油濁補償協定特別条項


小型タンカー油濁補償協定(以下「STOPIA協定」という。)の対象となる船舶に関する保険契約を締結している組合員は、あらかじめ組合の承認を得た場合を除き、当該船舶が組合に加入している間、STOPIA協定の当事者になるものとする。

また、組合は、当該船舶が組合に加入している間といえども、組合員がSTOPIA協定の当事者に該当しない期間中に生じた保険契約規定第25条に規定する責任及び費用については、組合員があらかじめ組合の承認を得た場合、または組合があらゆる状況により判断して特にてん補することが相当であると認めた場合を除き、これをてん補しない。

なお、STOPIA協定は保険契約規定第35条第1項第2号の「なお書」を適用するものとする。
添付ファイル: No.04-012attachment(J).xls

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