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2001/03/22

第00-022号 カナダ海事法改定法案「Bill S-2」の件Bill S-2 − the Proposed Maritime Liability Act

| by:sysadmin
第00-022号
2001年03月22日
外航組合員各位

カナダ海事法改定法案「Bill S-2」の件
Bill S-2 − the Proposed Maritime Liability Act


カナダ連邦政府により今年中に法制化される見込みの海事法令に関する情報を入手しましたので、次のとおり紹介致します。

Club’s Correspondent in Vancouver, Canada has reported us the following information inrespect of the legislation likely to be enacted by the Federal Government of Canada thisyear.


* * *

法案Bill S-2は2001年1月31日に上院を通過し、下院による2度目の審議を経て現在議会委員会にはかられている。政府刊行物によれば、同法案の目的は次のとおり。

(1) 船客に対する船主責任について、及び責任配分について新しい制度を採用する。
(2) 海事責任に関する法制度を整理統合する。
(3) 現行法のもとで作られた規則、付則を検証する。

同法案は次の各項目から成る。


イ.人身
ロ.責任配分
ハ.責任制限
ニ.水上船客運送責任
ホ.水上物品運送責任
ヘ.油濁責任及び補償


法令のうちのあるものは新しく、一方Canada Shipping Actなどの現行法を採用したものもある。このため例えば責任制限関連法などに重要な変更はないが、人身、海事不法行為法、船客運送、及び物品運送関連法の管轄条項などは、広範にわたり重要な改定が行われている。これらの主な改定内容は次のとおり。

1.人身
現在はクレームできる者を扶養家族のうち、妻、夫、両親、子供に限定しているが、改定法では、傷害の場合は原因発生時、死亡の場合は死亡時に本人と扶養関係にあった者としている。
訴訟は、傷害の場合は原因発生より2年以内に、死亡の場合は死亡より2年以内に提起しなければならない。
2.責任配分
Part 2第17(1)条では責任の配分について規定しており、原告は自分に一部の過失がある場合でも回収する権利がある。
第17(2)条では、共同責任について規定しており、共同不法行為者の一人が他の共同不法行為者へ求償することを可能にしている。
第18条は分担請求及び求償の方法を規定している。
第20条では分担請求及び求償の時効を、本来のクレームの判決日又は解決日から1年と規定している。
3.船客運送

これまでは法律がなくCommon Lawで対応していたが、今回の法案のPart4第37条では、アテネ条約1990議定書の第1条−第22条を取り入れている。これらのアテネ条約の条項の主な内容は次のとおり。

船客の乗下船時を含むが、桟橋上は含まない。
運送人は、運送人又はその使用人、代理人の過失により生じた運送中の事故に関し、船客の人身損害及び手荷物損害に対して責任を負う。
船客に寄与過失がある場合には、運送人の責任は減額することができる。
運送人は船客毎に175,000 SDR (約C$350,000)で責任制限できる。
運送人は手荷物損害につき船客毎に1,800SDR(約C$3,600)で責任制限できる。
運送人は車両損害につき車両毎に10,000SDR(約C$20,000)で責任制限できる。
運送人の免責金額として、手荷物毎に135SDR、車両毎に300SDRが認められる。
運送人は船客との契約の中で、より高額な責任を合意することができる。利息及び訴訟費用等は責任限度額には含まれない。
運送人の使用人、代理人も、運送人の責任制限等の利益を享受できる。
故意又は認識ある無謀な行為による場合は、運送人は責任制限することができない。
手荷物損害は、外見上明らかな場合は下船時までに、明らかでない場合は下船より15日以内にクレームしなければならない。
時効は2年。ただし延長可能。
被告の営業の地、運送契約上の出発地又は目的地、原告の居住地、運送契約締結地のうちのいずれかの地で訴訟提起することができる。
契約書の中で条約上の責任を軽減又は制限する規定は無効とする。
アテネ条約の適用は船主の責任制限条約のもとでの権利義務に影響しない。
4.物品運送
現在の法制度である水上物品運送法の内容に大きな変更はなく、カナダではヘーグヴィスビールールが引続き適用される。
第46条では、運送契約中のカナダ以外の裁判、仲裁管轄条項は、その適用を制限又は限定しており、カナダからの運送であれば、B/Lに英国裁判所での係争又はロンドン仲裁が規定されていても、その規定は当事者を拘束しない。
クレーム提起者は、次の場合カナダで訴訟又は仲裁を提起することができる。
(1) 実際の又は意図された積地又は揚地がカナダにある。
(2) 被告又は被申立人がカナダに居住し、又は営業し、もしくは代理店を有している。
(3) 契約がカナダで締結された。
以上

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