トップ > Japan P&I News JP

JPIメールマガジン

ホームページでご提供している海事関連条約、法律等の動き、国内外のトピックス、最新判例などの情報をメールマガジンとしてお届けします!

Japan P&I News >> 記事詳細

2016/01/20

No.796 ニッケル鉱液状化懸念による本船の離路は正当との中国最高裁民事裁定

| by:今治支部(編集用ID)

印刷用:No.796(J)

No.796

2016120

外航組合員各位

                

ニッケル鉱液状化懸念による本船の離路は正当との中国最高裁民事裁定

 

ニッケル鉱に液状化と見られる現象が確認されたことから、船貨の安全性確認・貨物乾燥のために本船が離路したことは、運送契約上、正当な離路であると判断する中国最高裁民事裁定が今般201512月に出されましたので、下記の通り、ご参考に供します。

 

 

20112月、弊組合加入撒積貨物船は、インドネシアにてニッケル鉱(Laterite Nickel Ore)の積載を開始しましたが、Shipperから提出されたCargo Declarationでは、該貨の水分含有量(Moisture Content、以下MC)は運送許容水分値(Transportable Moisture Limit、以下TML)以下であると記載されていたものの、実際に積載された貨物は水分が多く見られ、液状化が懸念されました。船主は本船の安全輸送のために該貨のサンプル分析を行ったところ、該貨のMCTMLを上回っているとの結果が得られましたが、Shipperにより積荷は継続され、積地代理店によりB/Lが発行されたことから、本船は出港せざるを得なくなりました。本船は20115月頃まで、積地港外及び離路後のフィリピン港にて天日干し乾燥を実施しましたが、MCTML以下になったことを確認できませんでした。結局傭船者の強い要請を受け揚地中国へ向けて出港しました。

 

20116月頃、本船の不当な離路による揚地到着遅延により、該貨の市場価格が下落して損失を被ったとして、受荷主は船主を相手取り、US$2,000,000超の支払いを求めて上海海事裁判所へ提訴しました。201212月の一審判決では、受荷主の主張は認められず、船主の乾燥作業は合理的な離路とされましたが、受荷主により控訴され、201412月の控訴審判決では、船主の乾燥作業は運送契約上の不当な離路に該当するとされたものの、受荷主は損害を立証できなかったとして、受荷主の控訴は棄却され一審判決が支持されました。

 

受荷主及び船主が最高裁へ上告したところ、201512月に最高裁民事裁定が出され、①該貨の運送にはIMSBC Codeが適用されること、②船長が該貨を安全輸送に不適格と判断したのは正当であったこと、③Clean B/Lが発行されたことのみをもって、運送人(船主)が該貨を安全輸送に適格なものと容認したとは看做されないこと、④控訴審の不当な離路との判断は誤りであり、船主は正当な離路を行ったこと、更には⑤受荷主は損害の立証ができなかったこと、が確認され、双方の請求は棄却されたことにより、船主の勝訴が確定しました。

以上

日本船主責任相互保険組合


12:00