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2000/01/31

No.299 MarshがP&I Mutual Systemを激賞

| by:sysadmin
No.299
2000年01月31日

MarshがP&I Mutual Systemを激賞

(同社「P&I Review 1999」より)

保険ブローカー各社の1999年版P&I市場レポートのうちで、Marshの「P&I Review 1999」は、MutualSystemと営利損保の競合問題に焦点を当てた上で、明快な評価を下しています。実務に携わるトップブローカーの視点として、以下要点をご紹介します。
  1. 営利損保との競合問題
    悲観論者のMutual System退潮予想は全くの的外れ。クラブが過去圧倒的市場を占有してきたのは、無競争のためではなく、誰もが認める業務サービスの質の高さのため。この点でクラブは全ての保険者の模範と言っても言い過ぎではない。


    営利損保がP&I保険市場参入の理由に挙げる「定額保険料に対する船主の強い要望がある」というのはまやかし。海上保険部門の惨状を見ると、クラブの潤沢な準備金に営利本能が触発されたというのが本音に近い。


    新参入勢力は、Lloyd’s、AXA、Chubb、Gerling等のブランド名により、昔の定額制P&I保険者になかった信頼感はあるが、成否の見通しは不明。クラブに匹敵するサービスと保険料水準の長期間提供に耐えられるか。


    Marshは一貫してMutual P&I Systemを支持。大多数の船主同様、将来のP&I保険市場におけるクラブのゆるぎない役割を確信している。

  2. Free Reserve過大評価への警鐘
    従来各クラブの年次報告書を基に財務内容の比較資料を作成していたが、決算方式が異なるクラブの一律比較は無理という理由で今年度版では同資料の作成を取り止めた。


    Mutual制の否定派は財務統計を過大評価するが、各クラブの会計方式が不統一な状態でのこのような比較の有効性は限定的。80年代後期から90年代初頭にかけての危機を克服できなかった2クラブ(NewcastleとLiverpool & London)以外はいずれも未曾有の安定性を有し、かつ精巧な再保険で体質を補強している。Free Reserve(任意積立金)の多寡で個々のクラブの安全性を比較するのは行き過ぎ。P&Iクラブの財務体質は本来強いものではない。算出根拠が異なる数値に基づく いい加減なレシオでクラブを格付けするのは無意味。Free Reserveの蓄積も必要だが、もっと重要なのは既存積立金の効率的管理と保全。この点でクラブの情報開示は不足。


    主要13クラブは、資力、活力、成長性に溢れたMutual P&I市場の代表者である。各クラブの優劣はバランスシートの中よりも実際の業務そのものの中に見出すべき。各クラブがどのような料率を提示するかは、短期的な財務体力の問題というよりは中長期的な戦略に由来する事業政策の問題である。

  3. 定額保険料のP&I保険者について
    MarshとしてはMutual System支持の旗色を鮮明にしたが、優良商業保険者に一定の活動分野があるという説にも共感できる。船主にとって選択の幅が増えることは歓迎できよう。当面定額制保険者の参入は増えるだろうが、5年後本レポートの2004年版を発行する時に、ここで紹介する営利保険者(9団体)の全部が揃ってP&I保険の引受けを継続していることはないだろう。
    (紹介保険者:AXA Global Risks、Cotesworth(Syndicate 228)、Darag、Dragon P&I、InterCoastal Shipowners’ P&I BV、J.L.Jones P&I Facility、Osprey Under‐writing AgencyLimited、Southern Seas Agencies, Inc. Terra Nova Insurance Company Limited)

  4. JPIの評価
    Mutual P&I Systemが最大の脅威に直面している時に創立50周年を迎える。西欧のクラブに比べると歴史は浅いが、JPIはMutual制の公平・公正な運用がリスクを分担しあう船主のP&I保険に対するニーズに長期かつ安定的コストて応え得ることを示す輝ける優等生である。
    守備範囲内における競争激化にかかわらず、JPIは国内シェアの太宗を維持するとともに、本来的に関係の深いアジア近隣市場にも緩やかながら着実な進出を果たすだろう。

以上

<日本船主責任相互保険組合>


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