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国際PIグループによる補償状の標準書式 − B/L引換えなしでの貨物引渡しについて

2010/10/12 第10-016号
  • 外航
オリジナルB/L引換えなしでの貨物引渡しに関する、2001年3月発行の共通回章及び同回章添付の国際PIグループによる補償状の標準書式(特別回報第00-021号)をご参照願います。

英国商事法廷におけるFarenco Shipping Co Ltd 対 Daebo Shipping Co Ltdケース (LLR (2009)Vol 1 81) (“Bremen Max”事件)での判決を受けて、組合は、組合員がオリジナルB/L掲示なしでの貨物引渡しの際に補償状を取得する場合、さらに以下の二点に注意を払うことを推奨します。

1. 貨物受取人の身元について

補償状の導入部分には、発行する際に記入する沢山の項目が、括弧内にイタリック体にて示されています。 これらのうち「引渡し相手名」に関して以下を推奨します。

推奨:引渡し相手名(個人名や社名)の記入に加え、下記の様に記入すること。

“X [引渡し相手名] or to such party as you believe to be or to represent X or to beacting on behalf of X”

理由: 補償状に特定の相手名のみが記入されているだけでは、組合員は受取人の正確な身元
を確認しなければなりません。また、身元確認に不備があり貨物が記載とは別の者に引渡された場合、補償状に記載された相手に貨物を引き渡すという前提条件が満たされず、組合員は補償を得る権利が無いとされる恐れがあります。上記の様に記入することで、貨物を引渡す相手がX若しくはXの代理人であると思われる場合、組合員は補償を得る権利を可能な限り確保することができます。

2. 補償状における要求のタイミング

オリジナルB/Lの掲示なしで補償状と引換えに貨物引渡しが行われた際、組合員に対する貨物のmisdeliveryの申し立てがなされ、クレーマントからsecurityの要求がある場合、以下の三点を、直ちに補償状発行人に通知して下さい。

a) クレーム発生の通知があったこと
b) 組合員がsecurityを要求されたこと
c) 補償状第3条の規定に従い、組合員は発行人に補償を要求すること

この通知は組合員がクレーマントに対してsecurityを差し入れる前に行うことが重要です。

理由: 補償状第3条の規定に従い補償を要求する前に、組合員がクレーマントに対しsecurityを
差し入れた場合、組合員が補償状のもと補償を要求し受け取る権利が侵害される可能性があるためです。

国際P&Iグループの全てのクラブが同様の内容の回章を発行しています。