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1999/05/18

第99-003号 米国カリフォルニア州油濁法について

| by:sysadmin
第99-003号
1999年05月18日
外航組合員各位

米国カリフォルニア州油濁法について

—賠償資力証明/事故対応計画—


タンカー以外の船舶(300G/T以上)を対象とする米国カリフォルニア州の新油濁法制の動きついては、PI特別回報第98-015号にてお知らせしておりますが、1999年3月15日にこれら船舶に適用される規則案が公表され、1999年5月中旬の公聴会を経て、1999年6月に規則内容が決定されることになりました。施行は以前にご案内致しておりますとおり1999年9月1日からとなっております。


現段階で判明している規則案の内容につきカリフォルニア州サンフランシスコの法務代理人よりの情報を添付のとおり取りまとめましたのでご参照下さい。


最新版の事故対応計画に関する規則案につきましては、インターネットのホームページ(アドレス:http://www.dfg.ca.gov/Ospr/regulation/ntcplans/ntcplang.htm)にて入手することが可能とのことです。また、当組合にてもコピーを入手しておりますので、必要とされる組合員におかれましては各契約窓口までお申し付け下さい。今後の進展に関しましては、判明次第ご案内申し上げます。

以上


A. 新規則の概要
1.すべての非タンク船(タンカー以外の300総トン以上の船舶)に適用されます。

2.1999年9月1日以降、以下の条件を満たさない非タンク船は、カリフォルニア州水域(同州内の潮汐の影響を受ける範囲で、海岸より3マイル以内)の航行が禁止されます。

(a)船主または運航者(以下「"船主等"」)は予め本規則に適合する油濁事故対応計画を準備し"OSPR"(the Office of Spill Prevention and Response, an officeof the Department of Fish and Game)に提出し承認を受けなければなりません。

(b)船主等は、予め油濁事故に関し少なくともUS$300,000,000の支払能力のあることを示すカリフォルニア州の賠償資力証明書(COFR)をOSPRから取得しなければなりません。

3.油流出事故が起こった場合、船主等はOSPRに提出し、承認された油濁事故対応計画に従い対応することを要求されます。

4.規則案では、事故対応計画は、本船がカリフォルニア州水域に入る少なくとも5営業日前までにOSPRへ承認を受けるために提出されなければなりません。また、これら事故対応計画は、2001年9月1日に、その後は5年に一度、見直しのためOSPRへ再提出しなければなりません。

5.規則案では、船主等は、本船が積荷・揚荷または燃料の積込み開始前に、船主等の事故対応計画がOSPRにおいて受領ないし承認されていることを示すOSPR発行の書状または証明書の写しを当該Marine Terminalまたは給油艀へ提出しなければなりません。また、船主等は、Terminalまたは補油業者に対し、事故対応計画のコピーが本船上に存在することを証明することをも要求されます(実際の実行方法は未詳です)。

6.船主等が上記の要求に違反した場合は、US$100,000/日を上限とする過料が課せられます。更にその違反が認識の上で故意になされた場合には、軽罪に該当し、1年以内の禁固もしくは違反日数に対しUS$10,000/日を上限とする罰金、またはその両方が課されます。

7.事故対応計画は、各船毎のものとフリート単位のものが容認されます。フリート単位の場合、各船毎の燃料油の種類と積載量および容積の一番大きい燃料タンクの容量を記した明細書を当該計画に添付しなければなりません。

8.フリートまたは個別の船舶の事故対応計画を提出する代わりに、船主等は、事故対応計画についての要求を、Pacific Merchant Shipping Association (以下"PMSA")またはその他の非営利海事団体の公認の Maritime Association Response Plan(以下"MARP")の利用契約を締結していることを証明することによっても満たすことができます。これら公認MARPは州法の要求を満たし、カリフォルニア州全域に適用される油濁事故対応計画です。

規則案では、たとえPMSAやそれ以外のMARP提供者と契約していたとしても、船主等に対し、かなりの量の特定の情報をOSPRに対し提出するよう要求しています。規則案はこの点で非常に煩雑であり、PMSA等がこれらの情報を船主等の代わりにOSPRにどの程度提供することができるかは、現時点では明確ではありません。

B. 油濁事故対応計画要求

MARPの手配

1.カリフォルニア州で大きなフリートを運航する船主等以外は、PMSA等MARPを提供する非営利団体と契約を締結することによって油濁事故対応計画の要求を満たす方法を選択すると思われますが、現時点では、PMSA以外でMARPを提供する組織は存在しません。

2.PMSAの連絡先は以下のとおりです。

Pacific Merchant Shipping Association
550 California Street,
Sacramento Street Tower, Suite #113,
San Francisco, California 94104
Attention : Mr. John McLaurin or Mr. Kenny Levin
Phone:+1-415-352-0710
Fax:+1-415-352-0717
E-mail:pmsa@earthlink.net

3.PMSAは、船主等に対し協定書(現時点では"利用協定書"といっています)のかたちで船主等がPMSAの事故対応計画(MARP)を利用または採用していることを証明する予定とのことです。また、規則案では、船舶の特定詳細情報を要求しているため、PMSAは船主等に対しその情報を要求するものと思われます。規則案ではこの情報には以下が含まれるとしています。

本船名 (the vessel name)
船籍国名 (the vessel's flag country)
登録番号 (the registry/official number)
ロイズ識別番号 (the Lloyd's identification number)
IMO番号 (the IMO number)
コールサイン (the radio call sign)

規則案では、船主等は提供した本船の詳細情報が正しいものであるということを証明する必要があります(方法については現時点では明確ではありません)。本船の詳細情報については、PMSAが提供する書式に記載されることとなります。利用協定書その他の書式は現在PMSAで起草中であり、2?3ヶ月以内に公表されるものと思われます。

4.州法及び規則では、事故対応計画にQualifiedIndividual (以下"QI")を特定することが要求されています。州法上、QIは船主等の陸上側の代表者であり、英語が流暢で、米国(大陸内)にいて、24時間常に対応でき、対応計画の実施につき全権限が書面で与えられなければなりません。

PMSAは、現在のところQIを任命する義務は船主等が履行するものと考えていますが、この方針が修正されるのか、あるいは、今後PMSAが認定QIのリストを持ち船主等がこれから選ぶこととなるのかは明確ではありません。PMSAがQIのリストを持たないとしても、組合の現地法務代理人より適切な推奨QIのリストを入手することは可能と思われます。

5.事故対応計画上要求されるその他の点については、PMSA側より提供することは可能であると考えられています。PMSAはSpill Management Teamとして、USガルフを本拠とするERST/O'Brienと契約しています。ERST/O'Brienは、南カリフォルニアには小さな事務所しか持っていないため、4業者(Clean Bay, Foss Environmental, Clean Seas及びClean Coastal Waters)と提携契約を結んでいます。これらの業者は、カリフォルニアでの油濁事故に対し充分な能力を持っていると見られているため、OSPRはPMSAのMARPを容認するものと考えられます。

6.PMSAはMARP利用料については決定をしていませんが、現時点では1隻1寄港(カリフォルニア州水域へ)当たりUS$175が考えられているようですが、上下にUS$20程度変動する可能性もあります。

7.規則案では、船主等がPMSAと契約することを選択した場合、以下をPMSAを通じOSPRへ提出するよう要求されることになります。

(A)本船を特定する情報 (船名、船籍、Call Sign等)
(B)船主または運航者を特定する情報
(C)書類の送り先担当者の名前、住所、電話番号
(D)本船の船級、船種、総トン数、最大燃料積載量、全長、喫水及び船幅(Beam)
(E)PMSAに提供された本船の詳細情報に対する証明
(F)カリフォルニア州賠償資力証明書(COFR)の写し
(G)PMSA等MARPを提供する非営利団体との契約書写し
(H)本船の油移送手続書(Oil TransferProcedure英文)の写し
(I)本船のQIの明細書
(J)船主等の諸手続を行うカリフォルニア州内の代理店の明細書
(K)本船の燃料及びタンク容量に関する説明書
(L)ISM Safety Management Certificate及びその他の船級証書の写し(詳細は船種区分に応じ規則に記載)
(M)ISM safety management systemの本船上の緊急対応内容の詳細
(N)油濁の損害を最少化し、本船船体への物理的損傷を最少化するために本船乗組員により取られる手続と装備の説明書
(O)油流出発生時後の対応計画の有効性見直しの手法
(P)油流出が起こった際の通知手続方法および通知すべき個人を特定する情報のリスト。通知を行うことに責任のある、24時間対応可能な、個人の名前と連絡方法を含む。
(Q)ISM training requirementsの写し及び油流出防止と対応についての本船の船員及び会社の役職員の訓練に関するその他の情報
(R)実施すべきドリルと訓練の形式及び実施頻度の詳細。規則案では、本船上の緊急対応及びQIへの通知ドリルの実施を年4回あるいはカリフォルニア州水域へ入る72時間以内のどちらか少ない方の頻度で行うことを要求している。さらに、陸上側の油流出管理チームも年に1回机上の訓練を行うことを要求しています。

(注)先述のとおり規則案によれば船主等が仮にPMSA等のMARPを利用するとしても、極めて重い負担を負わされることが懸念されます。
これらの情報が実際にどの程度PMSAよりOSPRに対し提供されることになるのかは未定です。

フリート対応計画及び個別対応計画の選定

カリフォルニア州に定期的に寄港する多くの船舶を有している船主等の中には、PMSAのMARPを利用するより、自社でフリートまたは個別船舶の事故対応計画を用意した方が経済的であるかどうかを検討されているむきもあるようです。フリートまたは個別船舶の対応計画の要求については規則に記載されていますが膨大な量となりますので、ここでは割愛させて頂きます。


C. 賠償資力証明

1.OSPRは新しい規則上での賠償資力証明書(COFR)要求を実行するための規則を公表しています。規則は基本的に1990年に制定された現行州法におけるタンカーに対する賠償資力証明書(COFR)要求と同様の手続によることとなります。

2.1999年9月1日以降、カリフォルニア州水域内を航行するタンカー以外の船舶はカリフォルニア州水域に入る前に賠償資力証明書(COFR)を取得することが義務付けられます。賠償資力証明書(COFR)は船主等により所持され、また、本船上に備え置かなければなりません。

3.一般的には、船主等が賠償資力証明書(COFR)を申請します。しかしながら、規則案では、油の所有者あるいは油に関する責任を引受けた者が、自身が油の所有者あるいは油に関する責任を引受けたことを証明することを条件に、賠償資力証明書(COFR)を申請することができるとしています。

4.タンカー以外の船舶の船主等は、OSPRに対して、OSPRの所定の書式で、申請者、受権代理人(この場合は申請書面に代理人資格を明記)または船主等に代わり申請書を提出することを特別に認められた人物(その場合署名ある権限委任状を申請書に添付)の署名のある賠償資力証明(COFR)申請書を提出することが要求されます。規則案では、1隻当たりUS$100の申請費用が提案されています。

5.すべての賠償資力証明書(COFR)はその表面にそれ以外の明記が無い限り2年間有効です。更新は、有効期限の切れる90日前より受付けます。更新費用も上記同様1隻当たりUS$100となります。

6.タンカー以外の船舶のUS$300,000,000の賠償資力の裏付けは、同額の保険証券の写し、自家保険の証憑、債務保証(Surety)、信用状、保証契約(Guaranty)または油濁事故リスクにつきUS$300,000,000またはそれを上回るP&I Clubの加入証明により行うことができます。タンカーに対するカリフォルニア州の賠償資力証明と同様、PI保険の免責金額がUS$25,000を上回る場合、申請者は賠償資力に関する追加の情報あるいは賠償資力の裏付けを提出することを要求される可能性があります。更新については、タンカーの賠償資力証明と同様の規定があります。



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