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2004/01/16

No.494 極東からアフリカ西岸へのBagged Riceの運送について

| by:sysadmin
No.494
2004年01月16日

極東からアフリカ西岸へのBagged Riceの運送について



極東積み、アフリカ西岸揚げのBagged Riceにクレームが頻発していることから、アフリカ事情に精通した仏国MarseilleのコレスポンデンツEltvedt & O'SullivanがLoss Preventionのためのサーキュラーを作成致しましたので、当組合で作成致しました試訳とあわせてご参考に供します。

以上


<日本船主責任相互保険組合>




[試訳]
極東からアフリカ西岸へのBagged Riceの運送について

クレーム削減に役立つ注意点

 (i) 本船での確認事項
・船舶証書類(特に定期検査済Load Line Certificate)の有効期限を確認すること。


(ii) 積地到着前の確認事項
・艙内がきれいに清掃されているか。海水で洗浄するのは良いが、その際は水分が乾く前に可能な限り塩分の除去に努める必要がある。とういうのも、航海中に艙内で生じた結露に隔壁・側板に残っていた塩分が混じり、それが隔壁・側板に接するダンネージや貨物を濡らすと、塩化物によって貨物にカビが発生するからである。
・Hold Bilge Sounding Pipesに汚れがなく正常な状態か。同様に他のHold Pipes (BallastPipes、Scupper Pipes、Tank Air Pipes等)も正常な状態か。甲板上のBilge Sounding Pipesの蓋が完全に閉じているか(水密性が保たれているか)。
・Tank Top Manholesが全て確実に閉じているか。艙内洗浄の際にそれらが開放されていた場合は特に注意する必要がある。
・全てのBilge Wellsを清掃し、Striker PlatesやRose Boxesを点検し、全てのHold Bilgesのポンプテストを実施すること。Bilge LidsはBurlapで覆われているか。
・全てのHatch Covers、Rubber Seals、Security Devices、Coaming Drains等を点検し、必要があれば交換すること。更に時間が許せば、全てのHatch Coversにホーステストを実施し、Manholesの蓋も点検すること。
・全てのHold Ventilation Shafts & Flapsが正常であり機能しているかを点検し、必要であれば修理すること。
・少なくとも1日2回はBilge Soundings、Ballast Tank Soundings、Fresh Water Soundings、Cofferdam Soundings等を実施し、その結果をSounding Bookに記録すること。更には、機関長がOilTank Soundingsの結果を毎日記録すること。


そして、Deck Log Bookに上記項目がいつ、どのように調査、点検、テストされたかを詳細に記載すること。


(iii) 積地到着後の確認事項
・ハッチの状態を正しく調査すること。荷主側サーベイヤーよりHatch Coversのホーステストを要求された場合は、協力することを薦める。荷主側サーベイヤーに対しては何一つ隠すことはない。もしも、荷主からのホーステスト実施要求を断って、航海中にHatch Coversからの水の浸入が認められた場合、運送人は全ての抗弁材料を失うことになる。


上記事実は、ホーステストが実施されればその結果も含めてDeck Log Bookへ正確に記載する必要がある。


・傭船者とのジョイントではなく、本船側で独立のサーベイヤーを起用すること。
・傭船者より派遣されたSupercargoやSuperintendentの氏名等の詳細を記録しておくこと。また、貨物の積付けに関してSupercargoやSuperintendentが船長の決定とは異なる方法を採用することがあるが、それに対して不満がある場合はLetter of Protestを作成し、それにSupercargoやSuperintendentのサインを取り付け本船にコピー(もしくはFaxのコピー)を保管しておくことを薦める。このことは、傭船者が切積みを要求した場合に特に重要である。本船がやむなく13メートルもの高さの切積みを実施すれば、その結果として揚地での貨物の荷崩れによる荷役作業員の死傷を引き起こす危険が考えられる。
・Cargo Quality Certificateのコピーを書面で要求すること。Cargo Quality Certificateは、荷送人側の依頼でSGSやITSのような国際的なサーベイ会社が発行する。貨物の水分含有量は14%が上限だが、全体の平均が14%であれば、貨物の半分はこの上限値を超えている可能性がある。そのような場合、船長は荷送人に対してLetter of Protestを出し、また本船側で水分含有量の検査を行うためにP&Iクラブにコンタクトするのが良い。本船側での検査には、荷送人側サーベイヤーも立ち会うよう書面で通知することを薦める。
・ダンネージは、きれいで乾燥したものが十分提供されていることを確認すること。そうでない場合には、Letter of Protestを出すこと。
・ダンネージが本船の鉄材が露出せぬようきちんと並べられていることを確認すること。積荷を始める前に、準備のできた船艙の写真を撮っておくこと。
・艙内では貨物のブロックとブロックの間に通気路を確保し、船艙の換気口に繋がるようにすること。特に自然換気の船の場合には、通気路の入口を積荷で塞いだり、空気が貨物の周りで滞って抜けないような積付けはしないこと。通気路の写真を撮っておくこと。
・損傷のある貨物は船積みを拒否すること。
・荷役作業員が貨物を傷付けた場合、Letter of Protestを出すこと。例えばパキスタン諸港では、作業員は手鉤を使って袋詰め貨物を船積みするため、本船に積まれるまでに袋には穴がいくつも開いてしまう。荷役会社は、パキスタン諸港における袋詰め貨物の積荷役には手鉤の使用を認める、とする港湾当局の書状を提示するだろうが、そのような港湾当局の書状は揚地−特にギニアのConakryでは、手鉤による穴が開いた袋詰め貨物はすべて損品とみなされる−では船長の弁護にはほとんど役に立たない。傭船者はB/Lを"Clean on Board"として発行することを求めてくるであろうが、傭船者にこの問題をよく知らしめるべきである。船長はMate's Receiptに適切なリマークを入れ、そのMate's Receiptの記載に従ってB/Lにサインするよう、傭船者代理店に明確に書面で指示すべきである。
・Hatch Coversの開閉装置がきちんと作動するのを確認すること。夜中に暴風雨に遭ったときに作動しないことが判っても手遅れである。
・雨水の浸入による艙内の貨物の濡れを防ぐため、特に夜間は、必要なときにHatch Coversを閉められるよう十分な数の船員を待機させておくこと。
・船積みされる貨物や、それを運んできた艀が乾いた状態であることを確認すること。雨が降り始める前に艀にカバーをかけること。湿った状態の貨物は船積みを拒否すること。
・傭船者から書面で"Carriage Instructions"を入手すること。船長は"CarriageInstructions"に従って、乾/湿球の指示温度を記録し、露点を計算して適切な換気を行うこと。乾/湿球の温度記録は4時間ごとに取るのが良い。
・船長が独自に、あるいは貨物側とジョイントで行ったドラフトサーベイの記録のコピーを保管しておくこと。
・貨物の積付け状態を写真に撮っておくこと。
・船長は燻蒸に関する指示をよく理解し、それに従って艙内の換気を調整することが必要である。
・船長が積地でサインした書類−Statement of Facts、Mate's Receipt、Letter ofProtest、B/L(両面)等−はすべてコピーを取っておくこと。C/Pのコピーも本船上に持っておくと良い。


(iv) 航海中における留意事項
・換気記録簿への記注を励行すること。艙内及び外部の温度記録は、乾/湿球双方の指示温度及び結露温度に加えて、海水温度についても昼夜を通し4時間毎に記載することが望ましい(海水温度測定は安全に行い得る海象である限り実施する)。また、気象状況及び換気記録も記載すること。上記記録は揚地において積載貨物にカビや塊が発見された場合の抗弁材料として最も重要となる。
・タンク/ビルジ測深記録を励行すること。ビルジ排出日時の記録は適宜行い、上級航海士に目を通させること。そうすることで、ビルジへの油分混入等、何らかの異常な兆候が認められた場合、速やかに貨物への損害及び危険性を軽減すべく対応を行うことが可能で、揚地到着まで数週間もの間上記の兆候を見過ごすことがなくなる。
・貨物が分割された場合、船主は傭船者が傭船契約上、B/Lを再発行できるかどうかを確認すること。揚地で、新規B/Lが積地でサインした旧B/Lと同一フォームなのか、何処でサインされたのか、貨物損害クレームの裁判管轄地が変更される可能性はあるのかを確認する必要がある。新規B/Lが発行された場合、船主は積地にて発行された旧B/L全通を傭船者より回収したか、していないのであればその理由も確認すべきである。同じ貨物に2セットのB/Lが流通していると問題が生じることになる。
・航海途中の補油港において、燃料油のオーバーフロウ、船外流出等の事故があれば、Deck LogBookに記注を行うこと。揚荷の際の出来事との関連性が問題になる場合がある。
・必要であれば、適切なLetter of Sea Protestを作成して、揚荷第一港において認証を取得すること。
・揚地において船主利益保護のためのタリーサーベイを手配しておくこと。当該サーベイは傭船者側と利害が異なる場合があるので、ジョイントサーベイではなく、船主側の独立サーベイとすべきである。


荷主からの貨物クレーム、若しくは税関からの過怠金クレームについて、傭船者に対する船主の立場を保全するため、以下の文言に沿って傭船者宛に通知書を発することを推奨する。


"Owners have been faced in the past with problems in discharging this type of cargo ingood order and condition at the port of …………….. Charterers will be aware that it isnot an uncommon practice for stevedores to damage and/or pilfer the cargo. Owners willtherefore be instructing a surveyor to attend the ship's discharge and to assist theMaster whenever possible. While owners will endeavour to fulfil their obligationscorrectly under the C/P, they will expect Charterers to assist in preventing anyunnecessary loss or damage to the cargo. In the event that stevedores damage and/orpilfer the cargo, protest notes will be issued to the stevedore company, the agent andCharterers, holding the Owners harmless."


(傭船者宛通知書の試訳)
「船主は過去に(    )港において、この種の貨物を良好な状態で荷揚げする上で問題に直面したことがあります。傭船者としても荷役人夫による貨物損傷、或いは抜荷が当該港において稀な事案ではないことを認識しているものと思料します。上記を勘案して、船主はサーベイヤーを起用して本船揚荷役への立会及び適宜船長の補佐を行うよう指示するものとします。船主としては傭船契約における義務を適切に履行すべく努力を行いますが、傭船者側に対しても不必要な貨物滅失及び損害を防止するための協力を要請するものであります。荷役人夫による貨物損害、若しくは抜荷が発生した場合には、荷役会社、現地代理店及び傭船者に対して、それらに関し船主は責任を負わない旨の "Protest Notes" を発行します。」


・船主が責任を押し付けられることのないように、自己防衛のためイニシアチブを取って本船側でタリーを手配することを薦める。傭船者は問題発生を予期して自分でタリーを手配し、船主にジョイントでのタリーを申し入れるかも知れない。これによって、荷役作業員による貨物損害及び滅失など傭船者が負担すべき責任を、船主が後日傭船者に求償することを抑止するためである。
・上記に加えて、西アフリカ諸港では積荷目録の記載数量と揚数量との差に対して税関当局が過怠金を課すため、傭船者及び傭船者代理店は本船出帆許可が出される前に躊躇無く船主から保証状又は預託金を取り付けようとすることにも留意すべきである。


(v) 揚港にて
・どのサーベイヤーがどの関係者の代理で起用されているのかを、各サーベイヤーの乗船時に確認すること。船長は各サーベイヤーから委嘱者からのLetter of Appointmentのコピーを提出させるべきである。もしサーベイヤーが同letterを提出できない場合、陸上に取りに戻るよう丁重に伝えるべきである。
・貨物検査が開始される際、船長が任命したサーベイヤーを他のサーベイヤーたちに付き添わせること。また、一等航海士(若しくは船長)がサーベイヤーたちと共に艙内に入りサーベイヤーの調査内容を見ること。
・互恵主義に基づき、船長は荷主側に本船上の損害貨物の検査の機会を与え、荷主側は船長に陸上に揚げられた貨物の検査の機会を与えることが求められる。


荷主側のサーベイヤーは船長に自分の作成したOutturn Reportにサインするよう圧力をかけるだろうが、船長が任命したサーベイヤーの調査結果に基づいて船長が作成したOutturn Reportにはサインしたがらないことを念頭に置いておくべきである。荷主側が訴訟を提起した場合、裁判所は船長がサインした荷主側のOutturn Reportを「反証」と認定するだろう。


一方、本船側のOutturn Reportに荷主若しくは荷役会社がサインしない場合、それは裁判所に「反証」として認定されないであろう。


従って、もし荷主側のサーベイヤーが引続き船長作成のOutturn Reportへのサインを拒否する場合、船長はP&Iクラブのコレスポンデンツに状況を通知し、荷主側にLetter of Protestを発行のうえ、必要に応じリマークを付けてお互いのOutturn Reportにサインすることを求めるべきである。荷主が同意しないなら、船長は荷主のOutturn Reportにサインすべきではない。


・不適切な貨物扱いや荷役作業員による抜荷や濡れた岸壁への荷揚等が認められた場合、船長は荷役会社(直接にできない場合は代理店を通じて)及び傭船者に対し、書面でLetter of Protestを発行すべきである。
・船長は揚荷を行なう貨物のオリジナルB/Lを保管し、船主に返却しなければならない。もし船主がLOI(Letter of Indemnity; 保証状)による揚荷に同意した場合、若しくは一部貨物のみのB/Lしか提示されていない場合、船長はサーベイヤーと連絡を取って、揚数量が合意された数量に達した時点で、揚荷を中止するよう注意しなければならない。こうすることにより、オリジナルB/Lを回収しなかったことによる困難や法的問題、例えばB/Lが再譲渡され貨物の揚地が変わっていたなどの問題を回避することができる。
・本船航海士は、荷役中にその港で荷揚げされるべき貨物だけが揚げられるよう注意しなければならない。また航海士はあらゆる異常事態や損害貨物(特に貨物のカビや塊)が見つかったハッチの積付場所を船長に知らせなければならない。損傷貨物は積付場所の端から見つかったのか、すべてのハッチから見つかったのか、それとも特定のハッチだけから発見されたか− 全てについて船長が任命したサーベイヤーと協議しておくこと。
・降雨が予想される場合には、ハッチは適時に閉じて、雨水浸入を防止しなければならない。西アフリカ諸港では雨季以外の時期でも大量の雨が予告なしに特に夜中に突然にやってくることがある。


このリストは完全なものではない。ここに言及されていない他の問題が、特に揚荷役時に起こるかもしれない。気を付けるべき重要なことは、船長が常に用心深く、自分自身並びに船主をカーゴクレームから保護する為に、出来得ることを全て行なうことである。船長は変化する状況下で迅速に対応し、船を守る為に可能なすべての証拠を揃えておかねばならない。写真、証人のサイン入りStatement等が全て役立つことになる。船長はP&Iコレスポンデンツと緊密な連絡を保っておくべきである。彼等は現地でのBagged Riceの揚荷に豊富な経験を有しています。


以上


W.J. Woodward
(Master mariner)
Eltvedt & O'Sullivan.
Marseille.
15 November 2003.


添付ファイル: No.494attachment.doc

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