トップ > Japan P&I News JP

JPIメールマガジン

ホームページでご提供している海事関連条約、法律等の動き、国内外のトピックス、最新判例などの情報をメールマガジンとしてお届けします!

Japan P&I News >> 記事詳細

1999/07/29

No.288 最近のルイジアナ州法律改正案内

| by:sysadmin
No.288
1999年07月29日

最近のルイジアナ州法律改正案内


  1. 法廷地不適当
  2. 陪審裁判
  3. 裁判地選択条項

ルイジアナ州議会は最近、海事訴訟事件の被告にとって利益となる2つの州法改正議案を法制化した。州議会はまた被雇用者の裁判地選択条項に関する、不利な法改正も行った。各改正内容を紹介する。
1.Forum Non-Convenience:法廷地不適当
第一に、州議会はルイジアナ州民事訴訟法第123条を改正し、ルイジアナ州裁判所では州外に根拠がある訴訟を、法廷地不適当を理由にして却下できるようになった。新しい法律では、クレーム又は訴訟原因がルイジアナ州境界外での作為又は不作為に基づく場合で、原告がルイジアナ州居住者ではなく、より適当なルイジアナ州以外の法廷地の存在が示された場合には、ルイジアナ州で提起された民事訴訟を却下することが認められるようになった。

この改正前はルイジアナ州法では、ルイジアナ州で訴訟提起された海事クレームを、法廷地不適当を理由に却下することは禁止されていた。American Dredging Company v. Miller事件参照。その結果ルイジアナ州裁判所は、非居住被告に対する対人裁判管轄権さえ得ることができれば、世界中実際にどこで生じた事故による人身クレームの訴訟に対してもオープンだった。たまたま寄港した船舶を差し押さえる(writ ofnon-resident foreign attachment)ことで、しばしばルイジアナ州の裁判所に裁判管轄権が確立された。このように以前のルイジアナ州法では、全くの非居住被告であっても、訴訟案件とは全く関係のない寛大なルイジアナ州裁判所で応訴することを強要された。

新しい法律では、法廷地不適当を理由として海事訴訟事件を却下することを禁止した規定を廃止した。この法律には、同一の取引又は出来事から生ずる何らかの訴訟原因に基づいてルイジアナ州で訴訟開始を可能にするため、又は却下判決から60日以内に適当な州外法廷地の管轄裁判所に改めて訴訟を提起することを可能にするため、非居住被告は時効が成立していたとしても、その主張を放棄しなければならないとする規定(caveat)が含まれている。重要なことは、ルイジアナ州議会ではこれを修正的手続法とし、現在ルイジアナ州の裁判所で係争中の案件にもこの法律の適用を認めるとしたことである。

ルイジアナ州法のこの変更は、海事訴訟事件の非居住被告にとって重要かつ有利であり、州外で起きた事故に関して、非居住原告及び非居住被告を巻き込んでルイジアナ州裁判所に訴訟提起される多くのクレームを、速やかに却下することを可能にすると思われる。

2.Jury Trial:陪審裁判

第二にルイジアナ州議会は、これまで海事訴訟事件の原告に対し、裁判官による裁判と陪審員による裁判のどちらを選ぶかの明確な選択権を認めていたルイジアナ州の民事訴訟法第1732(6)条を廃止した。別な言い方をすれば、もし原告が裁判官裁判を希望した場合、被告はこれまで陪審裁判を要求する権利を認められていなかった。ルイジアナ州選出の裁判官の多くが原告に寛大な傾向であることからすれば、このことは多くのケースで被告にとって非常に不利だった。

新しい法律は海事訴訟事件における陪審裁判の禁止規定を廃止した。新しい法律では、海事訴訟事件の被告は、あらゆる案件で陪審裁判を要求することが認められるものと思われる。しかし法廷地不適当法とは異なり、陪審裁判が係争中の案件に溯って適用されることはなく、発効日以後に新たに生じた訴訟原因にのみ適用される。

3.Forum Selection Clauses:裁判地選択条項

ルイジアナ州裁判所は最近、船員の雇用契約書上の裁判地選択条項を認めて、ルイジアナ州裁判所に提起された訴訟を却下した。Lejano v. K.S.Bandak及びBarcelona v. Sea Victory Maritime Inc.参照。ルイジアナ州議会はその後、船員雇用契約の中の裁判地選択条項を無効とするために、LSA-R.S.23:921(A)を改正した。

具体的に言えば、新しい法律は全ての国内外の雇用者に適用され、雇用者が雇用契約又は団体協約の中に裁判地選択条項を入れることを禁止した。法律では訴訟が提起されるに至った事故又は出来事が発生した後に、被雇用者が"明白に、意図的かつ自主的に"裁判地選択条項に同意し承認した場合でなければ、その種の条項を全て無効としている。どのような弁護士もそれが自分の人身クレームに不利に働くものであれば、そのような条項を彼らの依頼者に同意又は承認させることは有り得ない。

このように先ず、この改正によってルイジアナ州裁判所で非居住船員訴訟を却下する根拠となっていた裁判地選択条項は無効になった。しかし我々としては今回の改正が海事訴訟事件の非居住被告に対して重要な影響を与えるとは考えていない。Lejano事件で州最高裁判所は、船員の雇用契約中の裁判地選択条項の適用性及び有効性を連邦法のもとで解釈している。そのためルイジアナ州の最高裁判所は下級裁判所に対し、これらの裁判地選択条項を、対応する連邦法と比較検証するよう指示した。従って我々は、この新しい州の実体法がそれらの海事契約の基準に適用されるとは考えていない。

以上


<日本船主責任相互保険組合>


09:00