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2016/01/20

第15-016号 JCPOAに基づくイラン制裁の解除について

| by:国際部 編集用

印刷用:No.15-016(J)

第15-016号

2016年1月20日

 

外航組合員各位

 

JCPOAに基づくイラン制裁の解除について

 

本回報では、包括的共同作業計画(Joint Comprehensive Plan of Action, JCPOA)に基づくイラン制裁の一部解除に伴う保険カバーの現在の状況ついてご案内します。

 

 

EU制裁及び米国二次的制裁の解除

 

2016年1月16日、イランの核開発縮小に関するJCPOAに基づく「合意履行の日」(Implementation Day)が到来したことが発表されました。これにより、とりわけイランとの取引や当該取引に従事する船舶への保険並びにイラン関係船舶や企業への保険・再保険の提供を対象としたEU制裁は、特定物資に関する事前認可取得が必要となるものを除き基本的に解除されることになります。

 

一方、米国制裁に関しては、二次的制裁措置(非米国人・企業に対する制裁措置)が一部解除されます。但し、非米国人がSDNリストに掲載されているイラン人・イラン関係者と意図的に著しい金融取引を行ったり特定の支援を行ったりすることは引き続き禁止されます。

 

 

米国一次的制裁

 

米国当局は、米国企業がイラン関係のビジネスに従事することを禁止する一次的制裁を解除・緩和していません。米国金融機関に対する禁止措置、米ドルでの取引禁止、米国(再)保険会社による保険提供の禁止措置は引き続き継続されます。Implementation Day到来に伴う制裁解除発表に関わらず、米国財務省外国資産管理局(Office of Foreign Assets Control, OFAC)の認可・除外を受けた取引を除き、引き続き米国人は総じて直接か間接かを問わずイランへの物資・サービス・技術の輸出や保険カバー並びに保険金の支払いが禁止されます。

 

米国一次的制裁が継続されることによる影響は広範囲に及びます。例えば、米ドルを用いたイラン企業やイラン関係との取引を実施することができず、そのため米国に関係する多くの銀行や金融機関がイラン関係の取り扱いを全くあるいは限定的な範囲でしかできなくなります。特にイランに対する米国一次的制裁の継続により、米国(再)保険会社はイラン企業への保険カバーの提供並びにイラン企業やイラン関係による損害賠償請求への支払いができません。イランの港湾運営会社であるTidewater社はIRGC (Islamic Revolutionary Guard Corps)の所有であることからSDNリストに掲載されていますが、Implementation Day以降もSDNリスト(及びEU制裁対象団体リスト)に掲載されており、同社との取引は米国人によるものであれ非米国人によるものであれ引き続き制裁対象となります。従いまして、イラン関係の取引を行う際にはOFAC及びEUのウェブサイトを通じてSDN(EU制裁対象団体)リストを確認するとともに然るべく注意を払う必要があります。

 

 

国際P&Iグループ(IG)プール・再保険に対する米国一次的制裁の影響

 

IG再保険プログラムには相当数の米国再保険会社が関与しているため、米国一次的制裁措置が米国(再)保険会社に及ぼす影響についてIGとして多大な懸念を有していることをIGは2010年以降繰り返し米国当局(米国財務省及び国務省)との協議の中で指摘しています。IGは最近の事態の進展を受けて当該懸念を再度OFACに表明しました。また、IGでは小委員会にて米国一次的制裁の継続の問題並びにIGプール・再保険に対する影響について調査・検討しています。IG加盟全クラブの保険契約規定はIGプール・再保険から回収できなかった不足部分についてはてん補しない旨の規定を有しており、小委員会ではその影響を回避・緩和するための方策を探っています。

 

 

制裁復活(Snap Back)条項

 

EU及び米国ともに、イランがJCPOAの合意事項を履行しなかった場合には即座に制裁を復活させることを明示しています。従いまして、イラン航海やイラン企業との取引を実施する際には、制裁復活の場合に即座に中止できる条項を盛り込んでおくことが必要です。

 

国際P&Iグループの全てのクラブが同様の内容の回報を発行しています。

 

以上

 


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