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2000/11/29

第00-013号 Standard Clubと東京海上のP&I保険共同引受け構想について

| by:sysadmin
第00-013号
2000年11月29日
外航組合員各位

Standard Clubと東京海上のP&I保険共同引受け構想について


当組合は、先に発表されたThe Standard Steamship Owners’ Protection and Indemnity Association (Bermuda) Ltd.(以下Standard)と東京海上火災保険株式会社(以下東京海上)のP&I保険 共同引受について、国際P&Iクラブ間のプール制度及び共同再保険制度を維持する観点から、強い懸念を 抱かざるを得ません。

当組合は、加入船舶の全てのP&I損害を組合員全員で公平に分担し合うmutuality(相互扶助制)の合意 のもと、組合員によって運営されている非営利団体です。当組合を含む世界の主要P&Iクラブは、国際P&I グループを結成して、加入船舶の巨大損害のうち一定額を越える部分を相互に分担し合うプール制度と、 プールの限度を超える部分に対する共同再保険により、世界の船主に必要かつ充分なP&I保険を低廉な保険 料で提供しています。Standardもこの国際P&Iグループの一員です。

先の発表は、Standardと東京海上両者間の排他的協定によりP&I保険を共同で引受けようとするもの です。これは、船主の自主運営・非営利・mutualityを旨とする国際P&Iグループのリスク分担機構の基底 部分に営利を追求する商業保険者の引受けを組込むもので、スキーム全体を見た場合、果たしてmutuality の原則が維持され得るのか、プール制と共同再保険の存立に障害を生じ船主の利益を損ねることにならない か等の強い疑問が生じます。よって当組合は国際P&Iグループに対し、今回の共同引受け方式による提携が プール協定の原則に鑑み許容し得るものであるのかどうかの検証を要求することとしています。

Standard、東京海上両者の発表によれば、東京海上の引受け部分を超える部分については東京海上が Standardの総代理店として機能することになっていますが、Standardはわが国の保険業法の下での営業 免許を得ておらず、したがって免許を取得した外国保険会社等に課せられている保証金の供託も求められて いません。すなわちわが国監督機関の監督下にない外国保険業者であり、その分契約者の自己責任が強く 求められることも指摘しておかなければなりません。

報道によれば、東京海上の引受け部分は30万ドル以内とされていますが、この金額層はP&Iクレームの 相当の部分を占めるため、全体の保険料の中のこの部分の比重は相対的に高いと推測されます。この濃密度 部分のカバーに対する営利保険者の固定保険料が、非営利相互制クラブの保険料に比べて競争力があるとは 考えられません。この点についても組合員各位の注意を喚起しておきたいと存じます。

他方、グローバル化の進展の著しい今日、組合員のニーズが多様化しつつあることも事実であり、当組合 もこれらのニーズに的確に応えるべく、ワンストップショップの可能性を模索してきており、当局に対し 「船主相互保険組合法」等の関連法規の整備に関する要望を提出したほか、関係業界との連携の可能性を 探っているところです。

組合員各位の一段のご理解と組合へのご支援をお願い申し上げる次第です。

以 上


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