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2005/11/09

No.527 比国船員クレームの同国控訴審棄却判例

| by:sysadmin
No.527
2005年11月09日

比国船員クレームの同国控訴審棄却判例

(フィリピンのコレポン Del Rosario & Del Rosarioからの情報より)


当組合ManilaコレスポンデンツDel Rosario & Del Rosarioより比国船員クレームが 同国控訴審で棄却された判例数件の紹介を受けましたので、原文及び当組合の試訳を ご参考に供します。

以 上

<日本船主責任相互保険組合>


<試訳>
甲状腺がんは職務上の罹病ではないと判示

甲状腺がんのために下船した船員が後遺障害手当を求めて提訴していたが、控訴審は甲状腺がんは職務上の罹病ではなく、補償義務はないとの判決を下した。甲状腺がんはNew POEA32章において、職業病として記載されていないため、職務上とするには議論の余地がある。したがって、船員は自己の業務が病気の原因であるとか病気にかかる危険性を助長させたことを証明しなければならない。船員の自己の業務による異常過労との単なる主張には職務上の罹病であることを立証するものではなく、更に船員は自己の業務が病気を悪化させたことをなんら立証していないと控訴審は労働仲裁員と労働関係委員会(NLRC)の裁定を支持した。


傷病下船送還後の船員再雇用は経営特権と判示

急性腰椎間板ヘルニアと診断され、背中の痛みのために下船送還された船員が治療後、就労可能証明書にサインをし、再雇用を求めたが、Manning Agentは再雇用しなかった。船員は後遺障害手当て支払を求めて提訴したところ、控訴審は船員から後遺障害の証明がないこと、医者は通常本件のような就労可能証明書を発行しないので診断書に信用性があること、再雇用するかしないかは経営特権であると船員に遺障害手当受給資格はないとの判決を下した。Manning Agentの就労者考課表ではこの船員は4th Engineerというその職責に相応した遂行能力や基本的・技術的知識がないと評価されていた。同社の決定に恣意的な悪意はみられないので、裁判所はその決定を支持した。


行方不明船員遺族の死亡給付金請求の消滅時効は3年と判示

船員は1994年8月2日に行方不明となった。行方不明後の調査によりシンガポール出港後、行方不明船員の行動は異常であったといわれている。船員が行方不明となってから6年ほど経った2000年5月29日に船員の妻と子供は死亡給付金の請求を提起した。労働関係委員会(NLRC)は比国民法では洋上で行方不明のときより4年経過すればその人物は死亡と見なされ、労働法上の(死亡給付金請求に関する)3年の消滅時効は民法上規定される4年経過後から開始するので、死亡給付金は支払われるべきとの裁定を下した。これに反し、控訴審はNLRCの裁定を覆し、以下のような理由で本訴は既に時効であるとの判断を下した。請求権は船員が行方不明になったときより発生しており、労働法上の規定から死亡給付金の請求は行方不明時の1994年8月2日より3年以内になされなければならない。NLRCで請求の根拠となった比国民法上の4年間という規定は単に行方不明者の資産分配目的で規定されているものであり、本件には援用されない。雇用契約上の死亡給付金に関する請求は3年の時効を規定する労働法が適用されるとし、この請求は控訴審によって棄却された。


船員の酒酔いが解雇理由として認めると判示

MV "Henry Oldendorff"の三等航海士が酒酔いを理由に解雇された。控訴審は船長報告書と三等航海士の酒酔いについての反省文が充分な解雇理由であると判決した。三等航海士は慎重を要する職務にあり、自制心の欠如が本船及びその他船員の安全に対し明白且つ実存する危険をもたらしていた。

以 上



添付ファイル:attachmentNo.527.pdf

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