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2017/09/04

Japan P&I News No.917 米国-カリフォルニア州生物付着規則改定版の発効について

| by:業務部編集用


印刷用:No.917(J)

 

No.917

2017年9月5日


外航組合員各位

 

米国-カリフォルニア州生物付着管理規則改定版の発効について

米国のコレスポンデンツKeesal, Young & Loganより、カリフォルニア州の生物付着管理規則に関する情報を入手しましたので、下記の当組合要訳と2017年8月15日付カリフォルニア州有地管理委員会(California State Lands Commission (SLC))の案内をご参考に供します。


はじめに
海洋外来種流入防止規則導入にともない、バラスト水管理規則が大きく注目されるようになった一方で、船体の水面下のシーチェスト、スラスター、プロペラ・シャフトなどの表面やくぼみへの生物付着に関する取締りも海洋外来種流入防止として行われています。例えば本年3月にニュージーランド当局は、船体がフジツボとチューブワームで覆われていたばら積船に対して同国海域を出るよう命じました。

カリフォルニア州は、海洋外来種に関する法律(Marine Invasive Species Act (MISA))の中で2017年7月1日より同州に寄港する300 GT以上の船舶で、バラスト水を積載するまたは積載が可能な船舶に対して生物付着を規制しています(2017年5月2日付Japan P&I News No.891ご参照)。SLCはカリフォルニア州公共資源法(California Public Resources Code)の§§ 71200 – 71271で規定されているMISAのもと、生物付着を規制する権限を持っており、本年8月15日にSLCは、生物付着管理規則の改定版が2017年10月1日に施行することを発表しました。生物付着管理規則の改定内容は2 California Code Regulation §§ 2298.1 – 2298.9.1(the “Biofouling Management Regulations”)に盛り込まれます。


生物付着管理規則で要求される新たな報告、記録、管理義務
生物付着管理規則の主要部分は以下のリンクより入手できます。
http://www.slc.ca.gov/Laws-Regs/Article4.8/Prop_Reg_Txt_Rev_Jan17.pdf

同リンクには以下の項目が含まれます。

 報告要求
2017年10月1日以降、SLC の報告書式「Hull Husbandry, Ballast Water Treatment(年次報告)」と「Ballast Water Treatment(追加報告)」は使用できなくなり、船舶はSLCの新報告書式「Marine Invasive Species Program Annual Vessel Reporting Form」を使用しなければなりません。新報告書式は基本的に前者の2つの報告書式を1つに統合したものです。同報告書式は船舶がその年(暦年)初めて同州に寄港する少なくとも24時間前までに提出されなければなりません。

 記録保持要求と管理要求
これらの要求は船舶毎に実施され、既存船については2018年1月1日以降の最初のドライドック後に適用されます。また、2018年1月1日以降に竣工する新造船にも適用されます。

  • 記録保持要求
以下の計画書及び記録簿はSLC検査と再調査の際に要請に応じて提示しなければなりません。ただし、生物付着規則に準じた記録を保持していない船舶には、同記録を作成するために60日の「猶予期間」が与えられます。

  • 生物付着管理計画書(Biofouling Management Plan)
生物付着管理規則には、生物付着の最小化を目的とする2011年の国際海事機関(IMO)ガイドラインが摂取されています。同ガイドラインでは、防汚塗装、アノード、インジェクションシステム、電気分解など、各船舶が採用する生物付着管理方法に応じた特定の情報について説明されています。船舶は少なくともIMOガイドラインに沿った内容の生物付着管理計画書を船舶上に保持していなければなりません。

  • 生物付着記録簿(Biofouling Record Book)
船舶は少なくとも、生物付着記録に関するIMOガイドラインに沿った生物付着記録簿を船舶上に保持していなければならず、同記録簿には船舶の最後のドライドック以降、新造船の場合は就航開始以降に当該船舶で行われたすべての検査と生物付着管理方法の詳細が記載されていなければなりません。

 生物付着管理強制要求
防汚塗装を採用している船舶は、塗装効果の継続期間内であることを確保していなければならず、防汚塗装を採用していない船舶は、生物付着管理計画書をどのように遵守しているかを実証しなければなりません。また生物付着管理計画書には、船舶がくぼみの部分に採用する防汚方法を記載することも必要です。さらに港湾に45日間以上停泊する船舶に対しては追加要求が定められています。生物付着管理に関するすべての事例が船舶の生物付着記録簿に記録されなければなりません。また生物付着管理規則はカリフォルニアでのプロペラの洗浄を特別に認めています。


実施と罰則
生物付着管理規則には、SLCによる検査の実施方法、また違反に科される罰則については触れていません。しかし、MISAではSLCが毎年カリフォルニアに寄港する船舶の25%に対して検査を実施することを義務付けています。SLCは生物付着管理規則の最終理由書(Final Statement of Reasons)において「(SLCの)検査官は現行の検査体制に生物付着管理の実施状況を検査対象業務として追加する。また、(SLCは)先ごろMISAに関連する違反および罰則の枠組みを含む「施行規則」を採択した」と通告しています。

このMISAに関連する違反および罰則の枠組みを含む「施行規則」は、2 California Code Regulation §§ 2209.01 – 2299.09に規定されており、2017年7月1日に発効しています。施行規則は主にバラスト水管理規則で新たに規定されたバラスト水交換・報告・記録保持の要求に対する違反の罰則に関連した内容となっています。

「施行規則」では、生物付着管理規則の記録保持要求違反は「クラス2」違反に、また報告要求違反は「クラス3」違反と見なされる可能性が高く、それぞれに応じた以下の罰則が科されます。

 記録保持違反
 報告違反
  
   ● 最初のクラス2違反=書面による違反勧告
  
   ● 2回目以降のクラス2違反=罰金$10,000
  
   ● 最初のクラス3違反=書面による違反勧告
  
   ● 2回目以降のクラス3違反=罰金$1,000
 

「施行規則」が生物付着規則管理要求違反に適用される罰金を規定するのかは明確ではありません。しかし、バラスト水交換要求違反に対する罰則は、当局が管理要求違反を記録保持要求と報告要求の違反よりも遥かに深刻にとらえていることを意味しています。施行規則によりSLCは、不適切な交換を行なったバラスト水の排出に対し、タンク1台につき$5,000から$27,500までの罰則を科すことができます。なお、MISAが承認するSLCの罰金徴収の上限は「違反1件につき」$27,500となっています。

SLCは、生物付着管理規則の最終理由書において「「施行規則」は〔カリフォルニアの生物付着管理規則違反〕関連の罰則を含めるように改正することができる」としています。つまり、SLCは生物付着規則管理要求違反に対する適切と考えられる罰金の水準を見極めているのが現状と思われます。

カリフォルニア州を航行、寄港を予定している船舶におかれましては、代理店を通じ最新の情報をご確認されることをお勧めいたします。

以上
日本船主責任相互保険組合

業務部国際グループ
Tel:   +81 3 3662 7214
Fax: +81 3 3662 7107
E-mail: ri-dpt@piclub.or.jp


添付: 2017年8月15日付カリフォルニア州有地管理委員会(California State Lands Commission (SLC))の案内


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