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2016/05/16

P&I特別回報 第16-003号 シリア制裁

| by:国際部 編集用

印刷用:No.16-003(J)

第16-003号

2016年5月16日

 

外航組合員各位

 

 

シリア制裁

 

本回報では、シリア制裁の現状につきご案内いたします。

 

背景

EUと米国はシリア政府およびシリア国籍の特定個人・特定法人に対して貿易制裁を継続しています。本特別回報では、海運業界と保険業界に関係するシリアに対する主要な制裁と最近の進展による潜在的な影響を概観します。

 

 

EU制裁

シリア政府に対するEUの制裁は2011年5月から実施されています。現在EUが実施中の貿易制裁はCouncil Regulation (EU)No.36/2012とその修正版、およびCouncil Regulation (EU) No.509/2012を修正したCouncil Regulation (EU) No.168/2012に基づきます。

海運業界や海上保険業界に関連する要目は次の通りです。

 

  • リストされた贅沢品と転用可能な特定の物資、化学品、石油および石油製品の売却、供給、移転、輸出の禁止、ならびに、直接間接を問わずそれらに関連する資金の提供や保険/再保険の提供の禁止。
  • シリア産の原油および石油製品の輸送禁止。
  • シリアの石油、ガス産業で使用される、またはシリアの新たな発電所の建設や設置に使用される可能性のある、主要装置や技術の供与の禁止。
  • シリア政府やその代理で活動している者や団体への保険/再保険の提供の禁止。
  • 内部弾圧に使用可能な武器、その他一連の機器の売却、供給、移転、輸出の禁止。
  • シリア国籍人や法人の資産凍結、および市民の暴力的弾圧に責任を有する特定個人に対し物資提供を含めた資金提供の禁止。

 

さらにEUは2014年12月12日にCouncil Regulation (EU) No.1323/2014を発行し、シリア法人への、もしくはシリア国内で使用されるジェット燃料、燃料添加物の売却、供給、移転、輸出を禁止し、またそれらに関わる保険/再保険の提供を禁止しました。これらにはほとんど例外はありません。

 

 

米国制裁

米国もシリア政府やシリア国籍人、シリア法人に対して貿易制裁を継続しています。とりわけ、Executive Order 13582にご注意ください。禁止事項は以下の通りです。

 

  • シリアに新規投資すること。
  • シリアに対するいかなるサービスをも、直接間接を問わず、輸出、再輸出、売却、供給すること。
  • シリア産の石油、石油製品を輸入したり、取引したりすること。

 

米国制裁は非米国籍人も対象とする域外適用を企図したものではありませんが、Executive Order 13582は、米国内にあるいかなる個人(非米国籍人を含む)資産の移転が、実質的にシリアを援助した、後援した、資金的、物質的、技術的にサポートした、シリアをサポートする物資やサービスを提供したと解釈される場合にはその移転を認めません。

「実質的」という用語は定義されておらず、それぞれの状況により解釈されます。

 

 

進展

2015年にOFAC(米国財務省外国資産管理局)は海事に関わる複数のシリア法人を対象として指定しました。その結果、米国籍人はかかる指定を受けた以下の法人との取引を行うことが禁止されました。

 

  • General Directorate of Syrian Ports
  • Lattakia Port General Company
  • Tartous Port General Company
  • Syrian General Authority for Maritime Transport
  • Syrian General Shipping Agencies Company (“Shipco”)
  • Syrian Chamber of Commerce

 

さらにOFACは(非米国籍)8法人と7隻の船舶を対象として指定しました。それらはLPGやガスオイルを輸送し、実質的にシリア政府を援助したと判断されたからです。これらのLPGやガスオイルはBanias港経由で輸送されましたが、OFACは同港を「政府コントロール下に属する港」と評しています。

 

上記のような指定からわかるように、制裁取締者はシリアに輸送されるLPGやガスオイルはしばしば結局シリア政府のものと懸念していることから、それらの輸送に目を光らせているのです。それゆえ、そうした貨物の輸送を依頼された組合員は、指図された荷受人や当該貨物の最終消費者の正体につきよく調べるようにしなければなりません。

 

The Syrian Company for Oil Transport (“SCOT”)はBaniasで荷揚げをする船舶に対しパイプラインネットワークを提供する主要なオペレーターですが、この会社はEU制裁および米国制裁の対象となっています。同社への支払は潜在的に制裁違反になります。Banias港を使用する組合員は、特別費用や港費に含む形での費用であってもSCOTに対しいかなる支払もしないよう注意しなければなりません。

 

最後に、組合員は、シリアとの取引に関し米国の銀行は送金ができず、また米ドルの送金はできないことに留意する必要があります。

 

現状の貿易制裁とシリアの特定個人と特定法人の指定は継続しています。シリアへの航海を決定しようとする組合員は、航海に関する関係者、すなわち、荷送人、荷受人やそれらの上部のものに制裁対象者がいないかよくお調べください。また、制裁違反から生ずるだろう用船契約上のリスクについても軽減すべく措置を講ずるようご留意ください。

 

国際P&Iグループの全てのクラブが同様の内容の回報を発行しています。

 

以上

 


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