損害調査部

事故対応のシナリオを描くことが、案件解決への第一歩

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事故対応のシナリオを組み立てる

事故対応といっても、私自身が事故現場に行って確認する機会はほとんどありません。保険金の支払いだけでなく、事故に遭った船の運航が滞らないように迅速に事故対応のシナリオを作り、展開を先読みして一刻も早く行動に移すことが何よりも重要だからです。

組合員にとって、事故で大事な船が止まってしまうことは一大事。一刻も早く通常運航に戻ることができるよう全力を尽くします。事故が発生したら、初動で案件解決までのスピード感を見極めます。組合員と事故関係者の関係性をしっかりと把握、時間をかけて保険処理を進める場合もありますが、多くの場合、事故後の本船の不稼働時間を最小限に抑えるために暫定的な手当てとして先ずは船を急ぎ出港させてから解決交渉にあたる方が組合員にとってより適切な選択だからです。

案件解決までのシナリオを描いたら、世界各地に任命しているコレスポンデンツを通じて、サーベイヤー(調査員)、専門的な知識を持つエキスパートや弁護士から、最もスムーズに案件を解決できる配役を選びます。
時差の有る地域からの照会にはロンドン事務所のバックアップ、船のテクニカルな事柄についてはロスプリベンション推進部のアドバイスを得ることができる社内体制が整っていて、スムーズに事故処理をするうえでの安心感に繋がっています。

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待ったなしの事故対応。
時には昼夜で2件を並行してこなすときも

数年前、中国で旧正月直前にケミカル貨物の汚損嫌疑事故が発生したときのこと。旧正月になると中国では荷役作業も完全に止まってしまうので、旧正月前に解決することが最優先だと判断しました。また、予定外の長期停泊で船員の食料も不足、発電機故障で暖房も動かず、寒くて船に居られないと現場からの悲鳴もありました。

なんとか旧正月前に出港するため、残された交渉時間を逆算して、その時間の中での交渉を弁護士に指示しました。並行して嫌疑の原因を探るためロスプリベンション推進部の経験ある船長や機関長にも相談し、貨物汚損はないと確信し組合員に説明、最終的に受荷主の説得に成功して、旧正月前に荷役を終え本船を無事出港させることができました。私にとって初の弁護士起用案件となりましたが、最終的に保険金支払いは弁護士費用のみで解決することができました。

この中国の件と同時にアフリカでも岸壁損傷事故が発生し、同じく弁護士を起用した案件となったものの、現地と時差のないロンドン事務所と連携して、最終的には保証状を差し入れることで、船を出港させることができました。

時差の関係で前述の中国案件と2件同時並行の対応となりましたが、独り立ちの時期との上司の判断のもと一人前のクレームハンドラーとして対応を任されやり遂げたことは、自分にとっての自信となり、その後の判断力を高める大きな経験になりました。

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組合員にわかりやすいだけでなく、
役立つ内容を心がける

事故処理で得た実務経験を組合員にご提供することも事故対応の担当である私の役割です。お客さまからのご要望にお応えして先方社内でのセミナー講師を務めたこともあります。自分で理解していることを人に伝えるには、難しい話でなくても正確性を期すために改めて調べなおすことも必要ですし、契約書の解釈も国によって違うので注意点を明らかにするなど、明文化されないようなプロセスの中にも重要なことがあるので、わかりやすいだけでなく、組合員の視点で役に立ちそうなことも、併せて伝えるように心掛けています。

また、自身も外部の判例の勉強会に出たり、社内での事故対応の知見を共有する損害調査会議に出席したりして、自己研磨を積んでいます。

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ハードな案件でも組合員の一言が励みに

高校、大学と海外で学ぶ機会に恵まれ、その語学力を生かした仕事に就きたいと思っていました。海運や保険のことはあまりよく知りませんでしたが、率直に仕事の相談ができる上司や同僚に恵まれ、新しい分野の知識を身につけるとともに、常に組合員のことを考えるようになりました。最近は後輩の育成も任されるようになり、後輩と接する際に自分でわかっていることとわかっていないことの見極めができる良い機会になっています。

仕事はとっさに起きるハードな案件対応が中心で、仕事時間中は余裕がないこともありますが、組合員の方から「この間の件、対応してくれてありがとう」、「いつも助かるよ」と声をかけていただけると、嬉しくなりますし仕事の励みになっています。