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2009/05/22

No.567 海事判例紹介-Bernhard Schulte Shipmanagement (Bermuda) Ltd v BP Shipping Ltd

| by:sysadmin
No.567
2009年05月22日

海事判例紹介


Bernhard Schulte Shipmanagement (Bermuda) Ltd v BP Shipping Ltd
(英国Queen's Bench Division, Commercial Court 2009年1月29日判決)



<事実関係>
船員管理会社(原告)は船主(被告)の船舶を1987年以来管理してきた。1994年7月1日、船員管理会社と船主は船員管理業務を"lump sum"ベースで提供するという新しい契約(17隻を対象)を締結した。金額は、各船舶の職員に支払うための英ポンドと、部員及びその他の費用の支払いの為の米ドルの2つの通貨で設定された。この支払いには給与以外の船員関連費用、船員管理会社の運営費・経費・利益など全てが含まれていた。契約期間は決められておらず、船主が契約を終了する場合は6ヶ月前に通知することとなっており、その際には、船主は契約終了時点で船員管理会社に対し、applicable monthly lump sum paymentの1/2の補償金を支払うこととなっていた。

2000年には、船主は、船員管理会社への支払いが管理船舶の隻数増大(当時23隻)のため過大となったことから、船員管理契約を"cost plus fee"ベース(もしくは"open monthly lump sum payment"ベース)とする契約に変更した。特定の固定費を除き、船員管理会社の費用や経費は船主により監査されることとなった。

2003年には費用の支払いに関し、更なる改定(当時の対象船舶25-32隻)がなされた。2000年契約改定での費用の振り分け及び監査を廃止し、年間US$1,500,000と米国消費者物価指数にリンクして1年毎に調整される年間STG£1,000,000とし、これらを12回毎月割賦払いとした。変更後の契約期間は3年で、1994年契約での船主の契約終了の権利に関する条項に変更は加えられなかった。

2006年にこの契約に関する交渉が行われ、この新たな契約は3年間続くものとされた。以降は、それまで船員管理会社からの契約終了通知は3ヶ月前に行うこととなっていたが、これを船主からの契約終了通知同様6ヶ月前に行うこととなった。また、2000年及び2003年に契約を更新しopen monthly lump sum paymentベースの支払いに変更したものの、1994年契約に記されていた契約終了の際の精算金に関する文言に変更を加えなかったことに両社は気がつき、急遽交渉することとなった。その結果、1994年契約の契約終了時に船主が「monthly lump sum payment」の1/2を支払うという文言のうちの「monthly lump sum payment」を、「本契約に定める報酬」に読み替えることで同意した。

2007年1月24日に、船主は契約を終了したが、その際船員管理会社に支払われる契約上の補償金額に関し問題が発生した。

以上の契約の変更点
契約支払い契約終了時の補償金額文言
1994年monthly lump sum paymentapplicable "monthly lump sum payment"の1/2
2000年"cost plus fee" or "open monthly lump sum payment"変更なし。ゆえに、対象となる明確な"monthly lump sum payment"なし。
2003年年間US$1,500,000+STG£1,000,000(12回割賦払い)同上
2006年同上applicable "monthly lump sum payment"を契約に定める"fees"に読替え。


〈争点及び当事者の主張〉
船員管理会社は、2006年の契約交渉は契約終了の際の補償金の規定を修正するものであり、従って半年分の費用(US$750,000及び£553,773)が支払われるべきと主張した。船主は年間費用の月々の分割払いの半月分のみ(US$62,500及び£46,147.75)を支払うべきと主張した。船員管理会社は半年分と半月分のみのどちらの船員管理費用を得る権利があるかということが争点となった。

2006年契約の前の時点では、契約終了時には「applicable lump sum payment」の1/2の補償金を支払う義務があるはずである。2006年2回目の四半期後の年間費用見積もりは全ての船舶を考慮するとUS$1,630,400及び£1,823,100であり、つまりその半分はUS$815,200及び£911,550である。その後2006年に半年分の費用を支払うことに同意したことから、費用の合計はそれぞれUS$750,000及び£911,550へ減額となったのであり、US$62,500及び£46,147.75への補償金の減額という不利な商取引に同意するはずはないというのが、船舶管理会社の主張である。

〈判決〉
船員管理会社は2006年契約改定の際の修正文言に基づき主張をしている。上記のとおり、2006年契約では、1994年契約において終了の際の支払いの基準とした「monthly lump sum payment」を2006年契約で定める"fees"に読み替えると定めている。この「fees」は年間US$1,500,000及び£1,067,000であり、12回割賦払はその手順にすぎない。よって原告の主張の通り、船主は船員管理会社へ半年分の船員管理費用を支払えとの判決が下された。

〈JPIコメント〉
契約が短期になる一方、船員管理会社として傭うべきであった人員が多数であったことに敷衍し、契約の解釈について、当事者の交渉過程及びその当時の当事者の意思に関する証拠は認容しないとするのが原則であるが、当事者が契約文言を使用した際の当事者の状況に関する証拠は、契約の文言の解釈のためには認容される、とする。

以上

<日本船主責任相互保険組合>


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